表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
65/103

武将 古田織部 第65話 犬山城の占拠と小牧山の対陣

大坂から戻ってしばらく、

上久世荘の空気は、さらに落ち着かないものになっていた。

右近の言葉が、まだ胸の奥に残っている。

犬山が揺れれば、尾張全体が動く──

その事実が、静かな村に影を落としていた。

昼前、馬の蹄の音が響いた。

使者の顔は強張っている。

「犬山が……池田恒興の謀反です。」

その一言で、重然の背筋に冷たいものが走った。

戦が始まったとは誰も言わない。

だが、現実だけが先に動いてしまう瞬間だった。

使者は続けた。

「家康殿、小牧山に入られたとのこと。

  尾張北部は、もう対陣の形にございます」

小牧山──

重然はその名を地図でしか知らない。

だが、独立した山で守りに強いという話は聞いていた。

そこに家康が入るということは、

戦の形が固まったも同じだった。

風が強くなり、畑の麦がざわめいた。

遠くの空が、ゆっくりと暗くなる。

戦は、いつも遠くから始まる。

だが、その影は必ずこちらへ向かってくる。

重然は静かに息を吐いた。

まだ鎧は着ていない。

だが、胸の奥の熱だけは、確かに戻ってきていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