Episode18:《希望》vs《砂》
2388年5月30日(月) 16:37P.M. オレイオス魔法学校演習場・草原エリア
「な……なんだありゃ!?」
その頃、エルク・福希・ベルガ校長たちは、出発地点からちょうど反対側の、訓練の講師がいる場所の近くまで来ていた。そこから巨大な《砂》の壁が森の中で轟音を響かせそそり立つのを見た。先程森全体の遠景を見た時には、こんなものはなかったはずだとエルクは不思議がった。
「大きい壁ですね……。あれは何の建物ですか、校長先生?」
福希はそれを、何らかの建造物の類がギミックにより出現したと解釈した。エルクも同じだ。だがレリギオスであるベルガ校長ははっきりとその正体を見抜いていた。
「あれはたてものじゃない……。ひとりのてーとのうみだちた《まほー》でつ!」
「ま……《魔法》!?」
「ウソだろ!?あんなデケェのを一人で!?」
エルクと福希が驚いたのも束の間、2人は更にあるものを発見する。
「見てください!!壁の向こうで何か輝いてますよ!?」
「――ホントだ!!あれは何だ!?」
2人が見た物。それは壁の向こうから吹き上がる2色の炎のような輝きである。一つは青白い色で、もう一つは黄土色。ベルガ校長もそれを視認すると、その正体をすぐに突き止めた。
「あれはアツトラル!《まほー》のみなもととなるエネルギーでつ!!おとらく(=恐らく)あのなかで、ふたりのてーとがたたかっているとおもわれ……ん?」
そこでベルガ校長は、ある違和感に気付く。
「あなたたち、みえるのでつか!?あのアツトラルのかがやきが!?」
「あ?見えてるから言ってるんだろ?」
「はい。かなりくっきりと……?」
エルクと福希は平然と答える。それによりベルガ校長は、今起きていることの異常性を認識する。
「おかちい(=おかしい)でつ!ふつータピエンツは、アツトラルのながれをみたりふれたりつることなどできないはずなのでつ!!あなたたち、ほんとーにみえているのでつか!?」
「見えてるよ!青白いのと、なんか茶色っぽい感じのヤツが!!」
「ボクもそうです!同じように見えています!」
エルクと福希は知らなかった。通常、アストラル流体は地球人の眼では見ることができない。レリギオスであればその色や流れ方を目視したり匂いを感じたりできるが、多くの地球人はその感覚器官が未発達のためにそれができない。エルクと福希がレリギオスではないことは明らかだ。だとすれば――
「つーか、あの青白い炎って、もしかして望月のなんじゃねぇのか?まさかアイツが戦ってんのか!?」勘付いたエルクがそう口にする。
「え、ええ……!あれはたちかに、もちづきくんのアツトラル!もーひとつはキミたちとおなじクラツメート(=クラスメイト)だったアブドゥルラザクくんのものでつ!!いまあとこ(=あそこ)でたたかってるのは、そのふたりでつ!!」
「やっぱそうか!!――って誰だ?アブドゥルなんとかってのは?」
「ホラ、22日にうちのクラスに転校してきた人ですよ!頭巾とマフラーをした、目付きの悪い――」
福希が述べた特徴のおかげで、エルクは直ぐにアブドゥルラザク――ラーギブの顔と名前を一致させることができた。
「ああ、アイツか!!つーか、アイツもレリギオスだったのかよ!?ったく湯田と言い望月と言い、一体どーなってんだうちのクラスは!?なぁ福希!!」
「ボ……ボクに聞かれても……!?」
エルクが福希に無茶振りする中、声を聞きつけ、一人の大男が3人に向かって近寄ってきた――。
「こらぁっ!!何故サピエンスが斯様な場所で騒いで――ん?ベルガではないか?何故お前まで――?」
「ひぃっ!」「あ?って、アンタは――!」
福希は咄嗟のことでど忘れしていたようだが、エルクはそのレリギオスの大男に見覚えがあった。そしてベルガ校長は、その大男に事情を説明する。
「オ、オレイエたん……じつはこれにはワケが……!」
2388年5月30日(月) 16:37P.M. オレイオス魔法学校演習場・森林エリア
「Si, Hemitie teskios 《Arenios》!!」
「Si, Hemitie teskios 《Esperios》!!」
光とラーギブ。アリティア語の呪文を唱えた2人の身体から、高濃度のアストラル流体が勢い良く溢れ出始めた。光からは青白い輝きのアストラル、ラーギブからは黄土色の輝きのアストラルが放たれ、2つの輝きは天を衝く程高く、そして強く棚引いた。
(こ……これは!?なんて凄い濃度なんですか!?前が……眩しくて見えないのですよ!!)
