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俺が育てた孤児の娘たちが、全員神様になってました  作者: 綺村 亮介


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02_プロローグ「孤児院の始まり」



――それから一ヶ月が経った――



 なんというか、この一ヶ月間は人生で最も濃厚な日々で、忙殺される毎日となった。


 まずは……そうだな、良い出来事から話そう。

 俺は、孤児院を作ることを決めた。

 手遅れになってしまった、院長の手向けとして。

 そして、寄辺を失った5人の子どもたちの為に。


 毎日毎日あちこちを奔走し、これまで培ってきた人脈をフルに使い、更には偉い人たちに頭を下げまくった結果、小さいながらも孤児院を作ることを許可された。


 孤児院の名前は、『パトリア孤児院』。俺の名字をそのまま使った、安直な名前だ。

 迎え入れるのはもちろん、5人の子どもたち。


 そして俺は、当然の流れというべきか、院長として面倒を見ることになった。

 国から多少の援助金は出るが、それでも稼ぎは必要なので、冒険者兼院長、という感じだ。


 5人の子どもたちについても少し話そう。

 助けた翌日に気づいたのだが、なんと全員種族がバラバラで、全員が女の子だった。


 一人は、非常に珍しい黒髪のエルフ。

 一人は、希少種として有名な猫人。

 一人は、最も強い種族と名高い竜人。

 一人は、世にも珍しいハーフの精霊。

 一人は、ただの人間。


 まさかまさかの、ただの人間が珍しいという逆転現象が起きてしまった。


 あんな大軍勢で、あの孤児院を襲った理由は今も分からない。

 だが、これほど特殊な孤児が集まった孤児院は他に存在しない。何らかの理由があって襲ったんだと確信している。



 次に、悪い出来事の話をしよう。

 俺は5人の子どもたちを独断で助けた。その事自体は仲間に褒められたが、当然烈火のごとく怒られた。

 正座させられ、一日中叱られた。さすがに涙が出そうだった。


 やっと怒りが収まった頃に、俺はおずおずと言った。

 孤児院を作るからパーティーを抜けたい――と。


 飛んできたのは罵詈雑言ではなく、メンバー全員の怒りの鉄拳だった。

 一ヶ月経った今でも、殴られた頬や腹や足がズキズキと痛む。さすがは『勇者』に最も近かったメンバーだ。威力が凄い。正直死にそうになった。


 まあ、殴られて当然の事をしたんだ。全面的に俺が悪い。

 更にケジメとして、メンバー全員から絶縁された。寂しいが……これについても文句は言えない。


 ただまぁ……差出人不明の援助金が、孤児院あてに時折届いている。それも、複数人から。

 全く、お人好しばかりのメンバーだ。ありがたくて涙が出そうになる。



 たった一ヶ月の間に、いろんなことが起きすぎた。

 人生が変わり、生活が変わり、生きる目標が変わり――。

 俺は、精神的にも肉体的にもずいぶんと疲れていた。


 それでも……それでも、あの怯えきっていた5人の子どもたちが、今や廊下を走り回ったり、イタズラしたり、ケンカしたり、おままごとしたりと、健やかに育っている姿を見ると、疲れなんてどこかに行ってしまうのを感じていた――。



◆-----------◆



――8年後――



 『パトリア孤児院』を設立した当初は、街の住人たちから反対の声が多かった。

 全員種族がバラバラの孤児だと知られると、不吉だと猛反発されることも多かった。

 だが今は、反対の声も、不吉だと言う人も居なくなった。


 8年もの間、俺が冒険者として――便利屋と言ったほうが正しいかも――街の依頼を親切丁寧にこなしていったのが幸をそうしたんだろう。


 もちろん、時間が解決した部分も多い。

 だけど一番の理由は、全員が良い子だからだろう。


 ちゃんと挨拶をする。ポイ捨てをしない。困っている人が居たら助ける――。

 5人の子どもたちは、俺の教えをキチンと守ってくれた。


 その結果、街の人たちは気軽に声をかけてくれるようになったし、時には食料や物資まで援助してくれるようになった。

 5人揃って街のイベントに呼ばれる事も多かった。もはや地元のアイドルグループ的存在、と言っても過言ではないだろう。陰ながらファンクラブもあるらしい。


 院長の俺が言うのもなんだが、5人とも愛嬌があるし、器量も良い。

 まだ13歳だが、将来はもっと美人になることだろう。もしかしたら、王女顔負けの美貌になるかもしれない。


 そうそう。ありがたいことに、5人の子どもたちは俺のことをとても慕ってくれている。

 8歳ぐらいの頃から、俺のほっぺにキスをして、将来は俺と結婚すると何度も言ってくれた。

 9歳になったから、お風呂は一人で入りなさいと言っても、俺と一緒に入るんだと絶対に聞かなかった。それも、全員が、だ。狭いお風呂が、更にギュウギュウ詰めだ。

 10歳になっても、街に出かける時はおんぶか、それぞれが好きな場所――俺の両腕だとか、頭とか背中とか胸とか――に、ピッタリとくっついて離れなかった。


 院長として、こんなに嬉しいことはない。

 ただまぁ……13歳になった今もそれは続いていて、ちょっと困ったりもしてるんだが……。



 ともあれ、『パトリア孤児院』の運営も、子どもたちの成長も、全てが順調だった。

 俺は、これ以上ないぐらいに幸せだった。

 このままずっと、ずっとずっと……幸せな日々が続くんだと思っていた――。



ここまで読んでいただき、ありがとうございます!


少しでも面白いと思っていただけたら、ブックマークや評価で応援していただけるとうれしいです。

ご感想も大歓迎です。


次回は10分後に更新します!

引き続き、本作をよろしくお願いいたします!

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