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死亡=現実でも死のバグ世界、お嬢様と執事の生存・脱出戦略~『詩忍にくちなし』~  作者: ふるなゆ☆


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34.修羅の竜虎

「シャドウの町から一番遠い町が岡山大河町、次いでラストウェスタンでござる。その次が永久の町か砦でござるが……、ドラヴァスが先に砦に着きそうでござるな。」


 城と呼ぶには小さすぎる。だがらこそ、その要塞は砦と呼ぶ。


 砦の屋上に一人の男が立っている。明治時代の服装被れ。どこか神妙なオーラを放つ。


 そこにドラゴンが降り立った。


 ドラゴンが人の形に変わっていく。

 それはガタイのいい豪傑な男だった。彼は荒々しいオーラを放っている。


「彼は砦の主忍――ドラヴァス。能力は森羅(しんら)万象(ばんしょう)(とどろ)かすドラゴンになれる。それ以上もそれ以下もない竜のポテンシャルだけでシンプルに戦う男なのでござる。」


「おお! かっこいいっすね。」

 

 私達はこの二人の行く末を見ることにした。



◆◆


 シーン――ドラヴァス。

 対――『修羅道』トラリュウ。


◆◆



「おうおう。だいぶ暴れてくれたんじゃねぇの?」


「"天道教"の立場としての仕事ですし、仕方なくですよ。だからこそ、満たされないんです。けれども、強者を倒し、ワシの名を世に知らしめたら満たされる――。」


面白(おもし)れぇ! やろうぜ弱肉強食。殺して世に知らしめる名誉の報告。やるなら最速、(まく)し立てる催促!」



【トンファー!】



 修羅道の取り出すトンファー。そこから棘が飛び出てくる厄介な武器――。


【ドラゴン!】


 一方、ドラヴァスはドラゴンに変貌を遂げた。圧倒的巨体。まるで修羅道を見下すように力強く(にら)みを()かす。


「うっ(る)らぁぁぁぁぁ!!」


 口から放たれる雷撃(らいげき)。幾つもの雷が飛ばされていった。

 が、軽々と避けてあっという間に懐へ。


(とげ)!】


 トンファーが直撃した。そこから棘が伸びているに違いない。これは致命傷のはず――。


(かゆ)いわぁ!」


 体を捻って尻尾を振り回し、ぶつける。尻尾攻撃によって修羅道が後ろに岩盤(がんばん)(さく)へと吹き飛ばされた。


()かねぇ攻撃。差がある戦歴。お前ぇの狼藉(ろうぜき)、精算する(せき)! ここで吐息(といき)よ、どうする(かたき)!」



 炎の吐息(ブレス)――。



 口から放たれる炎。

 壁に打ち付けられた彼の目はまだ死んでいない。


【突風!】


 炎を現れる突風でいなす。

 すかさず(たた)み掛けていく攻撃。


【トルネード!】


 小さな竜巻のようなものが現れた。少しずつドラゴンに向かって進む。


「小さな竜巻。良いぜ、その闘気(とうき)。だけど、正直(しょうじき)、見つからねぇ、貴様の勝機(しょうき)!」


 

 ドラゴンが(はばた)く――。


 小さな竜巻さえ吹き飛ばす程の暴風。その荒々しい風に逆に吹き飛ばされてしまう修羅道。彼はいつの間にか壁に接している。


「よくやった。()めてやろう。だが、終わりだな。」


 空中突進――。


 岩盤さえ破壊する頭突き。修羅道はそのまま砦の外へと身を投げ出されてしまった。

 落ちれば一溜りもないだろう。


 これがドラゴンの……強さ――。



【突風――】



 風が現れ、修羅道を砦の側面へと吹き飛ばす。

 彼はその側面に密着した。


「敵に不足なし。竜の首斬(くびき)り上等。やってやりますよ。」


「首斬り上等? その常套句(じょうとうく)面白いぜ、相当。やろうぜ、死闘。見る羽目なるぜ、走馬灯(そうまとう)!」


 岩の壁を走り抜けていく。

 そんな彼に向かって炎が吐き出されていく。


 

