二十六話
漕ぐ。
漕ぐ。
漕ぐ。
「ふぁいとー」
漕ぐ。
漕ぐ。
漕ぐ。
「がんばー」
漕ぐ…。
漕ぐ…。
「ほれがんばれー」
漕ぐ………。
漕………ぐ…………。
「無理…休ませてくれ…」
「えー。もうギブ?」
「馬鹿言え…もう4時間は漕いでるわ…腕パンッパンだぞ…」
「しょーがないなー。ちょっとくらいなら寝ていいよ」
「助かる…それじゃおやすみ…」
船に横になって、目を閉じれば、そのまま俺の意識は落ちていく…。
「おーい。おーきーなーさーいー」
「…ん?」
「ん?じゃない。もう寝てから2時間経ってる。おーきーなーさーい」
目を開けると、太陽がもう沈みかけていた。
目指していた島が遠くに見える場所…ということは、寝てる間に波で少し進んでいたらしい。
「…マジか。腕は…ちょっと楽になってるな。それじゃもうちょい頑張るか」
「おー。がんばれー」
それから二時間ほど漕ぎ続けて、ようやく島に上陸できた。
「…つ、着いた…」
「おつー。手続きはしたげるからちょい休んでなー」
「助かる…」
腕を休めながら、港に繋がる街を見る。
この島々は、昔は魚人や人魚とともに成長した島々らしく、今でもその名残か町の全域や道路の脇には水路が通っている。そのため、ベルレでも町を自由に動けるのだ。
…まあベルレはいざとなったら浮遊魔法で浮けるらしいが。
「終わったよー」
「ありがとうベルレ。それじゃ宿とって寝るか…」
「そだねー。…あ、ちゃんと別部屋取ってよ?」
「わかってるよ…」
そして俺たちは、二部屋宿を取った。
ベルレは「んじゃ寝るわー」と言ってすぐに寝たが、俺は風呂と飯を食ってから寝ることにした。
源泉を引っ張ってきたという温泉で体を癒し、少し騒がしい感じもするコックが作る海鮮丼を食べる。
そして、食べすぎて眠れそうにないので、少しロビーのソファーに座っていた時であった。
ドタドタと騒がしく階段を駆け下りる音で微睡んでいた俺の目が覚めた。
「…うるせえなあ。誰だ一体」
階段を駆け下りた奴は、そのままフロントに叫んだ。
「あ、あの!連れの容体が悪くなってしまって…!お医者さんはまだ着きませんか…!?」
…ん?この声、まさか…。
そう思い、その女性に声をかける。
「…ミトか?」
「…あなたは…タルスさんですか!?生きてたんですね…!よかった!ってそれどころじゃないんです!コルネイアさんが!コルネイアさんが大変なことに…!」
「…どうしたんだ?コルネイアになにが…?」
「コルネイアさんが…毒で死んでしまいそうなんです!」




