四話
俺は、ミトに付いて行って宮殿の階段を駆け上がった。
そして、向かった先は…。
「救護隊、副隊長のミトです」
「ミトさんですか。では王の間へ」
「失礼します!ほら、あなたも来てください!」
「お、おお…」
ミトにがっしりと腕を掴まれ、引きずられるようにして王の間へ連れて行かれる。
「ま、待ってくださいミトさん。その男は…?」
ミトは兵士の問いかけを無視して、どんどん王の間へと入っていった。
王の間には、数人の兵士と大臣、そして玉座に座る初老の王がいた。
「失礼します」
「…来たか。では王、話とは?」
兵士隊長のような人物がそう話すと、王はゆっくりと話し出した。
「…簡潔に言おう。デーモン達に息子が拐われた!」
「なんだって!?」
「王子が…!?」
「いつの間に…!」
「護衛は何をしていた!?」
「鎮まれぇい!」
「…王、すぐにでも救出部隊を編成して突撃しましょう!」
「いえ!ここは少数で王子を助け出すべきかと!」
兵士達はやいのやいのと議論が繰り広げている。
「ええい!では勅令を出せ!息子をなんとしても取り戻すのだ!」
「ではー」
「お待ち下さい!」
突然、今まで黙っていたミトが声を上げた。
「王子の身の安全を確保する為には、すぐに本拠地へ向かうべきかと思います!」
「…ミト。そこまでいうのなら、お前になんらかの策があるのか?相手は魔術に長けたデーモンの集団だ。我々が無策で突撃したところで負けは見えている」
「…それは」
ミトの発言を遮るように、俺は前に出る。
「ならば、私が王子を助け出しましょう」
王にそう言うと、王は物凄い剣幕で俺に怒鳴り散らした。
「…貴様が、か?自分を勇者だと偽った詐欺師が!図に乗るなよ!」
…当然だ。先の一件で、俺の信用は最底辺まで落ちている。これでは意味が…。
「彼が信用できるかはともかく、彼の腕なら私が保証します」
後ろにいたミトが、王にそう告げた。
「貴様、こいつを庇うつもりか!?」
「いえ、そうではありません。私は、この男を利用すべきだと思っているのです」
「…利用?」
…ミトは一体何を言っているんだ?
「ご存知の通り、この国で魔法を扱える人物は限られています。しかし、デーモンとの戦闘に魔法なしで挑むのは愚策です。ですから…」
そう言いながら、ミトは懐から黒い角を出した。
「一人でデーモンと渡り合える、この男を戦力として使うべきだと私は思います」
「それは、デーモンの角か…!?」
「あの男が倒したのか…?」
「そんな馬鹿な…」
「ぬぬぬ…確かに言うことも一理ある、しかしこの詐欺師のことだ、また裏切られたら…しかし、息子の無事を考えれば…」
…どうやらこの国は魔法があまり進んでないらしい。だからデーモンに狙われ、襲撃されたのかもしれない…。
「仕方がない。私が監視役として行きます」
「コルネイアか。…頼んだぞ」
「お任せください」
銀色の鎧に身を包んだ、筋肉質な男が監視役として名乗り出た。
「サンブラ王国第十二弓兵兵士長、コルネイアだ。俺の目の黒いうちは、貴様の悪事は見逃さんぞ」
「ああ…よろしく」
「それじゃあ、私も付いて行っていいですか?」
ミトも名乗り出る。
「…ミト、私の信頼を裏切るなよ」
「わかっています。私は、この男を庇うつもりはありません」
「ならばいい、行くぞ、時間が惜しい。」
そう言って、コルネイアは大弓を担いで王の前から出て行く。
「失礼します」
「失礼します!」
「…失礼します」
ミトと俺は、コルネイアに付いていき王の間から出た。
デーモンに襲撃されなかった服屋を見つけ、間に合わせの服を買う。
「650エルです…ちょうどですね」
「ありがとうございましたー」
「ようやく帰ってきたか、罪人」
「…いい加減罪人呼びはやめてくれません?俺にはタルスって名前が…」
「罪人は罪人だ。ケジメはキッチリとつけさせてもらう」
硬いなあ…。
「ああ、ミト。コートありがとう」
そう言って、俺はコートをミトに返す。
「…洗って返すとか、ないんですか?」
「そうしたいけど時間がないだろ。許してくれ」
「…わかりました。今日は妥協しますか」
「…デーモンの本拠地はすでにわかっている。森を夕方までに越えるから、そのつもりでな」
「わかりました」
「了解」
そして、俺たちは城下町を抜けてデーモンの本拠地へ向かった…。




