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死亡=現実でも死のバグ世界、お嬢様と執事の生存・脱出戦略~『詩忍にくちなし』~  作者: ふるなゆ☆


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41.カゲトとレース

 "天道教"革命事件――。


 勇者ハロミトの処刑を皮切りに魔族復興、反フィロ人を掲げ、現体制への革命を唱えた。また、その一巻として中級地域の各町村を襲った事件である。


 勇者ハロミトは無事奪還された。

 各町村は無事取り戻された。


 天道教はリーダーである教祖を初め、幹部勢力は尽く死亡し壊滅状態へ。一夜にして天道教は消滅した。

 一方で、襲われた各町村にて被害にあった人は数え切れないほど出てしまった。


 傷跡の残る結果となった――。





「さて、今から『水忍』の石像のある"永久の町"へと向かいますが、この高速道路は貸切状態のようですね。」


 現在いる"シャドウの町"から"永久の町"を繋ぐ舗道された道。そこは氷の残骸が残り、封鎖された場所だった。

 が、私達は特別にここを使わせて貰えることになった。


「こうなったら、誰が一番に永久の町にゴールできるかレースで勝負っすね。」


 その勝負に皆が乗った――。


「拙者も参加するでござる。そのまま石像破壊まで同行するでござるからな。」


「とりあえず、パルっちとカナちゃんの一緒になるペアを決めようぜ!」


 二人は走れないと言うことで、連れて行って貰うペアを作ることに。

 厳正なるじゃんけんの元、私がパルパル、ハロミトがカナリンと一緒になった。


「頑張ろ。パルパル!」

「パルゥ!」



 レース!

 開始――パンッ!



「棒人間の身軽な動きに着いて来れるかな?」


 ボーニーが一番乗り。

 それをハロミトとカナリンのペアが追う。


「よしっ、ここはこれを――。」


【自分自身】【自転車】


 自転車を繰り出して、それに乗る。前のカゴにパルパルを入れてかっ飛ばす!


 

「ずるくないっすか! それ!」


「ルールで禁止されてないからいいのよ!」


 走るよりも断然早い。これは勝ったな。



 ブゥゥゥン!



 は――?



「なんで車なんかが走ってるの!?」


 オープンカーが高速道路を進んでいく。車は速度を落として私達のスピードに合わせていく。


「私の持ち車(マイカー)で勝ちは頂きますね。」



「「「ずっっっっるぅ!!」」」



 カゲトのカーはそのままスピードを上げて進んでいった。


 自転車が勝てる訳ない。


「カナちゃん。ギアを上げるっすよ!」

「任せて!」


【加速!】


 ハロミトも負けず劣らず頑張って進んでいく。


 自転車が抜かされる。

 車が使えれば……。


 あれ、待てよ。車って、自動車じゃん!


【自動車!】


 軽自動車が現れた。

 すぐさま乗り込んで運転する。



「あー! ジュリちゃんもずるいっすよ!」



「お先ー!」

「パルルー!」


 ハロミトを置いて、先に進む。


 全速前進。ようやくカゲトに追いついた。


「お嬢様も車を使ってきましたか。いよいよ本格的な戦いになりますね。」


 カゲトがギアを上げた。

 無茶苦茶速くなっていく。


 私だって!


 生きてたら絶対に出すことない速度を出してる。本物の高速道路だったら、上からオービスがパシャッと光って免許一発アウトレベルのスピードを出してる。


 真っ直ぐ伸びた道。勝つのは――私。



 あれ?



 今、飛んで……ない?

 ちらっと後ろを振り向いた。溶けずに残った氷が坂みたいになって、勢いよく進む車がその坂で高く飛んだみたいだ。


 やばい。このまま落ちたら死ぬ。


 あっ、車が消えた。能力も解除された。自動車ってこんなに浪費するもんなんだ。

 って、やばいやばいやばい。落ちる。死ぬ。

 

 横にいるカゲト。

【カイト】

 カイトに乗って滑空していく姿。


「ちょっと助けて!」その声は高い位置に吹く豪風によって聞こえない。

 ほんとにシャレにならない!


「ぱるぱるぅ!」


「どうしたの? パルパル?」


 落下の途中に透明なベールに引っかかる。それがトランポリンのように跳ね返る。

 空中トランポリンみたいに空を進んでいく。

 パルパルの透明な弾力性のある不思議なベールを利用して進む。


 ポヨン。ぽよん。


 よしっ。着地。相当先に進めた。


【自転車】


 再び自転車を取り出して、パルパルをカゴに乗せて……。


「行くよ!」


【ジェット――!】


 轟速(ごうそく)の速さ。漕がなくても滅茶苦茶なスピードで真っ直ぐ進める。


 よしっ、カゲトに追いついた。


 あとは残る一直線のみ。ゴールの町が見えてくる。


 カゲトは自力の足で走る。それとジェットの残りスピードを利用した自転車でタメを張る。ゴールまで後少し。


 一位は――。


 

【滑走!】――【発射!】



 ハロミトとカナリン!?


