音無き夜
ひんやりとした空気と土、暗闇を照らす月のみが灯りとなる夜は小さな音でさえも響いてしまう――。
静かな夜に紛れ込むことができる「梟」は人々が寝静まる間に行動をする――。
宮中の書庫は天井まで聳え立つ棚がいくつも並べられており、この平和な華国に過去を生きるものは居ない――。
埃の被った書物は湿気を帯び、開くとカビが張り付いているものも多い。
梟「――だめだ、これも読めない」
その「梟」が求める情報は「墓場」となぜあの屋敷は呼ばれるようになったのか。
その真実を、歴史を知ることから始める。
この書物たちからわかったことは、前皇帝がこの大国華国を作り上げた人物であること。その偉大な人物が愛した女が現皇太后であること。
宮中で遣える人々、上級妃たちの家系図――。
それだけでもこの華国がどのような国であるのか分かる。
だが「墓場」についての記載は見つからない。
家系図や、家を持たぬ妃たちの名前が書かれたものが見つかり、この妃たちは死んだ記録も、追放の記録もない。
そしてその妃たちだけこの名前は無い――。
後宮を管理している張宏様に聞けば容易く分かるのかもしれない。が、それを話した張宏様のことを空白にされてしまう可能性が高くなる――。
また今日も情報を収穫できない。
屋敷を与えられるだけの妃があの空白の妃たちであれば全て辻褄が合う。
次空白にされるのは花が咲き誇る墓場の変人である――。
温花「――红京、最近疲れてない?」
红京「どうしてそう思うんですか?」
温花「最近薬の調合にムラが出てる気がしてて」
红京「――それはいけませんね。すいません」
温花が毎日薬を信頼して飲んでくれている証拠でもある。微妙な違いに気がつける墓場の変人はまるで酒を飲み干すように勢いよく薬を飲み込む。
温花「ひゃ〜っ、今日も効いてるっ!(笑)」
つまりは苦いという顔で眉間に皺が寄っている。
このなんでも無い日常を過ごせる幸せな時間を壊されることを、許されていいはずかない――。




