4-2 とある聖女の一生
GM:7月5日、グリーンレストに到着した。
シター:あと2日か。
ガルフネット(GM):「じゃあ、うちらはお役御免やな」
ベラ:聖杯を……投げろ、投げろ! フリスビーしたいー!!
シター:契約書! 信用問題になるから!!
GM:ベラの署名で、街に戻ったら聖杯を渡す契約になっているからね。
ベラ:すみませんでした。はい、先輩。どうぞ。
ガルフネット(GM):「助かったわ。おおきにー!」
GM:聖杯を受け取り、ザディウスの首を持って、ガルフネットたちは去っていく。
ベラ:馬車代は頼んだよ。
ガルフネット(GM):「わかっとる。こっちで何とかしとくわー」
ヴロン:でも、馬車はまた使うよね。エイラ様を歩かせるわけにいかないし。
GM:湖畔までは徒歩で3時間、馬車で2時間。借りている期間も2日残っているから、そのまま使えるね。
シター:じゃあ、馬車はまだ返却せずに残しておこう。
ヴロン:問題は、7月7日にどうやってエイラ様を連れ出すかだ。
シター:そもそも、その日に外へ出るのが問題なんだよ。祭典があるから。
ヴロン:祭典に出なくてもいい理由を、作らないといかんな。
シター:エイラ様、今も弱ってるよね。「病気なので休みます」ということにしてもらえば?
GM:指輪を失くして憔悴している。ただ、本人は責任感があるから、やるつもりだね。
ヴロン:責任感ありすぎるだろ。
GM:リナがいるので、君たちも神殿の奥へ通してもらえる。リナがエイラ様以外の人に話を聞いて回ったよ。
リナ(GM):「皆さん、一日ぐらい休んでもいいのではないか、とおっしゃっています。エイラ様は、ずっと一生懸命やってくださっていますし、最近、お疲れなのもわかっていますから」
ヴロン:エイラ様だけが、責任感で出ようとしてるんだな。
シター:じゃあ、一度ぐらい、自分のために休んでもいいんじゃないか、という方向で説得しよう。
ヴロン:そういえば、まだ本人に指輪を返してないよね。
シター:まだ持ってるよ。渡したとは言ってない。
ヴロン:じゃあ「この指輪を返してほしければ……」
シター:何で悪者になろうとするんだよ、俺ら!w
ベラ:まず、遺跡の説明からしようよ!
シター:その前に、エルザとエイラ様を会わせよう。指輪のことは、いったん置いておいて。
GM:では、エイラ様の部屋をノックする。
リナ(GM):「すみません。お会いしたいという方がいらっしゃるんです」
GM:リナが扉を開け、エルザを中へ通す。エルザの姿は、昔とほとんど変わっていない。けれど、エイラは70歳のおばあさんだね。
エイラ(GM):「あなたは……。随分と懐かしい。久しぶりね」
エルザ(GM):「あの頃は、私も幼かった。いろいろ失礼なことをして、申し訳なかった」
GM:エルザが頭を下げる。
エイラ(GM):「何のことだったかしらねえ。何も覚えていないわ。それに、急にどうしたのかしら?」
ヴロン:指輪のことも話していいかな。
シター:話さないと、エルザが来た理由も説明できないしね。
ヴロン:俺が渡すと、また「これに見覚えは?」とか言い出すから、他の人に渡してもらおうw
GM:では、エルザが袋から指輪を取り出す。
エルザ(GM):「実は、これを返しに来たんだ」
エイラ(GM):「それは……!」
GM:エイラ様の顔が、ぱっと明るくなる。駆け寄ってきて、指輪を握りしめた。
エイラ(GM):「どうして? 泉の中に沈んだはずでは……」
GM:指輪を取り戻した経緯と、グレンを殺したザディウスを討ったことを話す。それから、グレンが50年前、一緒に行こうと約束した遺跡の話もする。
エイラ(GM):「確かに、行くことは大切だけれど……7日には、祭典が……」
ベラ:祭典は大丈夫ですよ!
