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EDENERー《楽園》に住まう者たちー  作者: Caries10
Chapter2:《サピエンス》と《レリギオス》
47/63

Episode29:《布告》・兵士たちの視点 その1

2388年6月1日(水) 11:45 A.M. 第13居住区・ニューアシヤ 天ヶ岬(あまがみさき)軍病院


 ここは、第13居住区内およびその周辺居住区で負傷したUGE軍の兵士を治療する、天ヶ岬(あまがみさき)軍病院。

 その一室、323号室のドアの前に、看護師と、一人の男性――のような容姿と格好をした女性が立ち止まる。

 「こちらです。」

 「……失礼いたします。」

 看護師に促されてドアを開ける、血のように紅い髪と眼をした彼女は、その先に横たわるスヴェン・ピェルニェヴィチ・ダジボーグ中尉の少しやつれた姿を見た。

 「よぉ。1週間ぶりだな。」

 「――――。」

 前より少し勢いのなくなったダジボーグからの呼び掛けに、彼女は俯いたまま、無言のまま、入口でただただ立ち竦む。黒のジャケットにスキニージーンズを履いて佇むその姿は、まるでブティックの店先に置かれたマネキンのようだった。

 そんな彼女を見かねたのか、看護師は病室の案内という仕事を終えたと認識し、そそくさとスタッフステーションの方に戻っていってしまう。

 遠のく看護師の足音が聞こえなくなり、二人きりの空間となった時、一向にはいろうとしない彼女にダジボーグが入室を促す。

 「まぁ入れや。お前さんの方から『失礼します』つったんだから、ちゃんと失礼しときな。」

 「……はい。失礼いたします。」

 それでやっと重くなっていた脚を動かすことを決めた彼女は、病室内に細い両脚を交互に前後させ、中に入った。


 病室に染み付いたきつい消毒液の臭いにせそうになりながら、彼女は今一度、今のダジボーグの容態を確認する。

 頭も胸も左腕も、まるでミイラのように包帯だらけで、左腕の僅かに露出した皮膚からは点滴用のチューブが幾本も伸びている。

 ただでさえ痛ましい姿だが、何より彼女の顔を背けさせたのは――

 右腕の消失した彼の肩、

 根こそぎ消失した彼の右脚、

 そして分厚い眼帯で覆われた左眼。恐らく失明し、もう既に刳り抜いた後だろう。


 1週間前の《ニューアシヤ事変》で、学校に現れたドラゴンが弾き返したチェルノボグ手榴弾の爆風により、彼は左眼と右腕と右脚を失った。

 幸い、現在は医療技術が飛躍的に進歩した時代。義体を造らずとも、iPS細胞と分化誘発促進剤の力を使えば、失った身体を取り戻すことができる。片目なら1週間程で新しいものが出来上がる。

 が、腕や脚を完全に再生させるにはそれでも最低1ヶ月はかかる。更にそれを身体に馴染ませるためのリハビリ期間も半年以上かかるし、身体への定着が順調にいかなければ、再び軍役に戻ることすら叶わない可能性も大いにある。