(視界も嗅覚も触覚も――五感全てが狂いそうなくらいの高濃度のアストラル――!!こんな濃度は今まで感じたことがありません!!)
テルクシアとフェルタは2人のアストラル流体を見て、感じて驚いた。だがそれは2人のアストラル流体の"量"を見たからではない。光とラーギブのアストラル流体は、確かに地球人として見れば異常な量だが、レリギオスの眼から見れば一般のレリギオスと同等、あるいはそれよりやや多い程度の量で、さほど驚く程ではない。2人が驚いたのは、その"濃度"である。
"アストラル濃度"とは、ある一定の空間内において存在するアストラル流体の割合のこと。思念エネルギーであるアストラル流体の濃度が高いということは即ち、その者がより強い情念や願望、想像を抱いている事を示している。そして《魔法》の発動には、アストラル濃度が大きく左右している。
アストラル濃度が高い――つまり発動させたい《魔法》に対する想像が強い程、その《魔法》の効果が上昇したり詠唱時間が短縮されたりする等のメリットが生じる。逆にアストラル濃度が低い――つまり《魔法》への想像が著しく弱いと、そもそも《魔法》を発動できない、発動したとしても十分な効果が得られないと言った不具合が生じてしまうのである。
「……悪くない濃度じゃ。儂を倒す具体的なイメージは出来ておるようじゃのぅ。」光のアストラル流体の濃度を見て、ラーギブは彼が本気で戦いに挑んでくれることを再認識する。「ならば来い、望月光。もう一発、儂の顔面をぶん殴ってみせい!!」
ラーギブは右手を光に向けて2、3回軽く曲げる。光の方から攻撃を仕掛けてくるよう促しているのである。光は直ぐに理解すると、右手で左手を包み、屈む。それと同時に、点在する木や茂みのどれかに身を隠しているフェルタからの声が、彼の胸の中に響く。
〔光様……《魔法》が使えない私の代わりに、どうか皆様の御命を!!〕
「分かっています。その"願い"――僕は受け入れる!!」
瞬時、光は想像した。《砂》に囚われた仲間を救う手段を。そしてこの《砂》だらけの戦場において、自在に《砂》を操れるラーギブに勝つための方法を。
(《砂》の操作・生成に関する《魔法》は、間違いなく地属性が主体……!つまり弱点となり得るのは……!!)
光は授業で習ったアストラルの属性の相性相対表を思い出す。5日前にフェルタも説明したことだが、術者のアストラル流体とそこから繰り出される《魔法》には属性が存在する。そして繰り出す《魔法》自体の属性と、その《魔法》を受ける側の属性が相反する属性である時、効果は倍増する。《炎》ならば《水》、《闇》ならば《光》。そして《地》には――
(《風属性》!!)
〔ビュオオオオオオ!!〕
光を中心に、突如旋風が吹き乱れる。地面の《砂》が大量に舞い上がり、光の姿をラーギブから隠した。
「この《風》は――!?」
砂埃乱れ舞う中、ラーギブは微かに見える光のアストラル流体を凝視する。そして彼は目撃する。光の青白いアストラルとは別の、翡翠色をしたアストラルが、絡みつくように彼のアストラルを覆っているのを――!!
「これは――!?」
翡翠色のアストラルは、風属性を表す。ラーギブのアストラルの大半を占める地属性とは相反する属性である――!