リナ(GM):「神殿の皆さんも、休んでいただいて構わないとおっしゃっています」
エイラ(GM):「けれど、皆さん、私の説法を待っていてくださるから……」
GM:この世界で、高位の神官の説法は大切なものだからね。現代の感覚では説法なんて「校長先生のお話」ぐらいに思うかもしれないけれど、街の人たちは期待している。ただ、神殿では代役を立ててもいいと思っている。
シター:エイラ様以外の神官が、全員駄目なわけでもないしね。
リナ(GM):「エイラ様がお話しになる内容は、これですよね」
GM:リナが、説法の本に書かれている文章を、何も見ずにすらすらと唱え始める。最後まで淀みなく言い切ったね。
ベラ:まさか……まさか!
シター:じゃあ、あとはエイラ様のお心一つってわけで。
GM:エイラ様は、すごく悩んでいる。けれど、リナの言葉を聞いて……。
エイラ(GM):「リナ、お願いできる?」
リナ(GM):「はい、エイラ様! 私でよければ。エイラ様のお役に立てるなら、何でもします」
GM:エイラ様が認めた代役なら、神殿の人たちも受け入れてくれる。これで、7日は君たちと一緒に出かけられることになった。
ベラ:やった! 馬車も用意してあります。じゃあ、7日まで進めましょう!
シター:そうしよう。
GM:7月7日。朝からリナが、神殿で1時間ごとの説法を行っている。とても淀みなく、立派に話しているよ。君たちはエイラ様とエルザを連れて、馬車で例の湖畔までやってきた。
シター:エイラ様に指輪をつけてもらって、橋の方へ行こう。
GM:すると、今まで見えていなかった、水上にコテージほどの大きさの建物が現れる。
ベラ:え!? 見えてなかっただけ? それとも、本当に今現れたの?
GM:そこは、ソーサラーでなければわからない。
シター:触れます?
GM:触れるね。みんなにも見えるし、一緒に入ることができる。
ヴロン:じゃあ、中へ。
GM:中は、かなりファンシーな造りだね。ピンクのカーペットに、紫色の壁紙。
ベラ:目がチカチカしそう。怪しいホテルみたい(笑)
シター:指輪を使う場所は?
GM:奥に、指輪を置くような場所がある。
シター:再生する場所かな。一応、冒険者らしく罠を調べておこう。(ころころ)10。
GM:罠はない。広くはない中、寝室は広い間取りになっていて、部屋の真ん中には映像を映すような設備がある。寝室の奥には二つの部屋があるけれど、扉はロックされている。
シター:危険な感じの遺跡ではなさそうだね。
GM:エイラ様が指輪を持って中央へ近づくと、緑の光がふわっと灯る。周りの空間に、映像が映り始めた。
ベラ:どんな映像?
GM:一つの場面が流れて、次の場面へ移っていく。最初は、古代王国時代の男女。女性が緑の指輪を、男性が青い指輪をつけている。
シター:その青い指輪、見たことあるぞ。記憶術で思い出せるかな?(ころころ)10。
GM:第1話で、リノがつけていた指輪だね。親しい人に死が近づくと、夢でわかるという、あの指輪。
ベラ:ああ、あれか!
GM:それと対になって、女性は、この緑の指輪を持っている。映像の中では、何度も女性に危険が迫って、そのたびに男性が助けているよ。
ヴロン:そういう用途だったんだね。
GM:最後の方で、女性がこの場所へ来ようとしている場面になる。激しい嵐に襲われ、橋が崩れ、湖へ落ちてしまった。男性が駆けつけて引き上げるけれど、女性はその後、病気になって亡くなってしまう。
ベラ:相方がいなくなっちゃった……。
GM:記録は、指輪を受け継いだ男性のものへ移る。彼は女性を弔った後、この建物の奥の部屋に、宝物をしまっていく。右の扉には緑の指輪を、左の扉には青い指輪を掲げているね。
ヴロン:二つの指輪で、それぞれ開くんだ。
GM:それから、指輪が何人もの人へ渡っていく場面が続く。そして、やがて、一人の戦士が映し出される。その姿を見て、エイラとエルザが息を呑んだ。
シター:グレンだ。
GM:そう。グレンが指輪を持っていた頃の冒険が、鮮明に映っている。隣には若いエルザと、魔術師のリックもいる。それを見て、エルザは涙を流しているね。
シター:持っている間、ずっと記録されていたんだ。
