暁闇─Maak me wakker─4
(三)
普段ならば勤務時間前に出勤するアニカが、定刻を過ぎてもまだ店に来ていない。先程のローデヴェイクの話が鼓膜に残っており、俺は落ち着きなく時計を確認していた。
硝子皿を購入した客を見送ると店内の人気はなくなる。机上に置いていた硝子ナイフをレッグホルスターに収め、カウンターの外へ出る。革製の鞘に包まれた付喪神の喋りが、跫音と重なった。
『悪夢狩りの依頼はないのか。つまらんな。退屈だ』
「そう言われても、俺が夢魔を呼び出せるわけではないですから。今は休息期間だと思って大人しく休んでいればいいと思いますよ」
『あの白黒の小娘はどうした』
「白黒……リーセロットですか? 今日は来ていませんね」
リーセロットはここの従業員ではないし、彼女には彼女の生活がある。なにかあったらいつでも来て良い、とは言ってあるものの、どのくらいの頻度でここに来るかは分からない。店のバックヤードで彼女宛てのコップが待っていることを、彼女が思い出してくれればいいが。
贈り物を渡す前、というのはどうも落ち着かない。早く渡して楽になりたいものだ。
頭を振って意識を目の前に戻した。店の外に出るなり硝子戸の鍵を閉め、OPENの札を裏返す。路地から大通りへ進めば赤らんだ陽だまりが石畳を染めていた。この時間帯の街路はまだ賑わっていて、歩みの響きは雑踏に呑まれていく。
行きつけの果物屋や、アニカが好きなパン屋、入店したことのない喫茶店などを通り過ぎて目指したのは学校だ。俺も二年前まで通っていたため道は覚えていた。
アニカと交わした雑談をいくつも思い返しながら軒並みを眺める。学校帰りに雑貨を買った話、花屋に立ち寄った話、民家の大型犬に毎日吠えられる話。それらと結びつく建物を見つけるたび、楽しげな彼女を想起して口端が緩んだ。
住宅地の中ほどまで行けば学校は変わらず建っていた。敷地を囲う石壁を伝って正門を探す。授業の時間は終わっているようで、下校していく生徒達とすれ違う。この街の学校に制服はなく、各々異なる服装を纏っているが、学校指定の鞄により彼らが学生であると判断できた。
黒鉄の正門は開きっぱなしになっており、生徒たちが談笑しながら帰路を辿っていく。俺は彼らの流れに逆らって学校の敷地に踏み入った。
整備された芝生の校庭で運動部の生徒達が練習に励んでいる。叱責を飛ばしている顧問は、在学時に苦手だった教師だ。彼と目が合う前に顔を逸らした。
赤煉瓦の校舎に近付いて来客用玄関の戸を潜る。受付の女性が俺に気付くなり会釈をしてくれた。俺も軽く頭を下げてから微笑んだ。
「すみません、在学生のアニカ・スミットはまだ学校内にいますか? 彼女は俺の店で働いているのですが、勤務時間を過ぎても店に来ないので心配になって」
「お店……あらまあ、貴方経営者なの? てっきり学生のご兄弟なのかと思ったわ」
「えっと、そうですね、雇い主です」
「すごいわねぇ。ちょっと待っててね、アニカさんは……ファビアン先生のクラスね」
女性は離席してどこかへ歩いていく。残された俺は壁に背を預けて廊下を見遣る。通りかかる生徒はいないが、遠くから賑やかな声が響いてきていた。笑いさざめく子供達の声に、懐かしさを覚えて目を伏せた。入り口から差し込む西日が眩しく、閉じた瞼が熱を持っていた。
足音が近くなる。何人かが廊下を通り過ぎたのを感取して開目した。何気なく廊下のほうへ目線を移すと、ちょうどこちらに向かってきていた男性と目が合った。