 それを思うと、彼女は苦しかった。かつての教官の変わり果てたこの姿を見るのが――


 「どうした?俺の知ってるドロシー・ブラッドアイは、そんないじけた奴じゃあなかったハズだぞ?」

 「――!!」

 ダジボーグの一言で、彼女は長く沈黙していたことを思い出す。彼女は伏し目がちに重たい唇を動かす。

 「――すみません。まさか、こんなことになるとは――。全ては私の――」

 「止せ。」ブラッドアイの次の言葉が出るのを、ダジボーグは防いだ。「これは、俺の予測の甘さが招いた事態だ。お前さんは、何も悪かねぇ。」

 「しかし――」ブラッドアイは反論をしようと思ったが、脳内で上手く言葉がまとまらない。ぐちゃぐちゃにもつれた思考が、彼女の唇の震えによく出ていた。

 「そんなことより、お前さんの方こそ大丈夫なのか?聴いた話じゃ、AXel(アクセル)辞めさせられそうってんじゃねぇか?――これからどうするつもりだ?」

 自身の身体のことはどうとでもなると踏んでいるからだろう。ダジボーグは意気消沈のブラッドアイの身の上を案じた。彼女は、

 「分かりません。辞令が出ればそれに従うまでです。"死ね"と言われれば、潔く死ぬ覚悟です。」と返した。

 「――本当に、そう思ってるのか?」ダジボーグは見抜いたような目付きで彼女を睨む。

 「――はい。これが本心です――。」そう答える彼女の眼は、明らかに覚悟のできていない、怯えた眼をしていた。


 《ニューアシヤ事変》当時の彼女の目的は、南星宮高校にいる例のレリギオスの動画の投稿主・望月光を逮捕・連行、並びに処刑することだった。

 だが、望月光およびレリギオスを"観た"生徒たちの多くは、銀髪のレリギオスの手により逃走。唯一殺害したレリギオス――湯田衣栖佳の遺体も、先日何者かの侵入によって軍の研究所から盗まれてしまうという失態を晒すことになってしまった。

 何より、銀髪のレリギオスを目撃した際の、軍規外の行動を取った彼女の発狂に軍上層部が難色を示し、事変の翌日、彼女は無期限の謹慎を命じられた。今の彼女が軍服を着ていないのは、そういう訳だからである。

 だがこれは仮の処分。彼女に対する正式な処分はまた別に行われる。それがどんなものになるかは、軍上層部のみが知る。

 先の見えない未来に、ブラッドアイはふと後ろに目をやり、鏡に写った自分の後ろ姿に兄の面影を見る。

 髪の長さは記憶の中の兄と同じだが、背の高さや肩の幅は、やはり全然似ても似つかない形をしている。

 そんな理想と現実の乖離を、彼女は「劣等感」と名付けた。

 (兄さん――。ドロシーは――やはり弱い子なのでしょうか――。)