 二位はカゲト。……負けた。


 三位はもちろん私だ。


「けど、なんでこんなにはやくこれたの?」


「カナちゃんの滑走で摩擦をなくしたんす。そこに俺の発射でスピードを上げて進んだんす。二人の技が上手く噛み合って、効果は倍増なんす!」


 つまり、地面の摩擦を消して滑り、その勢いを発射で加速したみたいだ。


 二人のコンビネーションに負けた……。完敗だ。


 しかし、カゲトに負けたのは悔しいなー。


「まっ、仕方ない。じゃあ、行こっか。"永久の町"。」


 私達は町に向かって進んでいった。



 ……。


 

 あれ……誰か忘れてるような。


「拙者を忘れるなでござる!」


 あっ、ボーニーのこと忘れてた。





 永久の町に着いた。

 未だに氷が残っている。


「こんにちは。」


 フェルナだ。


「確か『水忍』の石像の関与は主忍の許可が必要と聞きました。」


 今から行くのは『水忍』の石像の場所だ。私達は魔王を倒すため、まずは残り四つの石像を破壊しなければならないのだ。


「はい。確かそうだったと思います。」


 町の北部にはあまりにも高い山が(そび)えている。

 その山の坂道を進む。


 途中で巨大な洞穴に進む道が見えた。どこか(おぞ)ましいオーラを放っていた。


「無限回廊でございますね。誰にも負けないと自負する猛者の挑む力試しの場所です。」


 そんな凄まじい場所を通り抜けて、少し開けた場所に出た。


 そこは足の着く(みずうみ)――。


 その真ん中に石像が置かれていた。


 よく見ると、そこはまるで縦に小さく幅広いカルデラの中にできた湖だった。


 湖畔に足を突っ込む。水位は(くるぶし)よりも下ぐらいだ。


「では、フェルナさん。あの石像を解除してもよろしいでしょうか。」

 

「あのー、実は、うちはもう主忍じゃない……です。」



「えっ?」



「うち、今回の天道教の一件で、町の人が多く死んだ責任を取って辞めたんです。」


 ……。


「早く言ってよ! それ!」



「つまり、まずはフェルナさんの代わりに永久の町の主忍なった人を探して、許可を貰うことから……ですね。」


「……そうかも。確か、ルイルイ兄妹のどっちかがなったって。――多分。」



 はぁ。ちょっとため息が出た。


 とりあえず、そのルイルイ兄妹のどっちかを探すことになった。


 ひとまず、再び町に降りる。


 

――――――。



 氷に包まれて人気のない静かな雰囲気。それなのに、ヤケに喧騒(けんそう)的な雰囲気がする。


 人目の付きにくい場所。


 一人の少女が三人のレディース(ヤンキー)っぽい人達に絡まれていた。


 そのリーダーっぽい人が少女の頭に足を乗せている。その横には炭酸の抜けた蓋のないジュースが倒れていた。


「あたいの服に炭酸飛ばしやがって。どう落とし前つけてくれんだ? あ?」


 まるで絶望的な状況にも見える。正直にあんまり関わりたくはない。


「こっちはなっ、道路封鎖でイラついてんだよ。八つ当たりの相手になってくれる? うん、その方がいいね。八つ当たりのぬいぐるみの方がお似合いさ。」


 

 あれ、そこにハロミトっぽい人がいる。ふと横を見るとハロミトがいない。



「やめるっす!」


「おいおい。なんだい? あたいらに何の用かい?」


 彼が少女を助けようと助けに行ったみたいだ。


「早く逃げるっす」と少女に言い、そして三人組と敵対した。


「どこぞのヒーロー気取りか。鬼の永遠姫(とわひめ)と呼ばれたあたいに喧嘩売るとどうなるか、教えてやんよ。やれ!」


 横にいる二人が襲いかかる。

 ハロミトが剣を取り出した。しかし、敵に向けるのは剣の持ち手の部分。


 彼が剣を落とした。


 "能力解除"――。


 長くなった剣に勢いよく後ろ側へと飛ばされる一人の女。

 もう一人の女がハロミトに攻撃をしかける。

 仕方ない。ハロミトが戦うのなら、私も戦うしかないよね。だって、放っておけないし。


【自分自身】【重力】


 もう一人は私の重力の技で動けなくした。

 これで残るは一人。


「よくも大切な仲間を傷つけやがって。絶対ぇ、許さねぇ。」



「お嬢様、勇者様、お下がり下さい。私めが代わりにお相手しましょう。この方、まあまあ強い方でございます。お二方では勝てるかどうか微妙なラインです。」


「じゃあ、ちょうどいいじゃん。ここはカゲト達の助けを借りずにやるよ。じゃないと、足手まといのままだから。」



 私達二人で彼女の前に立ち(はばか)る。



「ふーん。じゃあ、けちょんけちょんにして、実力差を見せつけるだけよ。」


 彼女は腰についた三つのヨーヨーのうち、一つを取り出した。異質な雰囲気を放っている。


 ――攻撃が来る。

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