スーツ姿の彼は、眼鏡の縁を摘まんでから目礼をしていた。熟す前のオリーブに似た両目が俺を訝しげに映していた。
「君が、アニカの雇い主なのか? 随分若いのに店を開いているんだな。歳はいくつだ」
「十九です。店は俺を拾ってくれた店主のものなので、俺はそれを受け継いだだけですね」
「そうか。私はアニカの担任、ファビアンだ。よろしく」
「ああ……俺はメイスです。よろしくお願いします。アニカから時々先生の話を聞いています」
ファビアンという教師について、俺が知っていることはアニカから聞いた些細な話しかない。彼は俺が卒業した年にこの学校に入ったようで、面識もなかった。だというのに見覚えがある。どこで彼を見たのか。思惟は問いかけに断割された。
「それで、今日はなぜ学校に? アニカがどうかしたのか?」
「学校には来ていますか? 彼女の保護者から、昨日は帰ってきていないと相談を受けまして」
「今日もちゃんと登校しているが……家出か?」
「家出、でしょうか。ただ、家出する理由もなさそうなので……。どこかで寝泊まりしているにしても、安全な場所だと良いのですが」
実家ではなく、『静寂の聖域』から家出したいとアニカは思わないだろう。彼女はあの環境によく馴染んでいた。子供達と楽しく遊んで、ローデヴェイクにも懐いていて、不満はなさそうだった。
眼鏡の奥でファビアンの翠眼が細められていく。切れ長の双眸は険を孕んで考え込んでいた。彼が黙考に浸ったのを見て取り、俺も言問うことなく返事を待っていた。
陽が傾いて日色も薄らいでいく。やがて彼が、数秒間の噤口をほどいた。
「アニカは、悪夢に悩まされていると聞いている」
悪夢。その単語が聴覚を揺さぶった途端、睫毛が跳ねていた。まばたきも出来ぬまま角膜が乾き出す。無意識下で止めてしまっていた息を飲み下し、唇を動かした。その唇も渇いていたようで、罅割れた不快感を覚えた。血の味がする。
「アニカが……?」
「ああ。授業中の居眠りや、成績不振が目立ってきていてな。それに目の下の隈も酷い。話を聞いたら毎日のように悪夢に魘されていて眠れないそうだ。眠れるように薬をあげたり、気分が少しでも楽になるよう夢占いの本を貸してやったんだが……気が紛れているかは分からないな」
「夢占い、ですか」
「怖い夢だろうが吉夢かもしれない。悪夢もそんなに悪いものじゃあない。夢占いがあればそういう風に考えられる。気休めでしかないが、年頃の少女にとっては楽しめるものだろう」
彼の真剣な目遣いに、俺は相槌を打つ仕草で俯いた。不思議な夢、程度ならば夢占いも楽しめるかもしれない。だが、眠れないほどの、飛び起きてしまうほどの悪夢の恐怖が、占いなんかで薄まるとは思えなかった。
病の兆候を誤魔化しているようなものだ。連続する悪夢は、悪でしかない。夢魔が関連している可能性も高いため、放ってはおけなかった。
お互い徒口になっていたが、彼が何かを思い出したように無音を攫った。
「そういえば君、リーセロット・オッセンドレイフェルと親しいのか? 先日、私が彼女の家を出た時、すれ違っただろう」
「え……」
「これまでは一度も会わなかったはずだ。だから、あの家には帰っていないのかと思ったんだが──ああ、いや。………偶然とはいえ、ようやく会えた」
言いにくそうに続けられたのは、独言か。静虚で柔らかだったが、吐息は氷を溶いた冷たさで外皮を滑っていく。彼の言葉を咀嚼して、なおも噛み砕けない。
今のはまるで、以前から俺を探していたかのような口吻ではなかったか?
