十六話
「ん…?」
柔らかなベッドの上で、俺は目が覚めた。
「あれ…?俺は椅子に縛られてたはずじゃあ…?」
そして周りを見渡し、気付く。
「…すー、すー…」
サギリが、俺と同じベッドで寝ていた。
「うん。とりあえず…自分の部屋戻るか」
サギリを起こさないように、俺はこっそりと部屋を出た。
ミトと食堂で朝飯を食っていると、サギリが二階から降りてきた。
「ふああ…あっ。…お、おはよ」
「おはよう」
「おはようございます、サギリさん。ここのパン、とっても美味しいですよ」
「そっか…女将さん。今日のオススメのパンは?」
「今日はねえ…そうそう!タンドリさんのところからいい卵が来たのよ!生みたてはやっほや!」
「おー…じゃあ卵サンドがいいな」
「あいよ!ちょっと待っててね」
そうして、注文を終えたサギリが俺たちのところに来る。
「うー…あー…体痛い…」
「昨日は本当にごめんなさい…」
「うん、それは気にしてないからいいよ。我ながら昨日はだいぶ冷静さを失ってたから…」
「…さ、サギリ。あの」
「タルス。…ちょっとお話しない?」
「別にかまわんが…なんだ?」
「ちょっと、ね」
二人で外に出て、人のいない路地裏に向かった。
「…話したいことは、昨日の夜のことなんだけど…」
「ああ、あの話か。あれなら…」
「忘れて」
「…え?」
「ほんと、お願いだから…忘れて!」
「…まあ、お前がそうして欲しいなら…いいよ。なかったことにしよう」
「…うん。よろしく」
そして、大きく深呼吸して…。
「よおおおおし!これでもう終わり!タルス!今日から頑張ってセラフに向かうよー!」
…どうやらこれで完全に気持ちを切り替えたようだ。
「そうだな…。頑張るか」
「…よし、全員準備できたな?」
「ああ。僕も準備万端だ」
「行くか。セラフはここから森を抜けた先だ」
「それじゃいこー!」




