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こちら筋肉防衛軍。  作者: マッスルハッスル。
第④マッスル◆新たなる脅威!!◆
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付け焼き刃!!

「何しに来やがった?」

 ソフィの体を隠しながら前に出た金平は、苦々しい表情を作った。

『よりによって、こんな場所でこいつと会うとは……偶然な訳ぁねーよなぁ』

 辺りには誰もいない。スピーカーから流れるのどかなテーマ曲が、園内の人気(ひとけ)の無さを際立たせ、周辺に(そび)えるアトラクションの壁面に反射しながら響き渡っていた。

 数台の自販機が林立する広場には、半円を描きながら木々が生い茂り、周囲から死角を作っている。風雨に(さら)されて色褪せたプラスチック製のベンチが、等間隔に置かれていた。それを縫いながら、金平とソフィのいる方向へ歩み寄るスコーピオン。両手をポケットに突っ込み、待ち合わせた親友と挨拶を交わす素振りの笑顔が浮かぶ。

「金平さん、お久しぶりです。この前はお呼び立てして失礼しました。よもや芹沢さんまで来ていただけるとは予想外でしたが」

 そう言うスコーピオンの顎から左頬にかけて、二本の傷痕が残っている。

「この傷の借りは、いずれ芹沢さんにお返しするということで」

「おめーには色々聞きたいことがある。ソフィ、離れてろ」

 スコーピオンの言葉を遮り、ソフィの腕を掴むと後方に押しやった。

「金平さん?誰?」

「前に食堂で話に出たろ?俺と芹沢さんを襲ったスコーピオンだ」

「あっ……」

 目深に被ったキャップから覗く黒い顔を凝視すると、状況を理解するソフィ。

「金平さん、増山さんやチャックが来る前に、一勝負しましょう」

「……なんでうちの人間のことそんなに知ってるのか、詳しく教えてもらおうじゃねーか」

 徐々に詰まる互いの距離と共に、金平の視線が殺気を帯びていく。

 腰を落とし、半身の構えを作った。

「雰囲気、変わりましたね」

 スコーピオンの目に映る金平の姿が、以前と異なる気配を放って見えるらしい。

「女ですか?それとも……増山さん辺りに師事したとか?」

 黒い喉仏を上下させ、楽しそうに笑う。

「まぁ、そんなとこだ」

 金平が歯を剥き出し、この男に似つかわしくない(よこしま)な笑顔を浮かべた。

 砂の浮いたアスファルトを蹴りだし、金平が先に仕掛けた。絵に描いたような、教科書通りの正拳突き。さっきまでの穏やかな空気を引き裂き、スコーピオンに襲いかかる。

「ククッ」

 嘲笑するスコーピオン。体を捌き、いとも容易く躱す。

「そんな付け焼き刃の空手で……」

 斜めに体を開いたスコーピオン。接近した金平に向け、得意のローキックを放とうとした。左正拳が空を切り、前のめりに倒れこむ金平だったが──。

 180センチの隆々とした体躯が、驚異的な速さで加速した。

 一瞬で膝を落とした金平は、スコーピオンの長い脚へ向け、なんの迷いもなく体当たりする。いかつい両肩が、スコーピオンの大腿部の動きを封じた。

「!」

 これではローキックを放てないと瞬時に判断したスコーピオンは、咄嗟に後方に退けぞって間合いを計ろうとした。

 その刹那、金平が太い腕に力をこめ、両手をスコーピオンの膝裏に伸ばし、恐るべき握力で掴む。そして、カジノのポーカーで大勝したギャンブラーが、コインを総取りする動きで引き寄せた。

 ──双手刈。

「なっ!」

 いとも簡単に、後方に押し倒されるスコーピオン。一瞬で、金平が馬乗りになる。

「マウントポジション、いただき」

 いかにスコーピオンが日本の格闘技界で頂点を極めたとはいえ、金平の柔道の技は世界を制したレベル。

 付け焼き刃の空手。甘く見たスコーピオンに隙が生じた。驚愕して目を見開いたスコーピオンを、今度は金平が嘲笑する。なんの躊躇も無く、筋肉を収縮させた腕を振り上げた。

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