第11話
循環法魔力増強訓練を開始して、三ヶ月がたった。器の拡張はほぼ仕上がっており、更には、箕島の修行のおかげで、アシュリーとスクルドの基礎体力や反射神経などと言ったものが、大幅に向上された。
「師匠!箕島様!お二人方のおかげで、多くの力を得ることができました。本当にありがとうございます!これかも、おねがいします!」
「世話になった。これで少しでも、父である国王に近づけたと思う。感謝する。」
と、彼女たちも、自分たちが力をつけたと実感しており、修行は完成かと思われたが、
「おいおい。修行が終わったみたいな言い方をするな。これからは、何度でも死んでみよう訓練だぞ。実際に得た力で、どれだけ戦えるかが重要だ。そのために当初の予定通り、魔王と戦ってもらう。ま、頑張れ。」
「そうさね。まだまだ、これかさ。あんたらなんて、まだまだ序の口だね。修行はこれかも続くね。」
アシュリーたちは心の中で、鬼か!と叫びながら、続いての修行地である魔界に転移させられた。
転移された後に、見たのは一つの玉座だった。その周りを7人の女たちが囲っていた。真ん中の玉座に座るもの。それが『魔王』レーベル=ルシファーだった。
「よくきたな。人間供。ようこそ我が城へ。歓迎しよう。」
そう呟くと、魔王の体から魔力が迸り、アシュリーたちに抗えない、圧力がかかった。悟や箕島によって、慣れていたはずなのに、それでも尚、この威圧感。二人の師匠が、力を抑えていたことを、ここに気づいたのだった。
「ほぉ、ここまで、耐え切るとは……流石は、お前の弟子なだけあるか……これは、やりがえがあるな。」
「そうだろ?レーベル。こいつらを十分に鍛えてやってくれ。こいつらは、人間界で行われる、選抜大会にでる。勝つためには、お前に傷を負わせるくらいじゃないといけない。任せたぞ。」
「任せられた。我だけではない。こいつらも手伝ってくれるそうだ。」
そういって、前に出てきたのは、悟でも驚くメンバーたちだった。左から順に、『色欲』ルクスリア、『怠惰』アケディア、『強欲』アワリティア、『憤怒』イラ、『傲慢』スペルビア、『嫉妬』インヴィディア、『暴食』グラ。魔界が誇る、魔王直属の親衛隊であり、魔界最強の軍団だった。全員が7大罪を司る、大悪魔中の大悪魔であり、悟ですらも、全員で相手をするのはキツイ。だからこそ、この悪魔たちの、手伝いはありがたかった。アシュリーたちを強くするには、ピッタリの相手だったからだ
「よろしく頼むぞ、お前ら」
悟は嬉しそうに、笑みを浮かべた
まず、始めに魔王と模擬戦を行なった。結果は言うまでもないと思う。アシュリーたちの完敗であった。しかし、アシュリーたちもただやられたのではなく、何度か魔王に攻撃を当てかけたこともあった。惜しい場面もあった。魔王に言わせてみると、
「ん〜、中々おもしろいんじゃないのか?こやつらはこれから伸びるだろうよ。我が太鼓判を押してやろう。」
とのことだった。とりあえずは認められたことに、喜びを感じたが、次に行われた、悟対魔王の試合を見た途端、喜びが消えた。神級の中位クラスに存在する、アシュリーたちだったが、悟たちの戦いを視認することは難しかった。初めて見る悟の本気の魔力、戦いに、いかに別次元にいるのかを、認識させられた。
「あのお二人は、仕方ないですよ。悟様は、十二神級の中でも、別次元の強さを持っていましたし、魔王様も、ああ見えて、歴代最強と呼ばれています。そのお二方の戦いです。当然、私たちがどうこうできる問題じゃありません。」
「その通りだよ!王様も悟も、ちょっと、頭のネジがぶっ飛んだみたいに強いからね。まぁ、そこがいいんだけど!」
そう言って話すのは、インヴィディアとルクスリアだった。
「その通りかもしれませんね……師匠も魔王様も、私たちとは見えている景色が違うかもしれません……しかし、私は、師匠に並び立てる人になりたいのです。絶対に無理かもしれませんが、それが、私の目標なんです。」
「うむ。我が妹の言う通りだ。俺の目標は、偉大なる父を超えることだったが、今では師匠を超えることも、目標の一つだ。今、どれだけ格が違っても、私はそれを変えてみせる。」
二人の強い決意に、七大罪のメンバーも心を打たれた。元々、ここで、諦めるようなもの達なら修行を手伝うつもりはなかった。自分たちが認めたものになら、修行をしようと七大罪のメンバーで共有された事項だった。だからこそ、
「わかりました。あなた方の決意を汲み取り、私たちも、死ぬ気でお教えします。必ずや、他世界の人間に勝てるようにして見せましょう。魔族が誇る、七大罪の誇りを賭けて。」
そう言うと、彼女達は魔力を放出し、アシュリーたちに修行をつけ始めた。だが、その修行がどのようなものだったかは、想像通りだった。
ありがとうございます!!