彼は心情の気取れぬ厳格な顔つきのまま、一歩近付いた。硬直している俺の頬に彼が触れる。じっと瞻視された状態で己の息が浅くなっていくのを自覚していた。こちらの下瞼をなぞった彼が、ふ、と嘆声を落とした。
「少しだけ隈が出来ているな」
「あの、どうして俺に……」
「──ファビアン先生! 提出物のノート、集めてきたんですけど……」
割り込んできたソプラノに肩を跳ねさせる。廊下に立っていたのは女子生徒三人組。利発そうな金髪の少女がファビアンを見て、それから俺を見て、大人しくなっていった。
黒髪の少女の影から、小柄な少女が顔を出す。と、彼女は肩口で切り揃えられた茶髪を乱して素っ頓狂な声を上げていた。
「て、店長⁉ なんでこんなところにいるんだ⁉」
「アニカ。いえ、その……君が心配で」
「なんで⁉」
俺もアニカも普段通りの格好で、見慣れた姿だというのに、アニカは黒髪少女の後ろに隠れながら引き攣った喚叫を投げてくる。視線がぶつかりそうになるたび頭を引っ込めるものだから、まともに目も合わせられない。
金髪少女は抱えていたノートをファビアンに押し付けると、俺を壁際に追いやる勢いでこちらの顔を覗き込んできた。菓子を与えられた幼児さながら、爛々とした団栗眼が向けられて苦笑してしまう。
気付けば黒髪少女も傍まで近付いてきていて、新聞記者に詰め寄られる犯罪者の気持ちになってきた。
「っお兄さん、アニカが働いているお店の店長さんなんですか⁉」
「かっこいい~! 今度お店に行きますね!」
「……ありがとうございます。アニカが友達といる姿を見られて安心しました」
「店長、恥ずかしいから帰ってくれ~……!」
アニカは先程よりも俺から離れており小さく見える。柱にしがみついて唸る姿は怯える小動物のよう。臆病な子猫然として縮こまっていく様子に、俺は困り眉を作っていた。
「では、校門で待っていてはダメですか? 一緒に店に行きましょう」
「だめだ、なんか店長がココにいて喋ってること全部が恥ずかしい! とっとと帰って~‼」
「……恥ずかしい男で悪かったですね。店で待っていますから、道中気を付けて出勤するんですよ」
叫ぶなり完全に柱の陰へ隠れてしまったアニカ。彼女の友人二人も苦笑いを見合わせて、俺に会釈をしてから彼女の回収に向かっていた。どうやら彼女は座り込んでしまっていたらしく、友人二人がかりで彼女を引っ張り起こしていた。
俺はファビアンに挨拶をしてから、来客用玄関を後にした。
訪れた時よりも晩景は陰影を重ねており、天心から地平線にかけて色差しは溶暗していく。掠れた紅霞が幾筋も走っていて、茜空は絵筆の筆致が残ったキャンバスのようだった。軟風に木々がさざめく。運動部の生徒達が走っているのを横目に、校門までの道を辿り始める。
出し抜けの砂埃に目を細めた。強い風の温度は心地良いが、視覚にとっては煩わしい。葉音と学生の掛け声が合奏になっている。その音の中で、砂を蹴る駆け足の音差しがやけに近く感じた。
「店長~待って!」
アニカの呼声に爪先がぴたりと止まる。急いで俺を追いかけてきたみたいだ。
「なんですか、帰れと言ったり待てと言ったり……」
踵を返し、かえりみた先で彼女の顔は既に目睫にあった。瞳孔が直線で結ばれたのはたった一瞬。茶髪は俺の胸にぶつかって、細腕が腰に回されていた。
見下ろすと仄赤い光華を浴びた後ろ髪が身動ぎもせず胸元に収まっている。引き剥がそうかと思ったが躊躇われ、俺は持ち上げた片手のやり場に困っていた。彼女の気が済むまで触れずにいよう。そう決めて腕を垂下させると、抱擁は僅かに強くなっていた。まるで実体を確かめるように、彼女はしばらくしがみついていた。
