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終わりと始まりの花【谢国復路編突入】  作者: はな
温花【後宮編】

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摘めない花✿

◇いつも見てくださる方、最新話から楽しんでくださる方も、本当にありがとうございます!

◇執筆・なろう共に初心者ですが、一話一話大切に書いております。温かい目で見守っていただけると嬉しいです。



 

 横では红京ほんじんが呆れた顔で目を細める。

 いつだって冷静な红京ほんじんには敵わねーな(笑)

 馬に乗ったこと嫌な顔すると思ってたんだけどなー(笑)


 温花うぇんふぁは外の空気が美味しいと大きく吸い込み休憩を始める。

 しゃがみ込み、野花を見つめ嬉しそう――。


 

 红京ほんじん「――それは薬草になりますよ。金銀花スイカズラというお花です。夏の暑気あたりや風邪の初期に用いられ、お茶に混ぜて飲めますし、花の蜜も吸うことができますよ」

 温花うぇんふぁ「飲めるの?!だから金銀花スイカズラっていうのかな。……でも摘んでしまったら、帰りにこの花が見られなくなっちゃうし~」



 温花うぇんふぁに話しかける癖が付いているのか、薬草を見ると動き出してしまう職業病なのか金銀花スイカズラの説明を始める。花を摘んでしまうのは勿体ないと、甘い蜜の香りを温花うぇんふぁは楽しんでいる。


 

 红京ほんじん「そうですね、俺も摘めない花がありますので、その気持ち分かります――」



 红京ほんじん金銀花スイカズラの弦に摘もうと手を伸ばしていたが、その手を止め横に座りこむ。


 

 温花うぇんふぁ「毒があるとか……?」

 红京ほんじん「ふっ(笑)それよりももっと危険かもしれません……っ(笑)」

 温花うぇんふぁ「何その花っ(笑)触っただけで死んじゃうの?!(笑)」


 

 広い大地の野花が咲く場所に二人はしゃがみ込んで何やら神妙な顔で花を見ていたかと思えば、医者として線引きをしようとしていた男も笑っている。


 金銀花スイカズラは絡みつく弦から「結びつき、離れない愛」を連想させる花でもある。花言葉の「献身的な愛」は色恋の意味に留まらず、まるで二人の関係のようにも見える。



 温花うぇんふぁ「――陛下にお茶を届けてくるね」



 楊兎やんとぅの視線を感じ、侍女として立ち上がる。ここは墓場の屋敷ではなく北の地に向かっている旅の途中。今までのようには居てはいけない。


 隊列に守られるように真ん中に位置し、兵たちは警戒を緩めることなく目を光らせる傍に皇帝華辉ふぁほい様の馬車が止まっている。

 この華辉ふぁほいという男がどれだけの存在なのか思い知る。


 

 侍女として旅に同行したからには仕事をしないと――。


 

 温花うぇんふぁ「長旅お疲れ様です。お水をお持ちしました」

 華辉ふぁほい「車酔いしていたのか?楊兎やんとぅと馬に乗っていたみたいだが」

 温花うぇんふぁ「どうしようもないくらい車酔いしてしまいました……」

 華辉ふぁほい「まぁ、いい。侍女の衣も似合っている。あと、そのお団子も」

 温花うぇんふぁ「あ……気分が悪くてすっかり忘れていました……(笑)はい、ありがとうございます」


 

 自分の容姿のことを忘れる妃なんているのか?(笑)

 いや、そもそもそこらの妃と同列にできる女では無かったな……(笑)


 

 山源しゃんやん華辉ふぁほい様、そろそろ出発します」

 華辉ふぁほい「この車に温花うぇんふぁを」

 山源しゃんやん「それでは侍女と旅をしたことになってしまいます。皇后様や上級妃に説明がつきません」


 

 正論をぶつけられると華辉ふぁほい様は不貞腐れてしまう。まだまだ青年なのだ。

 若くして皇帝にならなくてはいけなかった華辉ふぁほい様の気持ちも理解してあげたいのだが――。


 

 温花うぇんふぁ「陛下、あたしは大丈夫です。他の侍女たちは交代で歩いているようですし、あたしも散歩してきますね」


 

 温花うぇんふぁ様は笑顔で自らの足で歩き始めた。

 

 

 妃の立場があるお方は侍女として旅に同行するなどプライドが許さないものだろうが、温花うぇんふぁ様は言葉通り、それも楽しんでいるように見える。


 また、侍女としての働きっぷりは本物そのものだ。

 お茶を出し、水を汲み濾過し、荷物の整理などよく周りが見えている。

 このような人物が入宮してすぐ皇太后様から目をつけられるようなことをし、華辉ふぁほい様をここまで振り回し、貴妃の李珠江りしゅこう様のことを敵に回し続けている。うまくやろうと思えばいくらでもできたのではないかと思えてしまう――。

 

 妃よりも侍女のほうが向いているのでは?