「ラーギブ……先に謝っておくけど、僕は君みたいな《攻撃魔法》はまだ何一つ使えない。だけど勘違いするな。そんな僕でも、それ以外の《魔法》は使えるし、攻撃することだって、できる!!」
光が大声で宣言したと同時に、フェルタは胸に手を当て、想像に集中する。自らが使用するのと同じ感覚で、離れた場所の光にも、それが使えるように――!
〔《飛翔》!!〕
「《飛翔》!!」
その言葉を唱えると、光の身体は地を離れ、空中を浮遊し始める。《へスペリディア》へ連れて来られた時にフェルタが使ったものと同じ、風属性の浮遊移動魔法である――!
「浮いた!?しかし光には――」
驚く暇はない。既に光は猛スピードでラーギブに向かって飛翔し始めている。左手をぐっと握り、再びラーギブの顔面を狙うつもりだ。
(速い!じゃが攻撃手段は同じ……!只の拳打であれば、《砂》で容易に食い止められる――!)「《砂塵の穹窿》!!」
光との距離が2mを切った瞬間、ラーギブは《砂》で全身を覆い隠す分厚いドーム状の壁を生成する。呪文の効力で《砂》の密度が上がりより強固になった《砂》の壁は、ラーギブの談によれば戦車の砲撃でも打ち破れないという。
(死角のない、鉄壁の防御じゃ。《魔法》を使わなければまず破れることはない!――さて、どう出る!?)
光の視界からラーギブの顔が消える。《砂》のドームに一切の穴や継ぎ目はない。同年代の男子並みのパワーしかない光の筋力では、突破は現実的にあり得ない。だが――
(やっぱり防御に出たね……けど!)
光はその行動を読んでいた。そしてなお、飛ぶスピードを緩めない。それに呼応するようにフェルタも、
〔ええ!私の《風》なら――!!〕
フェルタは再び胸に手を当て、想像する。今度はあの《砂》の塊を吹き飛ばすような瞬発的な突風を。そしてフェルタの想像は、遠くにいる光にもそのまま伝わる――!
〔《瞬嵐》!!〕
「《瞬嵐》!!」
〔パァァァァン!!〕
光の拳から一瞬だけ吹いた突風が、ラーギブの砂塵の《クッバ・ア》穹窿》をいとも容易く粉砕する。
「何ッ!?」
「いけぇええええっ!!!!」
〔〔ドカァッ!!〕〕
そのままの勢いで、光の左手は再びラーギブの顔面を捉えた。今度のものは《飛翔》のスピードで勢いがついたため、先の一発よりも強く、そして遠くへとラーギブを吹き飛ばす。
「ぐあっ――!?」
ラーギブの身体は、回転しながら宙を舞い、7m後方へと跳ね飛ばされる。が、すぐに体勢を立て直し、咄嗟に作った《砂》の高台の上に着地する。そして今し方起きたことをもう一度咀嚼する。
(まさか……?フェイズ2の儂の防御を破った……!?それも光が持ち得ないはずの風属性の力で!?有り得ぬ!恐らく――いや間違いなくこれは、《希望》の能力の片鱗の一部!どういう種か見抜かんことには――)
「何をぼうっとしているんだ!!」
高台の下の方から、光が猛スピードで迫ってくる。そして今度は、右の拳をラーギブ目掛け、下から上へ振り抜く――!
〔フゥン……〕
だが寸前のところでラーギブは後ろに飛び降り、光の拳は空を切る。
「くっ――!」
「隙だらけじゃ。《砂塵の尖槍》!!」
更にラーギブは呪文を唱える。すると《砂》の高台の天辺から、鋭く尖った円錐形の《砂》が勢いよく伸び始める!高台の真上にいる光は気づいていない。このままだと、彼の腹部はあの《砂》に貫かれる!危険を察知したフェルタは、強く光に祈る――!
〔避けて光様!!〕
「ああ!!」
〔フゥン……!!〕
フェルタの"願い"に反応し、光はくるりと身を翻し間一髪で突撃を回避する。僅かに服が破けたが、光自身に傷は一切ついていない。
(避けた――!?あやつの注意は完全に儂にあったはず……!攻撃を察知する能力があるのか、それとも――?)
