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こちら筋肉防衛軍。  作者: マッスルハッスル。
第①マッスル ◆筋肉への誘い!!◆
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ビキニとカメラ!!

 凄まじい速さでタンクトップと短パンを脱ぎ捨てる社長。撮影用に服を着せられたゴリラが、怒り狂って服を脱ぎ散らかすかのごとき異様な絵ヅラだ。

 露になったギリシャ彫刻を彷彿とする肉体。

 金平は顔をしかめると、思わず目を背ける。

 テラテラの紫色のビキニが、月明かりを浴び怪しく輝いている。

 チャックが開けたジュラルミンケースから、『黒光丸・Sサイズ』を二本取り出し、両方とも逆手に握ると、ボクサーさながらに眼前で構える。

「パパは特殊部隊の隊長だった頃、『悪魔のナイフ使い』って、隊内でも恐れられてたんだって。増山さんが言ってたよ」

 金平の隣にいるソフィが、父親の姿を見つめ、他人事のように説明した。

「悪魔のナイフ使い……」

 その恐るべき異名を聞いた金平はさらに呟く。

「今やオカマのナイフ使いやん......」

「えっ?金ちゃんなんか言った?」

 金平の呟きを聞き取れなかったソフィ。

「い、いや……なんでもねっす」

 誤魔化しながら、いそいそとつなぎを脱ぎ始めた。まさかソフィが随行するなんて思ってもみなかった金平だったが、ここまで来て脱がないわけにはいかず、遂にビキニ一枚になった。

 つなぎの後ろの大きめのポケットに差しておいたビーサンを抜き取り、スニーカーと履き替える。

 異様な解放感と、容赦なく吹き付ける寒風が金平を襲った。

 恥ずかしいのでソフィには背を向ける。目線の先のチャックも同様の格好に着替え始めていた。

 ビキニにビーサン、首には痛々しいギプスが巻かれているので、もはやその出で立ちは、海難救助中にムチウチになったライフセーバーにしか見えない。

 吹き出す金平。

 後ろでソフィも吹き出している。

 笑われてるとも知らず、二人に背を向け、無造作にケツをかくチャック。

 季節外れの蚊に喰われたようだ。

 かなりの勢いでかいている。

 更に吹き出す金平とソフィ。

 何気にソフィのほうを振り返る金平だったが……。

「ンガッ!?」

 声にならない音を発して、膝を屈めた。

 ソフィがビキニ姿になっていたのだ。

 紫色のテラテラ素材で、胸と局部を気持ち隠しているビキニ。色の白い肌が月明かりに照らされ、美しい肢体を露にしている。しかし、腹筋は見事に引き締まり、一流のアスリートを連想させた。

 対照的に、だりっとした豊かな胸が、深い谷間を作っている。

「ふぁっ……」

 金平は茫然自失になる。

「金ちゃん、恥ずかしいからあんま見ないで」

 目を伏せて、顔を赤らめるソフィ。

「いや……あの……まさかソフィも戦うの??」

「うん……」

 下ろしていた髪を縛り上げながら、控えめに頷く。

 そんな二人に三国が近づいてきた。

 ハマーの開け放たれたトランクの上に置かれたノートパソコンからは、警告音の鳴る間隔が次第に狭まっている。

 三国の右手には高価そうなハンディカメラが。

「金平さん、ソフィは増山さんやチャックと同じ空手道場の門下生なんですよ。こう見えても、立ち技系の大会で上位入賞を果たしていて、並みの男じゃ太刀打ちできないぐらい強いんですよ」

「は、はぁ」

 開いた口がふさがらない金平。

 どーりで、元カレの歯を五本も折るわけですね……っと、心中穏やかでない。

 まぁ、父親がアレだし、増山さんとも子供の頃から付き合いがあれば、自然とそうなるもんか......と、納得せざるを得なかった。

「三国さん、そのカメラは?」

 三国の手に収まる物を見て金平が尋ねた。

「こ、これはその……今回の武器の使用状況を録画して、あとでラボに持ち帰り研究するための……えーっと、データ取りな訳で」

 これから現れるであろうSEに怯えているのか、しどろもどろの三国。

 だが、カメラを素早く録画モードにすると、金平の後ろに向け始める。その先にはソフィが。

 ソフィは前屈みになり、ジュラルミンケースから『撲殺太郎・Sサイズ』を取り出そうかといった所だ。

 胸の谷間が更に(あらわ)になり、グラビアアイドル並みのあられもない姿勢になっている。

「……」

 今までに見たこともないぐらい真剣な様子の三国は、恐怖を忘れ、一心にカメラをまわしている。

「三国さん、何撮ってんすか?」

「……あ、いや、その、これは、科学的研究のためであり、その……決して……」

「あんた達何してんの!!もうすぐSE出てくるわよ!!」

 二人の様子を見ていた社長が怒号を上げる。

「金平さん、SEに攻撃されたり防御する時は、攻撃する箇所や防御する箇所に精神と筋力を集中してください。そうしないとSEに男性ホルモンを低下させられます」

 三国がハマーの停車する方角へ振り向きながら言った。

「え、はぁ」

 んなこと急に言われても、どうすりゃいいのか分からんて、と思う金平だったが……。

「あの、ちなみにそれを怠るとどうなるんですか?」

 恐る恐る三国に問う。

「ああなります」

 カメラを持つ手とは逆の手で、指を差す。その示された方向を見ると、社長と目が合った。

 血走った剥き出しの眼球が金平を見つめながら、唇を尖らせて、腰を軽く前後に振っている。

「嫌だ……絶対に嫌だ……あんなんなりたくない」

 背筋に氷柱を押しつけられたと錯覚する程の悪寒が走り、膝がガクガク震えだす。

 その時、三国のノートパソコンの警告音が、病院の心電図が停止したような、一定の音に定まった。

 コマ鼠ばりのスピードで、ハマーの陰へダッシュして行く三国。安全を確保してから、改めてソフィにフォーカスを合わせている。すると、整地された土の中から、まばゆい一条の白い光が天へ向かって突き出した。次第に光が七色へと変化していく。

 しゃがんで『撲殺太郎・Lサイズ』を手に装着していたチャックも、光に気付き振り返った。

 金平だけ文字どおり空手のまま。それに気付くと慌てジュラルミンケースに走り寄り、『黒光丸・Lサイズ』を手に取る。

 その時には、既にSEがその全貌を現していた。

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