 いや、元気な侍女が付くお妃様たちも大変になる、か――。

 

 到着すると荷物を忙しそうに運び、宮中とは違う作りの屋敷の中を見て走り回る。

 華辉ふぁほい様は不安そう、というより構ってくれないことに不満そうだ。


 

 山源しゃんやん「お疲れでしょう、明日に向けてもうお休みになりませんか?」

 華辉ふぁほい「そうだな、食事を一時間早めよう」

 温花うぇんふぁ「えー!一時間も早く?!間に合う?!」

 山源しゃんやん「すいません、温花うぇんふぁさ……。温花うぇんふぁ、侍女たちをよろしくお願いします」


 

 ここに着いてきた侍女たちはまだまだ若い侍女たちばかりだ。

 皇帝からのお手つきがあり得ないであろう、そのような幼い歳のものばかりだ。

 温花うぇんふぁは最年長として今回の旅の侍女頭となっている。


 

 温花うぇんふぁ「荷解きはあとでします。まずは食事の準備を行い、配膳をします。疲れている様子なので量は少なめで良いです、間に合わせましょう。そのためにもまずあなたたちも少し栄養を取ってください」


 

 一人に1つずつ軽食を配った。

 それから幼き侍女たちはせっせと言われるがままに配膳まで済ませた。


 

 山源しゃんやん「毒見もいたしましょう。ここは国の中といえど外側なので、様子を見なければいけません」

 温花うぇんふぁ「それではあたしがやりましょう」

 山源しゃんやん「それでは私が罰を受けてしまうことになります」


 

 山源しゃんやん様は驚いた様子だった。

 毒味なんて進んでやるようなことではない。

 

 

 温花うぇんふぁ「この子たちに毒見をしろと?この子たちの未来は私より長いので、私が」


 红京ほんじん「何を言ってるんですか。そのときは山源しゃんやん様の首が飛びますよ。もう少し自覚を持っていただきたいのですが。温花うぇんふぁ

 温花うぇんふぁ「どのような?侍女としての務めはしっかりできたと思います」

 红京ほんじん「あなたはもう少し立場を考えてください」


 

 红京ほんじんの言う自覚は妃であることのようだ。

 だが、今は侍女としてここにいる。


 

 红京ほんじん「医者の俺が毒見薬になります。1番近しい知識を持っているのは俺であると思います」

 山源しゃんやん「そうですね、すいませんがお願いできますか?」

 温花うぇんふぁ「だめ!あたしがする!红京ほんじんは陛下が倒れた時に助けなきゃいけない大事な職!だから侍女のあたしが」


 

 温花うぇんふぁお嬢様は必死に红京ほんじん様を引き留めた。

 毒が入っていた時、この遠征で華辉ふぁほい様になにかあったとき対処できる人がいないのも確かに大変なことだ。それだけではないからこれだけ红京ほんじん殿のことを引き留めているのだろうが……。


 命をかけるということか。

 それが華辉ふぁほい様のためであるのか。

 红京ほんじん殿のためであるのか。

 

 2人は神妙な顔つきで、耳打ちをし始めた。

 

 

 温花うぇんふぁ「――あんな小さい子たちに毒味なんてさせたくないし、红京ほんじんが倒れたら病人怪我人でたときどうするの?!……あたしがどうにもこうにもいかなくなった時は現代に帰って、治療してもらって……!絶対こっちに帰ってくるから」

 红京ほんじん「何言ってるんですか……?……解毒剤作ってから俺が飲みますので、温花うぇんふぁはその小さい侍女たちが不安にならないように努めるべきです……」


 

 二人はコソコソと何かを言い争って、皿を取り合っている――。

 まさか毒見役を奪い合うことになるとは――。


 

 華辉(ふぁほい)「食事をするだけでもこれだけ迷惑をかけなければいけないのか……」


 

 騒ぎになっている様子を目にした華辉(ふぁほい)様は落ち込んでいる様子だった。

 どれだけ自分が甘えた環境で生きていたのか、突きつけられたのだ。


 

 楊兎(やんとぅ)「うわー!うまそー!誰も食わねーの?!」

 红京(ほんじん)「大事をとって毒見をしなければいけま……」

 楊兎(やんとぅ)「なーんで毒味なんかしなきゃいけねーんだろうな。そんなこと思わなくていいのになー」

 红京(ほんじん)「恨みなんてどこで買っているのかわかりませんよ」

 楊兎(やんとぅ)華辉(ふぁほい)が恨まれてんのかー」


 

 楊兎(やんとぅ)将軍は次から次へと食事を口にし、美味しそうに食べる。


 

 楊兎(やんとぅ)「全部うめー!華辉(ふぁほい)、早く食って寝ろよー!(笑)」

 温花(うぇんふぁ)楊兎(やんとぅ)なんでも食べてるから毒の耐性とか持ってるんじゃ無いの?大丈夫?(笑)」


 

 朕は――。

 俺は――。

 

 生まれた時から母親に従って生きてきた。

 

 権力も、知識も持っている母親、皇太后に従っていれば、字も綺麗に書けた、勉学も、知識も困ることなく過ごせた。

 

 毎日ずっと何かをする。他のことを考える時間を与えられない。何かに常に集中している。

 周りの子どもがどのように過ごしているのかは関係ない。

 

 皇帝になるためだけに、賢い大人になるためだけに、育てられた、いや「作られた」のだ――。

 

 


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