ラーギブは色々と志向を巡らせるが、間もなく落下する身体が地面に追突してしまう。彼は地面の《砂》に向かい手を翳すと、彼の真下にあった《砂》が、3m四方の薄い布状のものとなって浮上し始める。軈てラーギブの身体はその上にぼふっ、と落ち、地面への衝突を免れる。
(《砂》をクッション代わりに――?そういうこともできるのか?)
「《砂塵の飛絨毯》――お前さんばかり空を飛ばれては不公平じゃ。ここからは空中戦じゃ。」
ラーギブの作り出した《砂》の絨毯は、ゆっくりと光と同じ高度にまで浮上する。ヴェステたちとの戦いから様々な《魔法》を繰り出してきている彼の表情には、未だに汗も疲れの色もない。
(儂のアストラルには、6割を占める地属性の他、風属性も3割程含まれている。よって《砂》を浮かべてその上に乗ることで空を飛べるという訳じゃが――風属性を持たない望月光はどうやって飛んでおる!?誰かに「空を飛べ」と願われて飛んでおるのか?そもそもこの風属性のアストラルは、どこからどうやって発生しておる!?今この訓練を受けておる者の中で、風属性を持っているのは儂だけ――!やはり、あの透明人間が――!!)
透明人間=フェルタこそ光に風属性のアストラルを送っている者だと確信したラーギブは、その居場所のヒントとなるものを探す。先程光が生み出した風圧の影響からか、足跡の一部は消されて追跡できなくなっていた。他に何か手掛かりはと、ラーギブは光を中心に目を光らせる。
一方の光も、ラーギブにいくつか疑問点を抱いていた。
(やはり変だ……。もし彼が僕と同じように地球人類として普通に育ってきたのなら、あんな高度な《魔法》を次から次へと瞬時に繰り出せるはずがない――!僕のはフェルタさんの力を借りてどうにか彼のレベルについていけてるけど、あれは数日間の魔法学校の授業だけでは到底達成できないはず――!恐らくは《へスぺリディア》に来るより前、もっと言えば南星宮に来るより前に、どこかで《魔法》の訓練を受けていたに違いない!長い月日をかけて――!ラーギブの素性はクラスの誰にもあまり知られてないし、彼本人も話そうとはしない。ヴェステたちを殺そうとする理由も、僕と戦いたいという理由も分からない!殺す――ってつい口走ったけど、なんとか勝って皆を助けて、奴の堅い口を割らせてやる!!)
「凄い……望月光くんが風属性の《魔法》使っているの、初めて見たのですよ……!それだけじゃない。《攻撃魔法》が使えないならばと、《移動魔法》や初歩的な《魔法》を応用して戦うなんて――!やはり地球人の知恵には驚くものがあるのですよ――!!」
一方塔の上で拘束されたままのテルクシアは、二人の戦いぶりをみて、光の戦闘スタイルにひどく感心していた。
テルクシアと光は、全く《攻撃魔法》を使えない者同士。兵士育成を目的とするオレイオス魔法学校において《攻撃魔法》の才がない者は、大体回復役か盾役に徹してそれに見合うサポート系の《魔法》を習得していくのがレリギオスの中では常道であり、テルクシアもそれを疑わなかった。しかし光の戦い方を見て、彼女は今の自分とは違う理想像を思い描くようになっていた。
「しかし、どうやって望月光くんは《風》の《魔法》を?風属性のアストラルなんて宿ってないはずなのに――?あれ?」
テルクシアはふとあるものを発見する。光の後方から伸びるそれは、細く長い糸のようで、それは眩い翡翠色に輝いていた。
「あの糸のようなものは――?」
(素晴らしい!流石は光様!私の理想の旦那様っ♡)
翡翠色に輝く、アストラル流体でできた糸の先にある倒木の陰。フェルタはそこに身を潜め、光の優勢に対して密かに目一杯喜びを上げる。糸の先端は、彼女の左手親指に繋がっている。
翡翠色の、風属性のアストラル流体はフェルタのものだが、この糸を出しているのは彼女ではない。現在の彼女が《魔法》を使えない状態にあることには変わりない。糸は、光の《希望の痣》の能力によるものであり、翡翠色に輝いているのはそれを介してフェルタのアストラルを吸収しているからである。
(光様の話によれば、先の呪文を詠唱することでアストラルの解放度が一時的に上昇――運勢や運命の操作だけでなく、本来実現不可能な自然法則を無視するような"願望"――つまり《魔法》も実現が可能になると――!