夕轟きが遠くで鳴っている。烏が鳴いて、笛の音が跳ねて。深緑の木々から凋落した葉が、幾枚も砂の上に眠っていく。通りかかる人はいなかった。とうにほとんどの生徒が下校した後なのだろう。部活動をしている生徒達からも、木々に阻まれて見えない位置だった。
笛が再び吹かれる。ざらついた走行の音を聞きながら、俺は彼女のつむじを見下ろした。
「アニカ。どうしたんですか」
「んー……なんだかよくわからないけど、私のこと心配してくれたんだな、と思って……それは、嬉しかったから。ありがとーって、言いたかったんだ」
「そうですか。君は本当に、良い子ですね」
「……やっぱり、一緒にお店に行く。係りの仕事は終わったし、まとめたノートを提出したら後は帰るだけだったから、今すぐ帰れるぞ」
面を上げた彼女は得意げに歯を見せていた。猫のような童顔につられて笑みがこぼれる。彼女は腕をほどくと、俺の袖を引っ張って歩き始めた。
石畳を踏んでアニカに目線を落とす。またたく睫毛が頬に影を落としていた。その影よりも色濃い隈が、下瞼を縁取っている。凝視していたら彼女の虹彩が転がって俺を映した。気抜けた顔で首を傾げる彼女に、俺は片笑んだ。
「昨日は楽しかったですか? リーセロットとミハエル先輩と観劇したんでしょう」
「楽しかった! リースとミハエルさん、仲良しだな! ミハエルさんがふざけるとリースがすぐにズバッと突っ込んで、面白かったぞ。あと演劇! リースは興味無さそうに見てたのに最後はすごい泣いちゃってて、ミハエルさんは興味津々で見てたのに途中からいびきかいて寝ててな! 見終わった後はお茶しながら感想を話したり、店長の話で盛り上がったり、楽しかったな~」
雀が踊るようにアニカの足取りが軽くなっていく。喜色いっぱいの笑顔は微笑ましい。和やかに頷きながら話を聞いていたが、いきなり俺が話題に上がったことで口角が引き攣った。
「なんですか、俺の話って」
「あんまり食事をしている姿を見ないってリースが言ってたから、意外といっぱい食べるんだぞーって教えてた! 山盛りの野菜ばかり食べてたり果物が好きだったり、兎さんみたいだよなーって」
「兎」
「リースは白猫さんっぽくて、ミハエルさんは羊さんっぽいよな~」
そういう君も茶色の猫みたいですよ、と返そうとして、無駄口は溜息になっていた。昨日は本当に楽しかったみたいだ。彼女の目顔から歓楽がしかと見え、俺は胸を撫で下ろしていた。
住宅地の人通りは落ち着いており、息遣いの余韻も聞こえるほど清閑。涼しい風が吹き抜けて彼女が髪を押さえた。颯声に幽かな鼻歌が紛れる。聞き覚えのない旋律はきっと彼女が即興で奏でているものだ。
「最近は歌っていないんですか?」
「えっ、ああ……祈りの歌は歌うけど、それ以外で歌うことはあんまりないなぁ」
「君が俺の店に来る前……広場で歌っていた時の歌が、俺は好きでした。毎日、同じ歌を歌っていましたよね」
風韻はより強く高鳴った。流れる髪に引かれるまま、立ち止まったアニカがこちらを振り仰いだ。菫を溶かした二つの飴玉がつやめく。瞠目に射抜かれて、俺も足を止めていた。
小さな公園を背にしたアニカが、静かに俺を見据える。翠影に包まれても彼女の瞳は鮮やかだった。
彼女の両目が弓形にしなっていく。唇を噛みしめているように見えたのは気のせいだったかもしれない。彼女はとても嬉しそうに一笑した。
「えへへ……じゃあ、店長だけに特別に聴かせてあげよう!」
