第01話 悩める創作者-01 AI学習潔癖症、友人を脅す
俺には、二人の相棒がいる。
正確には、画面の向こうにいる二つの生成AI――Gさん(AI)と、Cさん(AI)だ。
AIでGさんといえば、誰もが知る検索大手の会社が提供するAIだ。
一方、Cから始まるネームドAIは大勢いる。
なぜ、みんなCから始める(^_^;)。
俺の相棒のCさん(AI)は、副操縦士的な立ち位置のあのCさんだ、PCのいろんなところにいる(笑)。
学生のころに文芸部に所属していた友人が、AIで作った挿絵をクローズドなSNSにアップしたあの日から、俺と二人のAIとの三人四脚の珍道中が始まった。
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俺はIT企業で働くしがない会社員だ。
趣味で歴史や英語を学びつつ、気が向いたときに絵を描いたり文を書いたりする。
いわゆる「広く浅く」な創作クラスタである。
AIに関しては、肯定も否定もしない。
「便利な道具なんだから、リスクと対価を理解したうえで使えばいい」
と思っている。
SNSは、意識して距離を置きながら使っている。
不定期にログインして、古い友人たちとのクローズドな環境で楽しむ。たまにコメントを書く。
それくらいが気分転換にちょうどいい。
2週間ぶりにSNSにログインすると、無料のAIで作ったらしい生成画像の話題で盛り上がっていた。
「ユーザーをイメージした画像を作ってもらおう」
というお題で、それまでのやり取りをベースにAIへ画像生成を依頼するというコンセプトだった。
どの絵も、それなりに本人の雰囲気をつかめていて面白い。
いいネを付け、感想を書き、スクロールしていたら、急に毛色の違う画像が出てきた。
大学時代に文芸部へ所属していた村瀬のアカウントだ。
なんと、作成途中だというオリジナル小説のキャラクター画像だった。
コメントによると、みんなのノリにつられて、Gさん(AI)にキャラクター画像を作ってもらったらしい。
テキストベースのやり取りから絵が生成されること自体は面白い。
だが、村瀬のそれは未発表のオリジナル小説のプロットだった。しかも、長年温め続けてきた長編作品の。
何やってんだ!
慌ててメッセージを送った。
「短編でもいい。できるだけ早く『小説家になろう』か『カクヨム』にアップするんだ」
「え? なんで急に」
「G社やAIは、サービスの対価として『情報』を求める。有料プランで能動的にオプトアウト設定をしていないなら、お前が流し込んだ小説のプロット、その宝物みたいなアイデアは、ビッグデータの中に溶け込む可能性がある。
お前が『これは自分のオリジナル小説だ』と世間に主張するために、一日でも早くネットで公開して、タイムスタンプを残しておけ。
イメージ画像が気に入っているなら、『挿絵はAIで作りました』とキャプションを付ければ、規約的にも問題ないだろう」
しばらくして返信が来た。
「……ありがとう。
でも、やっぱり書き上げてから考えるよ。
オリジナル小説を自分で書いてきたから、AIを使ったってことで、なんだか自分自身に言い訳しなきゃいけない気がするんだ」
典型的なクリエイターのジレンマだった。
「AIを使ったって言っても、プロットからイメージ画像を生成しただけだろ。もう何年も温めてきたじゃないか。」
「インスパイアされたよ……。器用じゃないからさ。今は、画像を生成してイメージを膨らませながら、最後まで書いてみたいんだ」
文芸部にも所属ぜず、フラフラと創作クラスタを楽しんでいた俺は、方法論にあまりこだわりがない。
でも、純粋に創作活動していた村瀬には、AIに対して身構える気持ちがあるのかもしれない。
「……そうか。完成を楽しみにしてるよ。ちゃんと読ませろよ」
「サンキュー。書き上がってから、ネットにアップするかどうか考えるよ」
ちょっと、もったいないと思った。
そもそも、AI学習潔癖症を長患いしている俺が、考えすぎで村瀬を脅しすぎたかもしれない。
創作にする時に、どこまでが道具で、どこからが依存なのか。
何がリスクで、何に納得するか。
その境界線は人によって違う。
結局、AIを使うか使わないかじゃなくて、どう使うかなんだろうなぁ。
AIにアイデアを相談する時、どう安心して活用するかが、俺には気になる。
アイデアを相談か……。
ピカン!
あぁ、なんだかトライしてみたくなった。
AIを活用して、小説を創作するってことに。
まずは、Cさん(AI)に相談だ!