 何度目か解らぬ長い沈黙は、ダジボーグに時計への意識を生じさせた。彼は身体の正面の壁に掛かったデジタル時計の時刻を見た。

 「――おっと、もうすぐ12時か。湿っぽい話はここまでにしようや。何かテレビでも観るか?大したモンはやってねぇが、気晴らしくらいにはなるだろう。」

 柄にもない湿っぽい話にそろそろ嫌気が差したのか、ダジボーグは左手の棚からテレビのリモコンを手に取り、ぎこちない手付きで電源ボタンを押した。

 そこには――、


 〔……――――地上にお住まいの皆様、はじめまして。私はフェルタ・エオルシア・フルトニオス。ご覧頂いている通りの、"レリギオス"です。〕


 「「!?!?」」


 2388年6月1日正午、二人はそこで《へスペリディア》による声明放送を目撃した。銀髪のレリギオスの名を知ったのは、この時である。


 同時刻。UGEの各機関はこの電波ジャックへの対応に追われていた――。




2388年6月1日(水) 0:00 P.M. 第1居住区・イレブンスニューヨーク

【UGE・情報統制局本部 管制室】


 「何だ!?何がどうなっている!?」

 「判りません!!何者かによる強い電波妨害を受けているようです!!」

 「被害状況は!?」

 「本管制室および、このビル内の全ての情報機器が攻撃を受けています!!《エデン》全体に設置された監視システムのサーバーにもアクセスできない状況です!!」

 〔〔バタン!!〕〕

 「室長!大変です!!街の大型ビジョンに、我々の画面と同じ映像が投影されています!!」

 「それだけではなく、街中のIDEAイデア-Watchウォッチをはじめとする全ての情報機器がジャックされています!!」

 「何だと!?急いで総会に連絡を取れ!!秘密回線は生きているか!?」

 「停電用の緊急連絡回線であれば、恐らく!!」

 「よし繋げ!!他の者は被害状況の確認と対応、攻撃元の特定を急げ!大至急だ!!」




2388年6月1日(水) 0:02 P.M. 第1居住区・イレブンスニューヨーク

【UGE総会・《エデン》支部ビル 120階】


 「――ああ頼む。健闘を祈るぞ。」

 〔カチャン!〕

 「何だった?」

 「同じだ。どうやら全居住区がこの調子のようだ。――恐れていた事態が、遂に来てしまったようだな、エバーランド。」

 「……ああ、そうだな……。だが我々にはもう、この道を行くしかない。

 ASFEに伝達。"天啓を授かれ"――と。」

 「承知。」



2388年6月1日(水) 0:05 P.M. 第1居住区・イレブンスニューヨーク

【UGE軍・航空宇宙軍(ASFE)北西エリア航空部隊基地】


 「噫。分かった。」 〔カチャン!〕

 「――司令!事務総長は何と――?」

 「緊急指令だ!我がASFEはこれより、サイバー攻撃を仕掛けている敵陣営の捜索を開始する!『エクセター』を発進させよ!」

 「エ、エクスターを!?しかし――」

 「直ちに発進させよ!!これは政府の威信をかけた戦いだ!!異論は許さん!!」

 「は……はっ!!」



2388年6月1日(水) 0:10 P.M. 第1居住区・イレブンスニューヨーク

【同基地・地下格納庫 『エクセター』指令室】


 〔円盤型空中空母『エクセター』、起動シーケンスに入ります。メインエンジン点火。〕


 〔〔〔ボォォォォオオオオ……!!〕〕〕


 〔メインエンジン出力上昇中。温度上昇安定。〕〔各送電回路に異常なし。第1から第6ローター、回転を開始。浮上準備OK。〕

 「了解。外部電力供給路遮断。補助アンカー接続解除開始。」


 〔〔ゴゴゴオオオオ……〕〕


 「補助アンカー接続解除確認。内部電源への自動切替は成功。」「メインアンカー、『エクセター』の浮力上昇を感知。各ローター回転数は毎分294rpmで安定。」

 「よし。射出口開け!」

 〔了解。射出口オープン。地上スタッフは速やかに避難せよ。〕


 〔〔〔ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……〕〕〕


 「進路上および射出口周辺空域に障害物なし。」

 「メインアンカー解除!離陸開始!」

 「了解。メインアンカー解除。『エクセター』、発進します!」


 〔〔〔ガチャン!カン!!〕〕〕


 〔〔〔プオオオオォォォォ……!!〕〕〕




 「『エクセター』、離陸を確認。現在、高度300m付近を飛行し、なおも上昇中。」

 「レリギオス共の放っている電波にはアストラル流体が含まれている可能性がある!AFSレーダー起動せよ!」

 「了解。AFSレーダー、起動!!」 〔カチッ!〕


 〔〔〔ピコーン……ピコーン……〕〕〕


 「ASレーダー、巨大な反応を多数確認!半径5km圏内に10……20!!」

 「――!!4時の方向に巨大なアストラル反応あり!!濃度測定できません!!」

 「それだ!それが元凶だ!接近せよ!!」

 「了解!微速前進!!」


 〔〔〔ズズズズズズ……〕〕〕



 「『エクスター』、目標接触コンタクトまで残り500m。」

 「レーダー映像を3D表示に切替用意!」

 「了解!表示切り替え!」


 〔ピュゥゥン――!〕


 「――!?……なんだこのデカさは?」

 「え……AF放出範囲……推定50〜100km……いえ、それ以上ですっ!!」

 「目標……タワー直上100m付近を飛行中……!目視による視認は……不可!繰り返す――目視による視認は不可能ッ……!!」

 「やはりか。これが《楽園》――!我々には触れるどころか目撃することも許されぬ聖域――!!」

 