《なんで、壁なんて走れてんの!?》


《よく見るでござる。岩の壁に穴があるで(そうろう)。岩をも貫く棘を足の裏から出してるでござる。》



 側面を横向きに走っていく修羅道。それを追って炎を吐くドラゴン。炎を避けるために、一時的に棘を引っ込めて少し落下する修羅道。


 登りながらも、避けるために一時的に落下する。


 そんな彼を炎で追い詰めていく。



 ついに、砦の屋上の上へと上がった。

 彼が振り向くとそこにはドラゴンがいる。


 ドラゴンの首にトンファーがぶつかる。

 すぐに体を(よじ)られて引き離される。そこに尻尾を振る攻撃。岩でできた屋上の床へと叩きつけられた。


 そこに向かってドラゴンが近づいていく。


「一か八か――。【凍結(とうけつ)】。」


 トンファーから冷気が漂っていく。



 カキンッ!



 素早い身のこなしで首元へと移動する修羅道。彼のトンファーが首に当てられる。


 ドラゴンが叩きつけられた。


 まさか、ドラゴンの弱点が冷気(まと)う氷だったとは……。確かポケ〇ンも同じようにドラゴンは氷が弱点だったし、そういうもんなのかな……?


「言い伝え通り、竜の核は冷気に弱い。やはり、それが弱点でしたか。なら、受け止められますか……氷河(アイス)時代(エイジ)――!」


 凍える冷気を(まと)うトンファーの追撃。それが体に衝突した。


 ドラゴンは(ちぢ)まっていき、気付けば人間の姿に戻っていた。


 少しずつ近づいていく修羅道。



 あれ――?


《ねぇ、修羅道の手、すごく黒くない?》


《多分、技の反動でござるな。傍から見て彼の系統は《具現化系》、しかし、今の氷の技は《言霊系》の技でござる。違う系統の技を最大限の威力で発動したことが大きな反動に繋がったのだと考えられるでござる。》


 なるほど、それで反動により、手が凍傷末期症状に陥ってしまったのか……。



 真っ黒な腕で強く握るトンファー。それが彼に向けられる。


「良かったですね――ワシが《具現化系》で。もし《言霊系》ならオヌシは死んでいましたよ。」


「ぬかせぇっ。」



 シュッ――。



 トンファーが突き出される。それを避けるドラヴァス。


【棘――】


「簡単には避けきれませんよ。」


 棘がドラヴァスの肌を(かす)る。


「これで形勢逆転。ようやくワシの番です。」


 棘の飛び出る武器を持つ修羅道と何の武器も持たず丸腰のドラヴァス。どちらが圧倒的に不利なのかは一目瞭然だ。


 トンファーと連なる棘がドラヴァスを無情にも襲う。


 

「逃げても傷つき何にもできねぇぐれぇならぁ。負傷覚悟で進んで、ぶつかりに行くしかねぇなぁ。」


 進むトンファー。対して突き出す片手。棘が片手を穿(うが)いた。


自棄糞(やけくそ)か?」


自暴(じぼう)自棄(じき)上等(じょうとう)。理解できるか、俺の行動。トドメの暴行! ゥラァッ!」


 突き刺さった棘など気にせず、そのまま近くにある腕を掴む。そして、そのまま――一本背負!


 ガッ!


 投げ入れられた彼が床に叩きつけられる。その上にはドラヴァスが立っていた。


「この技は片手しか発動できねぇ。良かったなぁ――俺が《変身系》で。これがもし《言霊系》なら全身発動で、貴様は既に死んでおるっ!」


 

《何をするつもりっ!?》


《拙者も知らないでござるよ。見届けるでござる。》



「久々に使うぜ。終わりも当然! 戦々(せんせん)恐々(きょうきょう)(おのの)け! 終焉(しゅうえん)!」



【ドーピング!】超! 筋肉隆起!!



 左腕だけ異常に発達する筋肉。もはや、片手は胴体ぐらいの大きさまで隆起(りゅうき)している。

 構えられる左腕。

 振り下ろされる筋肉で巨大化した左腕。


 圧倒的火力の攻撃が修羅道に直撃する。



 ひび割れる地面――。



 砦の屋上の床のその部分が崩落した。


 腕に潰された修羅道はそのまま光の粉になって消えていく。


 落ちた先のエリアには、ひび割れたことによって射し込んできた太陽と、落ちてくる光の粉で華々しい景色に変わっていた。

 そして、そのエリアに置かれた筋肉が印象的な男を(かたど)った石像を美しく照らしていた。



 ドラヴァスも同じように、美しく照らされていた。

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