表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死亡=現実でも死のバグ世界、お嬢様と執事の生存・脱出戦略~『詩忍にくちなし』~  作者: ふるなゆ☆


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

43/50

42.ハロミトと永遠姫

 ストリングスに指を引っ掛けた。


 "フォワード・パス!"


 前方に向けて放たれたヨーヨー。そのヨーヨーは棘だらけになった。

 ひとまず避ける。


「ヨーヨーが棘だらけになったんだけど。」


 "ブランコ!"


 ヨーヨーを下ろして、紐で三角形を作り、その上側からヨーヨーのある残りの糸を垂らす。そして、軽く前後させる。


「このヨーヨーはあたい専門に作って貰った特別性。回ってる時のみ棘が出る最強の武器さ!」


 カッコよく手元に戻してから、足元を狙った攻撃を仕掛けてきた。


 "クリーパー!"


 地面を勢いよく進むヨーヨー。足元にしか攻撃がこないので横に飛んで避けれる。


【パイプ椅子!】


 手下がパイプ椅子でハロミトの頭をぶん殴った。彼の足がふらつく。

 そりゃ、柄で押し出しただけだし、まだ倒しきれてないか。


 そんなことに気を取られてたら、重力を解いてしまった。


 重力で潰れてた手下も戦いに戻ってきた。

 先に手下をやらないと……。


 

 "アラウンド・ザ・ワールド!"



 永遠姫が大きくヨーヨーを回す。ギリギリで避けれた。けど、そこに手下の攻撃が来る。


【重火器!】【重力!】


 重火器を振り回して、襲ってきた手下を吹き飛ばした。


 "ループ・ザ・ループ!"


 やってくるヨーヨーの連続攻撃を重火器で防いだ。


「何度も何度も、仲間をぶっ倒しやがって。」


 ハロミトはまだ相手の手下と殴り合いをしている。つまり、この永遠姫は私一人で相手するしかなさそうだ。


「こっちも本気(マジ)で、やらねぇとなぁ!」


 ヨーヨーを垂らした。今度はそれを空高くに上げた。


 "ロケット!"


「ここからはあたいの能力を見せどころさ。」


 何やら技を放つポーズを取り出した。


【ルート!】


 ()り得ない軌道で進み出すヨーヨー。空中を自由自在に駆け巡ってきた。


 まるで追尾ロケットみたいに追っ手攻撃してくるみたい。……にしては、無駄も多い。


 ヨーヨーは独りでに動いて、ハロミトの周囲をぐるぐると周り出した。


【ループ】・ザ・ループ・ザ・ループ!


「これでお前は身動きを取れない。少しでも動けば棘ヨーヨーの餌食さ!」


 ハロミトと戦っていた手下が今度は私の方に向かってきた。永遠姫は二本目のヨーヨーを取り出した。


 放たれたヨーヨーは軌道を変えて、彼女が張る糸の上へ。その糸をトランポリンのように扱い、ヨーヨーを発射してくる。


 "ムーンサルト!"


 その攻撃は後ろに下がって簡単に避け……


【パイプ椅子!】背中に向かって振り回される一撃。


 痛い。痛すぎる。

 けど、負けてたまるかっ!

 そして、許せない。


「うりゃっ!」


 重火器を振り回してその手下を吹き飛ばした。


「パイプ椅子で殴ったお返しだよ。」


 そのお返しはパイプ椅子じゃなくて大砲だけど。


 とりあえず、ヨーヨーが邪魔で近寄り難い。

 なら――


 重力を解除して。ある程度、技を溜めて……


【磁力!】


 永遠姫に引き寄せられる重火器。


「なっ!」


 ついに、重火器と彼女が密着した。


 "能力解除!"


 重火器に潰された永遠姫。ハロミトを囲むヨーヨーは落下した。


 カラン。


 勝利の音が響いた。



 ――――――。



 正座で座るヤンキー三人組。

 私達は立って話を始める。


「もう弱い者いじめはやめるっすよ。」


「ちっ。」


 意固地になってしまっている。ハロミトの言葉には耳もくれないみたいだ。


 もう何言っても聞く耳持たないだろう。相手する方が損だ。


「私から質問いい? 私達、ルイルイ兄妹って言う人を探してるんだけど、何か知らない?」


 鋭い目つきでこちらを見てきた。


「はぁ? あたいに何の用だ?」


「ん? え? どういうこと?」


「あたいがルイルイ兄妹の()、ルイランだって言ってんの。そんぐらい理解しろよ。」


「はー!?」


 この漫画とかの最初の方に出てきそうなカマセ的な敵が、あの主忍……!?