2388年6月1日(水) 0:32 P.M. 第1居住区・イレブンスニューヨーク

 【UGE・地球報道放送局(EBB) EBB本部タワー・展望デッキ】


 「なななななな……なんで『エクスター』がウチらに接近してくるアルかっ!!待てっ!撃つのは止めてくれアルっ!!今日は大事な娘の誕生日アルよオオオオオオ!!」

 「落ち着いてくださいよ、局長。あの艦はタワーよりも高い所を飛んでいますし、砲門も開いてません。攻撃してくる可能性は低いです。あとツバかけないでください汚いです。」

 「デデデ――デハなんでウチらのところに来てるアルか!?一昨日の放送が視聴率ゼンゼン奮わなかったカラ、腹イセにボクチンを殺しに来たアルかああああ!?」

 「知りませんよ……私、文民なんで。軍部の思考など読めたものじゃないです。あとツバ――」

 「なんとかするアル……!!ボクチンはまだ死にたくないアル!!せめて今夜予約したレストランで、娘とラミア種のステーキを食うまでは死にたくないアルっ!!」

 「なんとか――と申されましてもねぇ……。」



2388年6月1日(水) 0:32 P.M. 第1居住区・イレブンスニューヨーク イラズ・スクエア

 【UGE・地球報道放送局(EBB) 報道部撮影班】


 「ご覧下さい!!街中のWatchやモニターが、レリギオスによる謎の映像に差し替えられ、人々はパニックに陥っています!!

 そして上空には、我がUGE空軍が誇る円盤型空中空母『エクセター』の姿があります!!今、EBBタワーに向かって接近していますが――あそこで何が起こっているのでしょうか!?」

 「いいゾぉ〜フランちゃん!緊迫感が伝わってくるゥ!午後のニュース番組に流せば高視聴率間違いナシだ!!」

 「はい!ありがとうございます!!

 (――ったく、かったりぃ……!せっかく最近できたレストランでオシャレなランチ楽しめると思ってたのに……急に訳分かんないレポート取材押し付けられて、マジ腹立つ……!予約キャンセルの電話入れれてないし、キャンセル料高くなっちゃう上にもう行きづらくなっちゃうじゃないの……!!)」

 「ヨシ!次はフォンテーヌ街の投資家の困惑顔見に行くゾ!!――って、どうしたニコ!!もうパンアップの画は撮れてるぞ!!」

 「違う――!『エクスター』の向こう――何か見えるわ――!!あれは――"島"!?」

 





2388年6月1日(水) 0:42 P.M. 第13居住区・ニューアシヤ 天ヶ岬(あまがみさき)軍病院


 〔――私たちは戦います!人ならざる扱いを受け、人ならざる死に様を余儀なくされる全ての者たちのために!!――〕


 「中尉、これは――!!」

 「ああ……。そうとうヤバいことになるぞ……!!これまで俺たちが必死で抑えてきた反政府運動が、一気に息を吹き返すことなるだろう……!!」


 ブラッドアイとダジボーグは、苦虫を噛み潰したような表情で、画面の向こうにいる銀髪のレリギオスの言葉に逐一注目していた。度々見せる彼女の微笑みは、二人にとっては作戦を失敗したことに対する嘲笑のようにしか見えなかった。


 〔――戦いましょう。どちらが真の《楽園》に相応しいかを――!!〕


 ("戦う"――!!)

 ノイズに消えゆく銀髪のレリギオスの顔を睨みながら、ブラッドアイは拳を強く握り締める。

 それは殺された兄の復讐のため、地位を追われる身となった自分のため、そして信頼を大きく揺るがされた政府のための拳である。


 「"戦う"――か。こりゃあ実質上の宣戦布告だな。まさか、《エデン大戦》の続きをするハメになるとはな……。」ダジボーグは目を瞑り、今まで積み上げたものを全て崩されたような絶望感を噛み締め、天を仰ぐ。

 「また……また多くの犠牲者が出るのでしょうか……?兄のような……。」ブラッドアイは、11年前にその腕で抱いた兄の亡骸を思い出していた。レリギオスに殺された兄の遺体の重みを。

