第303話 第三学年一学期18
どうしてこうなったんだろう。
いや知っている。ただ現実を直視したくなく、こうして内心でぼやいているだけだ。
だって──
「ライアさん、すごい勢いで料理を作っていましたね」
「普段から家事はやってますからね。寧ろこの方面で勝つの難しいレベル」
「味も素晴らしい……これはエルヴェさんの負けですね」
でしょうね。
俺はノリノリで実況しているアドレルに気の抜けた返事を返しながら、車椅子の背に体重を預けて体の力を抜く。あー、疲れる……早く終わんねぇかな。とは思ってみるものの、誰が言ったか『三勝先取』。現在三戦目が終わったところだが、ライア二勝エルヴェ一勝ともう少しだけしょーもない戦いは続きそうだ。
なお料理対決終了後。
「中々やるわね……」
「そちらこそ。少し見くびっていましたよ」
……なんか友情芽生えてね?
両者肩で息をしながら──ライアは人形だし、本来必要ない筈なのだが──そんな会話をしている。
もうこれでよくね? ハギもそんな感じの視線向けてるし。
「続いては……ああ、場所移動しまーす」
皆さん、エントランスへお越しくださーい。と云いながらアドレルは俺の車椅子を押し始める。
……いや、もうライアの勝ちでよくね?
何故か用意されたスケジュール表を見ながら思ったけど、拒否権はないそうだ。
「続いてはお二方の戦闘力……って、これ姉に必要ですかね?」
「さあ? てかもうこれ、姉を護衛か何かと勘違いしてるんじゃないですかね」
適当に返しながら、俺はスケジュール表に視線を向ける。
裁縫、掃除、料理ときて、次は戦闘。前者三つはまだ姉云々関係あるかなぁと思ったりしたのだが、戦闘に関しちゃ普通しねぇよなって。隣のハギも頬をひきつらせてるぞ。
「姉ってなんだっけ?」
ハギが考えても意味のないことを考えている。自称姉なんてオカシイものがいるんだし考えるな感じろ。
なお自称姉達はそんな呟きを気にせず──聞いてなかったのかもしれないが──二人の空間を作り出していた。
「ふむ。久々ですね。戦いというのは」
「あら、だったらこの戦いは私の勝ち、かしらね」
「不戦敗は私の望むところではないので──少々、本気で行きます」
「へぇ……」
ライアが威嚇するように魔力を解放し、エルヴェはそれを見て目を細める。
「私も負けるつもりはないわ。本気で、倒してあげる」
「えー、両者準備万端のようですので、早速ですが始めてください!」
ライアが次の言葉を紡ぐ前にアドレルは若干の早口でそう告げた。
何か言いたげだったライアは構えを取り、エルヴェもまた構えを取り、まるで示し合わせたかのように、同時に床を蹴った。
「──そういやこの催し、13回目って最初言ってたけど、そんなに対戦相手いるものなの?」
「妹認定した人に姉がいた場合その全てに勝負を吹かっけてますからね」
そしてその全てで負けてます。ということらしい。
なんでそこまで姉に執着するのやら。
最近バイト始めました。某古書店で。
そして来月はちょっと忙しいので更新滞ったら「あ、束白南無三」くらいに思っておいていただければ……後半には復活してると思うので。
次回はエルヴェ視点をお送りします。スマホでもPCでも支店と誤字ってしまう不思議。