 信じられないんだけど――。


「こんなに弱いんだ……。ちょっとショック。」強くてカッコイイ人達の集団だと思ってたから、弱くて人間性も難ありそうなこの人が主忍なんだ……。


「勝手にショック受けんな!」


「まぁ、いいや。石像の解除の許可が欲しいんだけど、主忍の許可が必要みたいで、許可してくれない?」


 何故かため息を吐かれた。


「あたいは主忍じゃねぇよ。つーか、お前ら前主忍が何故か知らねぇけど一緒にいるんだから、そいつに認めて貰えばいいじゃねぇか!」


 私達はフェルナの方を見た。


「……。流石にもう権限ないし。駄目かなぁって。」


「律儀か!」


「ルイランって主忍じゃなかったんだ……。」


「いや、知っとけよ! 前主忍だろ、お前! いや、まぁ、馬鹿兄貴が何も仕事しねぇから、庶務全般ラン一人でやってるから間違えるのも仕方ねぇのか……?」段々、早口になってきていた。


「まぁいい! 新主忍はあたいの馬鹿兄貴だ! どっかにいるんじゃねぇか。勝手に探してろ!」


 ぶっきらぼうな言い方だ。


「馬鹿兄貴……ルイレンについてちょっとだけ情報をやるよ。馬鹿兄貴は、見りゃ一発で分かる。まじで何もしてないような雰囲気をしてる奴がそいつだ。それとムカつくけど、馬鹿兄貴はランよりも相当強ぇから覚悟しな!」


 彼女らは解放された。「次会ったらぶっ殺してやるから覚悟しな」なんて捨て台詞を吐いて去っていった。

 私達は主忍を探しに町を進むことになった。



 散歩中のおじいさん。簡易的な服を着た杖を着いたおじいさんだ。

「新しい主忍ってどこにいるか分かりますか?」

 うーんと頭を悩ませて、結局分からずじまい。


 続いて、ベンチに座っていたヤンキーっぽい服装をしたお兄さん。真ん中が緑色のメッシュの黒髪が印象的だった。

 彼は「ごめん、ボーっとして聞いてなかった」と言い、「とりあえず人探し手伝うよ」と言って、私達と同行してくれることになった。


 ゆっくりと歩く夫婦。

 お兄さんによると違うみたい。


 大工のような見た目の人。

 彼も違うようだ。


 あっ、ホームレスの男がいる。ほんとに何にもしてなさそう。

 お兄さんは違うと言い切った。



 新しい主忍はどこにいるんだろう。


「……。」


 ちらっと後ろを見た。もう一度見た。このお兄さん、寝ながら歩いてる……。


「……寝てた。」


「いや、寝ながら歩けるってすごくない?」


 このお兄さん……色々な意味で只者じゃない。


 相当歩きまくった。相当時間も経った。これだけ探し回って見つからないって一体どこにいるんだろう。

 

 一時的に休憩。お兄さんは寝てるようにも見えない。表情を変えずに真っ直ぐだけ見てる。

「……。」

 手を近くで何度も(かざ)してみるけど、反応がない。

「……ボーっとしてた。」

 すごい個性的すぎる。まぁ、私達のために人探しを手伝ってくれてるし、変なことを思うのは良くないよね。


 しかし、このお兄さん、見た目は着崩した服と整った顔。どこからどう見てもイケメンなのに、なんか性格が……ボーっとしてるからちょっと勿体(もったい)ない。


 フェルナが自動販売機の前に立ちながら、彼に話しかけた。


「ルイレンさんは何、飲みますか?」


「……じゃあ、水。」


「了解。」


 自販機のボタンが押された。


 ……。


 あれ? 今、ルイレンって言った?


「あの、この人ってもしかして……新しい主忍の……ルイレンさん?」


「はい。そうですけど」とフェルナ。



「いや、早く言ってよ!! 何、今さっきまでの時間。結構、歩き回ったんですけど!?」



「……。あ、自己紹介……まだだった。俺、ルイレンって言う……。この町の新主忍になったんだ。よろしく。」



「名乗るの遅いよ、遅すぎだよ! 滅茶(めちゃ)苦茶(くちゃ)無駄な時間を過ごしたんですけど!? 絶対に要らなかったでしょ、この時間!」



 顔色を一つも変えないで水を口に含むルイレン。この人が新主忍で――そして、ルイラン曰く相当強い人……。本当に強いの?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