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お釜大戦  作者: @FRON
第八章 ゼロの決死圏!!
365/367

∥008-F 閑話休題・歴史探訪――復活の死体蘇生者

#前回のあらすじ:合衆国崩壊の序曲!



()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


       ―――ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』




  ・  ◆  ■  ◇  ・




―――ハーバート・ウェストは、19世紀-20世紀に掛けて暗躍した(マッド・)科学者(サイエンティスト)である。


痩せぎすで小柄な体格、くせのある金髪、薄いブルーの理知的な瞳。

ミスカトニック大学にて医学を修めた彼は、在学当時から『()』と、()()()()()()()()()()()を追い求めていた。


()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()調()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


不可逆にして絶対的な『()』を否定し、生命の新たな可能性を拓かんとする彼の理論。

それは大いに人々の議論を呼び、また、多くの者から批判を受けた。


しかし―――若き天才を突き動かす情熱は衰える事無く、無謀な実験へと駆り立てる事となる。


数多の動物実験、そして―――()()()()

夜毎繰り返される、()()()()()()の数々。


その果てに、若きウェストは『死』を覆し生命を賦活させる、()()()()()の開発を果たした。

だが、輝かしい栄光に支払われた()()は、後に彼を追い詰め、その命を奪う()()を齎す事となる。


―――第一次世界大戦終戦後。


ボストンの郊外に居を構えていた彼の元へと、一つの()便()()が届けられる。

それは人間の生首であり、過去、ウェストが蘇生薬を投与した()()()のものであった。


その夜、()()()()()が率いる謎の一団が、館へと襲撃を掛ける。


それらは全て、過去にウェストが実験により蘇生させた()()()()()

彼らは皆、冒涜的な実験の末に()()され、あるいは新鮮な死体を確保する為、()()()()()()()()()()()()()()者達であった。


『死』からの解放を謳う男は、との昔に()()()()()()()()()()()()()()を踏み越えていたのだ。


数多の凶行を繰り返した狂科学者は、その身を八つに引き裂かれ、ついに己の所業の報いを受ける。

異形の集団は()()()()()()()を上げ、ボストンの闇へと消えて行くのであった。


―――それから数十年、()()()()()()()()()


混迷を極める西海岸に、()()()姿()()()()()()()()が再び現れた。

痩せぎすで小柄な体格、くせのある金髪、薄いブルーの()()()()()()()()()()()


その手に携えられた注射器には蛍光色の薬液が湛えられ、次々と物言わぬ死者へと注入される。

()()()()、見開かれた双眸に宿る、()()()()()()


死体蘇生者(Reanimator)』―――()()()()()()()()()()()()()()()




  ・  ◆  ■  ◇  ・




[マル視点]



―――『死者の(Necro)軍勢(Force)』とは、ハーバート・ウェストの手によって蘇生された()()()()()()()()()()を指す。


それは()()()()・あるいは()()を問わず。

ありとあらゆる戦場を渡り歩き、『死体蘇生者』によってかき集められた地獄の混成部隊であった。


本来、『死』の克服には綿密な計算が必須である。

それ故、蘇生薬の調合には、被験者毎に()()()()()が存在する。


だが、復活したウェスト博士は汎人類的に使用可能な、『()()()()()()()()』を完成させていた。


1943年、北米大陸西岸。

そこに端を発し、徐々に東へと進軍を開始した『死者(ゾンビ・)の行軍(アポカリプス)』。


行進するかつての死者たちの懐には()()()()()()()が隠され、再度の絶命と同時に()()()()()()()()()()()が施されていた。

戦死と共に即座に生命を賦活され、戦線へと復帰する蘇生者たち。


降り注ぐ弾雨をものともせず、突き進む『軍勢』はことごとく、立ち向かう敵対者を葬り続けた。


そして―――動くものの無くなった戦場を徘徊するのは、『死体蘇生者』の()()たち。

彼らの手には注射器が握られ、満たされた薬液によって戦死者を()()()()()()、自陣へと加えて行ったのである。



「『死者の軍勢』は戦線の拡大に比例してその数を増し、最終的に()()()()にまで膨れ上がったみたいです。米軍も必死の抵抗を続けましたが徐々に押し込まれ、ついには東へ向けて退却を始めました。ですが・・・彼らにとって敗北は()()()()()()()、かつての同胞へと銃を向ける、()()()()()()()()に過ぎなかった訳ですねぇ~~~」