GM:エルザがエイラに意地悪をしていた場面も、いくつか映った。そして、グレンがエイラに指輪を渡す。
GM:ここからは、エイラの記録になる。若いエイラが、グレンの帰りを待っている。けれど、彼は帰ってこない。やがて、泣き崩れるエイラの姿が映る。
GM:それでも、神殿で過ごすうちに、エイラは「私が、この街の人たちを幸せにしなければならない」と心を決めた。子供たちに献身的に接し、人々を助けていく。助けられた人が、「ありがとう」と言う。
GM:30歳、40歳。姿は少しずつ変わっていくけれど、エイラの思いは変わらない。次の場面でも、その次の場面でも、ずっと「ありがとう」と言われ続けている。
GM:50歳、60歳。寝る間も惜しんで、子供たちや街の人々のために働いている。その記録にも、何度も「ありがとう」が聞こえる。
GM:そして、70歳になった、つい最近のエイラ様。南の村で石になってしまった子供を、助けてほしいと頼まれている。どうしたら助けられるのか、悩んでいるね。苦肉の策で、自分を誘拐してもらうことを考える。君たちが関わった、第1話の出来事だ。
GM:さらに記録は進む。湖畔で滑って転びそうになったリナを、エイラ様が支えようとする。その拍子に指輪が落ちて、水の中へ沈んでいく。そこで、一度映像が途切れた。
マーシュマン(GM):「これは何だカッパ!」
ベラ:カッパ!(笑)
シター:あいつの記録まで始まるのか!
マーシュマン(GM):「要らんカッパ。ポイ!」
GM:指輪を手放したところで、映像が終わったね。
シター:結局、拾い直したんだな(笑)
GM:記録を見ているうちに、エイラとエルザは、すっかり打ち解けている。
ヴロン:さて、財宝があるんだよね?
シター:緑の指輪なら、右の部屋が開けられそうだ。
ヴロン:じゃあ、開けてみようぜ。
GM:エイラ様が緑の指輪を持って近づくと、カチッと音がして扉が開く。中は宝物庫になっている。目につくのは、靴と袋だね。
ベラ:袋? 靴?
GM:まず、靴は片方だけ。右足用だよ。
シター:鑑定できる?(ころころ)8。
GM:わからないね。小さな靴だ。魔法の品のようだけれど、効果は不明。
ヴロン:袋は……14。
GM:これは無限のバッグのⅡだね。背負い袋で、5m四方までの物体を大きさを無視して背負い袋に入れる事ができる。ただし、入れた物の重さはあるので使いどころが難しい。
シター:もう一種類、重さを無効にするバッグもあったよね。
GM:そちらはⅠだね。さっきの映像からすると、左の部屋には、もう片方の靴や、もう一種類のバッグがありそうだ。
ヴロン:二つのバッグを組み合わせたら、たくさん入って重さも感じないわけか。
シター:青い指輪が必要なんだね。
エイラ(GM):「この宝物は、あなたたちに差し上げます。私たちには、あの映像を見られたことが、何よりの価値ですから」
シター:ありがとうございます。
ベラ:二つとも持っていこう。バックは片方でも価値があるし、青い指輪を持ってくればもう片方も手に入るかもしれないよ!
ヴロン:現役の冒険者だから、利益は受け取っておかないとな。
シター:青い指輪でも、7月7日には入れるんだろうね。
GM:そうだね。もう一度来るなら、来年になる。
ベラ:靴を揃えたいな。
ヴロン:じゃあ、青い指輪を探そう。
シター:持ち主はわかってるでしょ。1か月前に会ったんだから。石になってた女の子のお姉さん。
ベラ:リノだ。
シター:必要になったら、ニーナにお姉さんの居場所を聞きにいこう。
GM:では、君たちは馬車でグリーンレストに帰ってきた。馬車も返して、今回の冒険は終了。経験点は2500点だよ。
ベラ:2500!? レベルを上げられるか、確かめたい!
シター:俺はシーフを上げたいな。
ヴロン:プリーストを4にして、余りでセージを取ろうかな。
ベラ:シャーマンを上げたいけど、足りない。貯めておこう。次のために!
GM:ちなみに、ガルフネットもほくほくです。合計6万ガメルも報酬が入ったから。
ヴロン:あいつ、6万ももらったのか!
シター:1万ガメルの方、こっちの報酬で確定させとけばよかったよ、マジで!
GM:では、今回のお話はこれで終了です。お疲れさまでした!!




