↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こちら筋肉防衛軍。  作者: マッスルハッスル。
第③マッスル◆戦え!!筋肉の戦士達!!◆
PR
48/151

私闘!!

 音も無くゆっくりと道場に上がる木下。相変わらず透き通るように色の白い肌、そして、妖しい程に女性的な色香を漂わせていた。

 金平の発するプレッシャーを躱し、細身の身体をゆっくりと道場の壁面へ運ぶ。

 一方の金平はその動きを視線だけで追う。腕を組み、がっちりとした怒り肩に、この男らしからぬ殺気を漂わせている。

 木下が壁にかかっている数振りの木刀をまじまじと品定めすると、その内の一本を手にした。目線と同じ高さまで手を返して、持ち手から切っ先までゆっくり見つめる。すぐに木刀の先端を畳の上スレスレに下ろすと、金平の瞳を見据えた。

「さぁ、やりましょう」

 緊張感で氷ついた場の雰囲気とは不釣り合いな程、屈託の無い木下の笑顔。

「んなもんで殴られたら、普通の人間死んじまうぜ」

 今まで見せたことのない悪意に満ちた表情の金平が、道場の中央に歩み寄る。それには答えず、赤い唇を歪め、木下は軽く笑う。

「カ、カナダイラさ~ん」

 チャックが泣きそうな音を出しながら、悲壮な面持ちで両者を見つめた。

 ベタ足で体を斜めにし、ほんの少し姿勢を低くした金平は、木下の携える木刀に視線を落とす。

 その視線に反応し、対する木下は左の肩を引き、右足を前に出し、半身に開いた平星眼の構え。

 木刀を右に開き、真剣でいうところの刃を内側に向ける。

 柔道と剣道。

 得物がある分剣道に利があるように思えるが、初太刀を避けて得物を捕らえる事ができれば、組み合いにて柔道が遅れをとるはずがない──。

 金平はそう思っていた。

「おぉっっ―!」

「!?」

 突如として、雷鳴のごとき気合いを発した木下。

 細身の体からは想像もつかない声量が、道場の空気を震わす。さっきまでの菩薩と見紛う程に穏やかな表情から一変、白夜を駆ける銀狼に似た猛々しい形相。

 次の瞬間、木刀を水平に構えると畳を蹴り出し、一瞬で間合いを詰め、鋭い突きを放った。

 残像を残し、躍動する木刀。

 金平は咄嗟に反応し、屈めた膝を伸ばして剣撃の範囲外へ身を躱す。

 だが……。

「なっ!?」

 躱したと思っていた木刀の先端が、金平の厚い胸元で弾けた。

 一突きだと思っていた木下の攻撃は、その実、三段突きだったのだ。

 余りの撃ち込みの速さに、常人の目には一回突いたようにしか見えない。フラッシュを()いたような衝撃が、金平の眼前を襲う。

 胸元、喉元、眉間。

 それらの部位へ、木刀の切っ先が寸止めでなぞられていく。

 微動だに出来ず、硬直する金平。

「あんた達!そこまでよ!」

 突如として道場に響き渡る怒号。

 木刀の切っ先を金平の眉間に突きつけたまま、木下が視線をロッカールームへ向ける。

 タンクトップに短パン姿の社長が、不愉快そうな表情を顕にして、道場中央の二人を見つめていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。