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武将 古田織部 第46話 播磨・丹波攻め
代官所の門前に馬の蹄の音が響いた。
使者は息を切らしながら書状を差し出す。
「奉行所より急ぎの沙汰。
上久世荘より兵三十名を率い、
播磨国三木城下へ参集すべし。」
その一言で、代官所の空気が変わった。
重然は書状を受け取ると、
すぐに名主たちへ使いを走らせた。
昼過ぎ、名主たちが代官所に集まった。
緊張した面持ちで座り込む。
「まず人数だ。」
重然は静かに言った。
「上久世荘として三十名を出す。
各家の負担はこれまでの軍役に従う。
名主の家は二名、他の家は一名ずつ。
不足分は若者を出して補え。」
名主たちはうなずき、互いに顔を見合わせた。
「槍の穂先、弓の弦、鎧の紐……
すべて明朝までに点検せよ。
草鞋は五足ずつ持たせろ。
兵糧は五日分、俵に詰めて運ばせる。」
重然の声は落ち着いていたが、
その指示は細かく、迷いがなかった。
名主たちは次々と立ち上がり、
村へ戻って準備を始める。
代官所の庭には、
槍を持った若者たちが集まり始め、
武具の音がかすかに響いた。
重然は彼らの歩き方、
槍の持ち方、
顔の強張りを一つずつ見ていった。
戦の命令は突然だった。
だが、荘園は確実に“戦の空気”へと変わりつつあった。
重然は静かに息を吸い、
これが自分の“武将としての第一歩”であることを悟った。