 「出させんよ。そのために軍隊おれたちがいるんだろ?オズワルドの仇――あの"銀髪の悪魔"を倒すために、お前は軍に入ったんじゃねぇのか?そうだろ、ドロシー・ブラッドアイ!!」

 ブラッドアイの口から漏れた弱音に対し、ダジボーグの叱咤の声が飛ぶ。病室を震わす程大きなその声に、ブラッドアイは自らの使命を思い出す。――いや、もう既に思い出していた。

 「――判っています。"地球人類、およびUGEの理念に仇なす者は、どんな者でも排除せよ"――。教官時代の中尉が、しつこい程に仰っていた言葉。今も忘れてなどいません。私のこの身体、この精神は全て、『地球人類による繁栄(パクス・テラーナ)』のためにあります!だから私は、どんなことがあっても、レリギオスと《痣持ち》共を根絶やしにすると決めた――!!」


 パチパチパチパチ……


 突然、病室内に一つの拍手の音が響き出す。その音の主はブラッドアイでも、無論ダジボーグでもない。

 「真棒ヂェンバン!殊勝な心掛けでございます、ブラッドアイ中佐。ウォは大変感服いたしました。」

 もう一人、ブラッドアイではない別の女性の姿がそこにあった。その淡々だが特徴的な話し方の人物に、ブラッドアイは心当たりがあった。

 「その声と話し方――第1区分隊のルオ中佐か。」

 「シー。AXel・第1居住区分隊副隊長、羅宝拉ルオ・パオラでございます。好久不見ハオジウブジェン。」

 ドアの前に立つ、黒い迷彩色のチャイナドレスを身に纏ったそのルオと名乗る女性は、軽くお辞儀をした後、すらりと伸びた長い脚をクロスしながら二人に歩み寄る。青味がかったストレートロングの黒髪がリズミカルに左右に揺れる様は、同じ軍人とは思えないほどに優雅で落ち着きのある雰囲気を醸し出していた。

 「よぅ、ルオ中佐。あの映像見てたか?」

 「シー。ここに来る途中の車内で。――それはそうと、例の件、ご納得されましたか?」

 「ああ。部下が一人いなくなるのは寂しいが……仕方ねぇ。ああなっちまったんじゃそれが双方にとってもいいんだろうよ。」

 「謝謝シエシエ。改めてご協力頂いたこと、アルカンジュ隊長に代わりお礼申し上げます。」

 羅中佐は再度ダジボーグにお辞儀をする。二人の間に何の約束が交わされたのかを詮索しようなどとは、ブラッドアイは思わなかった。

 だが、その謎についてはすぐにブラッドアイにも知られることとなる。

 「さて。今回、ウォがこちらに訪れた理由は他でもありません。――ドロシー・ブラッドアイ中佐。ニンの処遇について、お伝えしたいことがあるためです。」

 「私に?」

 「シー。つきましては我們ウォメンとともに、これから第1区のAXel本部にご足労頂きたく存じます。」

 「ここでは駄目な話なのか?」

 「シー。まだ一般市民に公にしていない事項が含まれております故。それに、先程のレリギオスの映像の件もあります。我們ウォメンの会話を盗聴している可能性も、大いにあるかと。」

 「――判った。」ブラッドアイは了承した。「すみません、ダジボーグ中尉。あまりロクに話せませんでしたが。」

 「構わねぇよ。」謝るブラッドアイにダジボーグは軽くあしらって気にしていない素振りを見せる。「それより早くそっちに向かってやれ。アルカンジュの野郎を待たせたら怖ぇからな。――さ、行きな。」

 「はい。失礼いたしました。」

 ダジボーグに別れを告げたブラッドアイは、羅中佐とともに病院を出て軍が手配した送迎車に乗り込み、第1居住区・イレブンスニューヨークにあるAXel総本部へと向かった―――。

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