加えて通常は発動に必要な身体的な接触という条件が緩和され、このような離れた場所にいる人間の"願い"も、光様から伸びるこのアストラルの糸を通じて相手のアストラルに触れることで、直接触れた時と同等の効果を発揮できるようになる――!相手のアストラルに触れた光様の糸は、相手のアストラルの一部を吸収し、それを光様自らのものとして扱うことができる――!故に今の光様は、私のために、私の想像通りに私の《魔法》を使用できる!試しに簡単な《魔法》を想像しましたが、私が普段使っている時と全く遜色御座いませんよ、光様――!)
ラーギブとの戦闘開始の直前、光が教えてくれた《希望の痣》の新たな能力。光もつい昨日それを理解したばかりで、上手くいくか不安だったという。しかしその効力を実感した今、フェルタは光の可能性を更に強く信じた。
〔光様!今の光様なら《攻撃魔法》を出せるはずです!それで彼を倒しましょう!!〕
フェルタの"願い"は糸を伝い、そのまま光の胸中に音声として伝達される。この糸には繋がった者の"願い"を汲み取ると、それを音声として光に伝える能力がある。但し所謂テレパシーとは違い、先程のフェルタの回想のような"願い"ではない心の声は聞き取れない。それに――
(分かりま――えっ!?待って?僕の話聞いてま――〔大丈夫です!殺さない程度の《攻撃魔法》を想像します!どうかお使いください、光様!!〕――やっぱり聞こえてない!?)
光の方からは、糸で繋がった相手であっても一切の思考が発言・身振りなしでは伝わらない。光が困惑しているのは、ある懸念があったからだ。戸惑う光をよそに、フェルタは、《攻撃魔法》の想像を膨らませ、呪文の詠唱を開始する。
〔《風》を司る神よ、万物を塵芥に帰する嵐を産む者よ。〕
「か……《風》を司る神よ、万物を塵芥に帰する嵐を産む者よ?」
フェルタの言われるがままに光は彼女の詠唱の真似をする。彼女の作り出した《魔法》の想像が糸を伝い、光のアストラルを介して具現化されていく――!
〔我が眼前に立ちはだかる障害を、その権能を以て、薙ぎ払い給え!〕
「わ、我が眼前に立ちはだかる障害を、その権能を以て、薙ぎ払い給え!」
先程使った《魔法》よりも長い呪文。呪文の長さは、そのままその《魔法》の効果の大きさを表す。それにフェルタの強い"願い"がプラスされると、光の左手に集まった翡翠色のアストラルが激しく輝きを放つ!
〔パァァァァ……!!〕
(――ッ!?凄い力だ!!そして伝わってくる!フェルタさんの強い想像が!!)
「ほぅ?アストラルが先よりも高い濃度を示しておる……!これは期待できるのぅ!!」
ラーギブは《砂》の絨毯の一部を分解し、右手に集める。集まった《砂》の塊は細く長い棒に変化し、そして鋭い刃を持つ刀となった。
そして同時に。光の左手には、小刻みに波打つ巨大な"《風》の剣"が形成される!
「準備はできたな?――行くぞ!!」
ラーギブの合図とともに、《砂》の絨毯は急発進する!ラーギブは切っ先を前方に向け刺突の構えで向かってくる――!
(フェルタさんの《攻撃魔法》――一応形にはなってるようだ!やれるのか?今の僕なら――!?)
〔来ます!攻撃を!!〕
「わ、分かった!」
光はその場で剣を構え、ラーギブを向かい打つ。
そして――
「《砂塵の剣》!!」
〔《斬り裂く狂飆》!!〕
「《斬り裂く狂飆》!!」
両者の《魔法》で作られた刃が、音を立てて激しくぶつかり合う!!
――ことはなかった。
〔フォン……〕
「なっ――?」




