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めいど・いん・みっしょん  作者: 阿月 結希


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17/26

♥17 みっしょん・いん・ちょこれ~と

 (……ったく。あいつら、どこに行こうってんだ)


 獅子堂《ししどう》 彰《あきら》は学園の門へ向かう一団を追いかけていた。


 途中、彼の追跡を阻むために何名かが襲い掛かってくる。


 そのすべてを叩き伏せながら、獅子堂は足を止めない。


 (この先の門。部外者にはセキュリティ上開けることができねぇはず……。手こずってる隙に追いついて――)


 ギギギギ


 獅子堂の目の前で、ゆっくりと門が開く。

 

 その出来事は、獅子堂に驚きとある事実を突きつけた。


 「……おいおい。まさか――」


 ♡♥♡♥♡♥♡♥♡♥♡♥♡♥♡♥♡♥♡♥♡♥♡♥


 「学園内部の者の犯行でしょうね」


 銃火器と重火器のメンテナンスをしながら、戦場《いくさば》 來夢《らいむ》は整然と述べる。


 「んー。そうかしらぁ? 案外、学園のセキュリティなら、部外者も侵入できそうだけど……」


 「――システムの誤作動。――起こすの、簡単」


 「お前たちの常識で語るな。並みの組織じゃ普通はできん」


 小伏《こふく》 天音《あまね》と佐繰《さぐり》 唯優《いゆ》の抗議を、來夢は一蹴する。


 「それより、唯優。お嬢様の位置は特定できているのか」


 「――問題ない。――エイザの報告通りの方角に――動いてる」


 來夢と唯優の会話を横で聞いていた天音は小さく首をかしげる。


 「お嬢様にGPSって……。それ、許可取ってるの?」


 「――成長記録だから。――許可、いらない」


 「そんなわけないでしょうに……」


 呆れながら唯優の横顔に天音が呟くと同時。


 ジャコン、と來夢が銃器の動作確認を終えた。


 「さて、それじゃあそろそろ向かうとするか」


 不意に、三人は体を後ろに押し付けられるような感覚を覚える。


 最新鋭のヘリは、前のめりに速度を上げながら夜空の下を駆けた。


 「――ん」


 唯優が、小さく声を漏らす。


 「――お嬢様の信号――速くなった。――多分、車」


 「ということは、学園の外に出たってことねぇ」


 「内部犯で決まりだな。しかし、一体どこに向かっている」


 來夢と天音は唯優が操作する画面をのぞき込む。


 そして、目的地の手がかりが無いと悟るや、小さく首を振った。


 「――この道を――この方角に――その先の分かれ道は――」


 両脇の二人を意に介さず、唯優は画面に向かいブツブツと独り言を漏らす。


 ここは唯優の専門分野だと言いたげに、來夢と天音は、自分たちの武器を磨くことに専念することにした。

 

 「――あ」 

 

 「唯優。どこに向かえばいいのか分かったのか」


 「どこなの? 唯優ちゃん」


 前のめりに詰めてくる二人に、唯優は簡潔に答える。


 「――GPSの信号――消えた。――衝撃で壊れたか――気づかれたか」


 「目的場所の特定は?」


 來夢の問いかけに、唯優は静かに首を横に振る。

 

 「――分からない」


 唯優の手が小刻みに震える。


 自分の力でお嬢様を救い出せるハズだった。


 それがなんだ、たかだか車の揺れ一つで、簡単に見失ったかもしれない、だと。


 それ以上に、もしGPSが発見されていたら、お嬢様の身はますます危険に――。


 そっと、温かな感覚が手を包んだ。


 俯いていた唯優が、顔を上げる。


 赤と青のオッドアイ。


 その双眸は優しく微笑む天音だけを捉えた。


 「唯優ちゃん、落ち着いて。私は貴女を信じてるわ。その洞察と観察と考察の才を」


 天音はチラリと來夢を見る。


 唯優の背に向かい、來夢は力強く頷いた。


 「だから、唯優ちゃん。私たちはどこに向かえばいい? ――貴女を、信じるわ」


 ――――――――――――。


 唯優の脳が熱を帯びて動き出す。


 まず想起するのはこの街の全形。


 そこに主要道路から微かな私道までを網羅的に重ね合わせる。


 (――この時間の交通量。追跡を恐れて渋滞は避けるルートを選ぶはず。)


 (――市街地は発見のリスクの割に逃走経路が少ない。相手がすでに追手の存在を認知しているならなおさら、真っすぐ市街地への道は通らない)


 (――となると、脇に逸れる道を走る。それは二本。でも、逆方向。山中への道か、海岸への道か)


 (――どっち? ――どっち?)


 パンッと唯優は自分の両頬を強く叩く。


 決意を込めた眼差しで、彼女は來夢を見つめた。


 「――來夢。――お嬢様が向かったのは……」


 ガバッと、唯優の言葉を聞いた來夢は自動操縦がかかった運転席へ飛び移る。


 「信じるぞ、唯優! 共にお嬢様を救い出そう!」


 來夢は力いっぱい、ヘリの舵を切った。

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