二話
俺の処刑まで、あと二日。
「はあ…」
俺は無実…ってわけではないけど、自分が悪いことしてないのに罪に問われるのは少し思うところがある。
「はあ…ここで俺の人生終わりかあ…」
…そして、何もできずに時が過ぎていく…。
次の日。兵士たちが慌ただしく城を走る音で目が覚めた。
「おい急げ!」
「敵が来たぞー!」
「行け行けー!」
「…?今日は騒がしいな…」
その時、一斉に牢獄の扉が開けられた。
「囚人!全員出ろ!」
「おいおい、ついに出れんのかあ!?」
「待ちわびたぜえ!」
「イヤッホー!」
そして、囚人達がハイテンションで外に出る。
「おい貴様!なにをしている!早く外に出ろ!」
「…え?」
「今は猫の手も借りたい状況なんだ!早く来い!」
「はあ…?」
そして、兵士に半ば引きずられるようにして俺は宮殿に連れてかれた。
…横を見ると、数人いた囚人達の枷が外されている。
そして、俺の枷も外されており、預けていた剣も返された。
「あの、これは一体…?」
ガタイの良い兵士に聞いてみる。
「…?ああ。あんた、この国の住民じゃねえのか。なら説明してやる」
兵士は気さくに答えてくれた。
「この国の囚人は、国が魔物に襲撃されたときに兵士と一緒に戦う義務があるんだ。そして、その戦闘で良い戦績を収めた奴は、罪が軽くなる。だからこいつらはみんな死ぬ気で戦ってくれるんだ」
「なるほど…」
それなら好都合だ。もしここで俺が魔物達を撃退できたら、すぐに釈放とはいかずとも処刑にはならないかもしれない。
「それじゃあ、行ってきます」
「おいおい、剣一本で行くのか?せめて盾とか鎧とか」
「必要ありません。これ一本あれば事足ります」
兵士の言葉を遮るように、俺は答える。
「死ぬ気か…?あんた…」
「死ぬ気はないですね。必ず帰ってきますよ」
そして俺は、宮殿を抜けて外へ出た…。
「おい待て!監視役を…クッソ!」
「…私が行ってきます」
「おお、助かる!頼んだぞ、ミト!」
宮殿を出て城下町へ向かうと、そこは阿鼻叫喚の地獄だった。
というのも、攻め込んできたのがデーモン系統の敵ばかりなので…。
「おおおお!」
ブン!
「でりゃああ!」
ブン!ブン!
「ひ、卑怯な…!降りて戦ってこい!」
…そう、剣の攻撃が届かないところから、敵は攻撃してくるのだ。
「ケケケ!口程にもねえな!くらいやがれ!」
「ー闇よ、拡散せよー」
指先から放たれた闇の波動が、兵士たちを吹き飛ばす。
「ぐあああっ!」
「ぬううううっ!」
そのまま、デーモンは兵士たちにトドメを刺そうと近づく。
「…させるかよ!」
走り出し、剣を抜く。そして大声でデーモンの注意を引く…!
「うおおおおおおっ!」
「チッ!新手か!」
俺の接近に気づいたデーモンが、大きく飛び退く。
「クケケ!しかしお前も剣士か。バカな奴ばかりだよここは」
「この兵士達と同じかどうか…確かめてみろよ」
「クケケ!面白いガキだ!なら試してやる!」
そう言うと、デーモンは飛び上がり…。
「ー宵闇よ、敵を砕けー」
掌から黒い球が飛び出し、俺に一直線に飛んでくる。
「…っ!」
俺はデーモンの方に走るが、球は俺を追尾して追ってくる。
「無駄だ!これで三人…呆気ねえなあ!」
「うおおおっ!」
そして、黒い球が俺に着弾して…!
ドガン!
「さて、あの兵士達にトドメを刺しに…」
「…どこを見ている?」
「…何っ!?貴様、なぜ生きている!?」
魔法を正面から食らってボロ切れになった服を脱ぎ捨て、脚力を活かして思いっきり飛び上がる。
「飛び上がるのはミスだったなあ!喰らえ!」
「ー闇よ、拡散せよー」
「ー封魔の鉄壁、ここにありー!」
闇の波動が俺を襲う。しかし、その波動は半透明の壁に阻まれた。
「何っ…!?障壁魔術だとおっ!?」
「貰った!」
「剣技…クロスブレイド!」
x字の連撃が、デーモンの体をぶった斬る。
「馬鹿な…!貴様、何者だ…!」
そう叫ぶデーモンに、俺は答えた。
「勇者になれなかった、紛いもんだよ」




