十話
俺たちは、宮殿に入りそのまま王の間へと向かう。
そして、王の間では王と大臣がいた。
「おお!帰ったかコルネイア。さて、我が息子は…」
「王!一刻も早くここから逃げー」
「チッ、生きていたか…コルネイアアアアア!」
大臣がそう叫び、王にナイフを突き立てる。
「なっ!?大臣、貴様…!」
「…やはり貴様か!」
「クックック…もう隠す必要もない!そう!我こそが魔王様に忠実に使える魔王八兵が一角…裏切りのセクター様だ!」
そう言って、大臣は体を異形の姿に変えた。
体は黒く染まり、全身は2倍ほどの大きさに。深い紫の翼は天井に届きそうなほど肥大し、デーモン特有の巨大なツノが額から浮き出る。
「魔王…」
「…八兵!?」
「魔王の手の者か!?」
「フハハハハ…!さて、バレてしまったら仕方がない。せいぜい頑張って王子を探すんだな!」
そう言ってセクターは天井を突き破って空に飛んた…!
「我が相手している暇はないのでな!オリュシオン!そいつらを殺せ!」
「お任せください」
そう言って、セクターは東の空に飛んでいった。
…王の間には、俺たち四人と、投げ飛ばされた王。そして…。
「さあ、皆殺しといこうか」
セクターの配下、オリュシオンという剣士がいた…。
「みんな、戦闘準備!デーモンもこっちに向かってきてるよ!」
「了解!」
「…クッソ!さっさと片付けてやるよ!」
「王は私が護衛します!皆さんは敵を!」
「はあっ!」
「ふんっ!」
剣と盾が激しくぶつかり、火花が散る。
「っ…。なかなかいい剣撃だ。だが僕には届かない」
「くそっ!」
こいつ、職業はパラディンか!物理攻撃と魔法攻撃、その両方に強く、仲間の盾となる職。
一方俺は剣聖。勇者になろうとして学んだ魔術はあるが、基本は剣技一つで戦う職であり、搦手などの妨害手段はないに等しい。
「…はっ!」
「ふっ!」
返しの刃も、盾に防がれる。
「くっ、おおおおおっ!」
俺は雄叫びをあげながら、オリュシオンに突撃する…!
「クケケケケ!王の首を大人しく差し出せ!それがあればもっともっと俺は昇格できる!」
「…断ります!」
デーモン…いや、デーモンの中でもエリートに分類されるデーモンと、私は交戦していた。
「ー氷刃よ、乱れ舞えー!」
「ー炎柱よ、焼き尽くせー!」
地面から現れた火柱により、私の氷刃は解けて消える。
「っ…!」
このままではジリ貧だ。そう思った瞬間…。
「短剣技…蠱毒の一突き!」
穴の開いた天井から、エリートデーモンに向かって勢いよく飛び降りる人影があった。
「っ!?グギャッ!」
「…一丁上がり」
「サギリさん!?」
サギリさんが、短剣をエリートデーモンの心臓に突き刺していた。
「…ガハッ!」
「よし、次!」
塵となってデーモンが消えるのを確認し、サギリさんは次の敵に向かう。
「援護します!サギリさん!」
「ありがとー!」
私も手をかざして、詠唱を開始する…!
矢筒から矢を一掴み。
「…」
丁寧に、迅速に、矢をつがえる。
「…」
狙うは、デーモンの援軍共。
「弓技…サイドワインダー!」
引き絞った弓を離し、魔力を纏った矢がデーモン共に襲いかかる。
「はあ、はあ…」
デーモンの魔術で相殺されないように矢に魔力を込めているが、俺の少ない魔力では限界がある。
おそらく城下町には、俺が落としたデーモンの死体が山積みになっているだろう。
「…まだ来るのかよ。全く…!」
もう一度矢筒から矢を掴んで、矢をつがえる。
「早いところ終わらせろよ、タルス…!」
「うおおおおおっ!」
「はあっ!」
振り下ろした剣が、盾に弾き飛ばされる。
「単調だな。もうその剣は全て見切った。そろそろ終わらせよう」
「ガハッ!」
オリュシオンの突剣が、俺の脇腹を貫く。
「ぐっ…!」
「このままこの剣を心臓に突き刺してやるよ!」
…ここがチャンスだ!
「オラァッ!」
「…!?なにっ!?」
オリュシオンの足にローキックをかます。突然の行動にオリュシオンは体勢を崩してしまう。
ここがチャンスだ、一気に畳み掛ける!
「剣技…流星剣!」
大きく飛び上がり、そのまま相手に勢いよく剣を振り下ろす…!
「ぐあああっ!」
振り下ろされた剣が、鎧を砕き肩にまで食い込む。
そのままオリュシオンの上に馬乗りになり、剣を首に当てる。
「…なあ、投降してもらえねえか?」
剣に手をかけたまま、俺はオリュシオンに話す。
「…無理だ。僕は、奴に操られている…」
「…なるほどな。なら簡単な話だ」
「…え?」
「ー精霊よ、かの者を戒めから解き放てー」
解呪の魔術を使い、オリュシオンの呪いを解いてやる。
そうすると、暴れていた四肢が大人しくなる。…どうやら、俺が使える程度の魔術でも抵抗できるレベルだったらしい。
「…ありがとう」
呪縛から解放されたオリュシオンは、そう呟いた…。