「そりゃ、世界最大の覇権国家も崩壊するワケだ・・・」



真調(ましら)が語る合衆国崩壊の経緯に、思わずぼくは溜息を漏らす。


前回に引き続き、某喫茶店にて。

小柄な少年と怪しいジジイという()()()()な取り合わせは、テーブル越しに顔を突き合わせこの世界の()()をおさらいしていた。


―――死んでも(Necro)死なない軍勢(Force) VS 世界最強国家(USA)


第二次世界大戦のトリを飾る事となった、()()()()()()

その結末は、皆も知っての通り()()()()()()()で終わった。


厄介と呼ぶにこれ以上ない特性に加え、『軍勢』は実に効率的に、合衆国を内部から切り崩していったのだ。

その一つとして挙げられるのが、()()()()()()()である。



「アメリカさんも当初、ただそれだけで崩壊する程切迫してはいませんでした。ですがぁ・・・。それに楔を入れたのが、()()()()()()()()()()。それと、()()()()()なんですねぇ」


()()と・・・()()?」


「えぇ。アメリカという国はよく『()()()()()()』と称されるように、各地に点在する地方都市を除く大部分は()()か、手つかずの()()が広がっています。『軍勢』はあえて()()()()()()()()、都市同士を繋ぐライフラインを()()するように動いたんですねぇ。内戦開始後の彼等はまだそれ程数を増やしてませんでしたし・・・」


「それを補う為に、()()()()()()()()()()()()()・・・?」



ぼくの呟きに類人猿(チンパンジー)めいた老人は、無言でコップの水を口に含む。


歩く死体によって構成された、『死者の軍勢』。

その実態は想像以上に狡猾に、当時のアメリカを追い詰めていたようだ。



「結果、取り残された人々は追い立てられるようにして、『西()』を目指しました」


西()()じゃなくて・・・?それじゃ、むざむざ()()()()()()()()()()()()()()じゃん!」


「キヒヒヒヒ!・・・おっしゃる通り。ですが都市を封鎖した『軍勢』は()()()()()()()()、避難民の流れを()()したんですねぇ」



猿めいた顔を()()()()と歪め、老人は不気味な笑い声を上げる。



「この流れは西岸の湾口都市を通じ、周辺各国へと()()()()()させました。カナダ、メキシコ、太平洋沿岸地域に点在した、欧米列強の植民地・・・。合衆国から溢れだした難民の波は、結果として北米大陸で起きていた異常事態を世界へ報せる、()()()()()()()となった訳です。それと同時に国家の体力を奪う、遅効性の()として機能した訳ですねぇ」



()()()()()()()()()()()()()()()()()

この報せを受けた列強諸国はしかし、この動きを()()した。


ヨーロッパは未だ()()()()()()()()にあり、海を越えて救援を出す程の余裕が無かったのだ。

合衆国は周囲からの救援を得られず、崩壊へと向かう動きを加速させる結果となる。


一方。


アメリカ首脳陣もまた、この事態を前にただ手をこまねいていた訳では無かった。

()()』が目指す先、合衆国の中枢(ホワイトハウス)は南北戦争以来初となる大規模な内戦に対し、形勢を逆転させる()()()()を計画していたのだ。


それは、当時最高の科学者達がその知恵を結集させた、()()()()()()()()()()

所謂、()()()()()()()()であった。


しかし、この計画が()()()()()()()()()()()()


並行して発案され、極秘裏に進行していた()()()()()()()()()

こちらが採用され、実行に移されたからである。



「世界有数の稀覯書を蔵する()()()()()()()()()、その奥深くに所蔵された、()()()()()。アメリカ政府が採択したのは、17世紀ラテン語版『死霊(ネクロ)秘法』(ノミコン)を用いた、()()()()()()()()()()()でした。人呼んで―――『アーカム(Project)計画(Arkham)』」



それが、世界最大国家を崩壊させた()()()()()()

混沌の門を開き、人類社会を滅亡へと導く()()()()()であった―――

今週はここまで。

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