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武将 古田織部 第2話 家の朝

庭の中央では、父が箒を動かしていた。

箒の先が砂を押し、細い筋が続いていく。

父は庭の端から中央へ向かい、筋をそろえていく。

「重然、そこに立つと邪魔になる。」

父は箒を止めずに言った。

重然は一歩下がった。

砂の線はそのまま残る。

父は箒を庭の隅に立てかけた。

そのまま弓掛けへ向かう。

弓掛けの前で足を止め、弓を手に取った。

弦を軽く引く。

短い音が庭に広がる。

父は弓を構えたまま、庭の中央へ戻った。

光が弓の端に当たり、細い部分だけ明るくなる。

「よし」

父は弦をもう一度引いた。

音が空気を押し、重然の足元まで届く。


縁側では、姉が井戸から汲んだ水を運んでいた。

桶の底が板に触れるたび、短い音がひとつずつ落ちる。

水面は動かず、縁の丸い部分に朝の光が当たっていた。

「重然、そこ濡れてるよ。」

姉は重然の足元を一度見てから、縁側をまっすぐ進んだ。

台所の入口に入ると、空気が少し冷たくなる。

姉は桶をゆっくり下ろした。

桶の底が板に触れ、低い音が響く。

姉は棚から器を取り出した。

器の縁が指に触れ、位置が少しずれる。

一つ目を板の上に置くと、薄い音が小さく響いた。

その音が消える前に、二つ目の器が並ぶ。

火の準備に移る。姉は薪の細い束を手に取った。

束の端が板に当たり、乾いた音が続く。

姉はかまどの前にしゃがみ、薪の向きを少しずつ変える。

薪と薪の間にできた細い隙間に、朝の光が入り込む。

姉の手は止まらない。


庭の奥では、爺が薪を割っている。

「重然、危ないから近づくな。」

爺は割った薪のそばを指した。

足を肩幅に開き、斧の柄を両手で握る。

斧の刃が朝の光を受け、細い部分だけ明るくなる。

爺は斧をゆっくり持ち上げた。

肩の高さを越えると、腕の角度が一定になる。

斧の重みで柄がわずかに沈む。

爺は狙う位置を見て、足の向きを少し変えた。

薪の割れ目がまっすぐ前に来る。

斧が落ちる。

刃が木に入る瞬間、短い音がひとつ出る。

木の表面が割れ、左右に開く。

割れた木の端が地面に当たり、乾いた音が続く。

爺は割れた薪を横に寄せた。

薪が地面に触れ、土の上で止まる。

爺はまた斧を持ち上げる。

腕の角度が先ほどと同じ位置に戻る。

斧の刃が光を受け、明るい部分が細く伸びる。

もう一度、斧が落ちる。

刃が木に入る音が庭の奥まで届く。

木が割れ、二つの塊が左右に倒れる。

倒れた薪が重なり、低い音がひとつ響く。

爺は斧の柄を握り直し、次の薪の前に立った。

足の位置を整え、薪の向きを手で直す。

薪の端が地面に触れ、土の色が少し変わった。


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