「え、今ですか?」
「今! 今歌いたくなったんだ! 店長は座ってて!」
彼女は周囲をぐるりと見回して、舞台を探し始める。半ば無理矢理公園のベンチまで引っ張られ、着席させられた。広い公園の隅は幸い人が少ない。遊具がある方角からは賑やかな声が僅かに聞こえてきていた。
祈る天使像の前でアニカは俺に笑いかけた。茶色いスカートを摘まんで役者めいたお辞儀を披露する。そうして彼女は、木漏れ日の下でまどろむように目を伏せた。
息を吸い込む音がこの場の空気を変えていく。歌が夕風を震わせた。
──灯りを落として、優しくない夜へ。囁き、沈んでいく──
歌い始めると彼女は一見別人のように大人びる。声色も表情も落ち着いていた。けれどその音柄に、その歌詞に、時折混じる幼さが哀韻を奏でる。
旋律は静かに燃え上がる炎と似ていた。次第に熱を増して、情動で喉を裂くように叫ばれていく。声帯が震えていた。歌声は揺らぐことなく美しいのに、その震えは痛ましかった。
メインフレーズに入る為の一息は掠れていて、幽咽としか言いようのない音。
追いかける詩は涙痕で綴られたものなのか、それとも憤然の刃で刻まれたものなのか。彼女は声を張り上げる。
──ほら愛に押し潰され死ぬ叫声。だけど生きてなきゃいけないの──
彼女はスカーフの結び目を握りしめていた。荒々しい風に髪を乱されても、彼女の白皙は胸元だけを締め付け続けていた。俯いた顔は上げられない。その表情は窺えない。
──この夢を抜け出すために、まだ、嗚呼──
上嗄れた声柄が正しい楽譜をなぞって泣哭した。
泣き出す寸前のような音骨が、甲高い一音で空を薙ぐ。
「『生きてなきゃいけないんだ』」
ラストフレーズに耳朶が痺れていく。その余響にとらわれたまま動けずにいた。先に動いたのはアニカだ。彼女は肩を揺らして息衝きながら顔を持ち上げていた。
睫毛に結ばれていた夕露が、零れ落ちる。
彼女の集中は泡沫に包まれ流れ出した。落涙のたび、毅然と立っていた姿は崩れだした。桃顔はどうにか笑おうとして、いびつな顰笑になってしまう。それは彼女も自覚したのだろう。俺が立ち上がると、彼女はこちらに背を向けた。気丈なふりで天使像を見上げる後ろ姿に、俺は優しく呼びかけていた。
「アニカ」
「っ、すっきりした! 久しぶりに思いっきり歌うとスカッとするなー! 店長どうだった? 良かった?」
「……ええ、素敵でした。だからアニカ、大丈夫です。こっちを、向いてくれますか」
葉擦れの音色に、靴と砂の擦過音が重なる。不安げに振り返ったアニカは、誤魔化せないほど泣いていた。
「っ……店長……」
沈みかけている紅鏡がまさやかに彼女の雫を光らせる。涙は枯れそうになかった。長い間溜め込まれた悲傷が、傷口を開かれたように流れ続けていた。
祈りの影を背負って、彼女は顔を覆い隠した。手を差し伸べても今の彼女には届かない。だから靴音を鳴らした。緩やかに近付く。囁きにほど近い緩声を、投げかけた。
「店に行きましょう。でも、今日は臨時休業です。君の話を聞かせてください。どんな話でもいい。何時間でも、聞きますから」
風に煽られた木の葉が、アニカの茶髪に絡みつく。髪の表面だけに触れるように、そっとその葉を掬いあげる。それは撫でる動作に似ていた。舞い上がった一葉は落日に塗られて赤く、遠ざかるほど火の粉のように瞬き、消えていく。
アニカはしゃくりあげながら、黒目だけを持ち上げて俺を窺った。
微笑を向けると彼女の泣き顔はいっそう崩れてしまう。それでも彼女は頷いた。俺の袖を引っ張って、もう一度強く、頷いた。




