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お釜大戦  作者: @FRON
第八章 ゼロの決死圏!!
360/370

∥008-B 閑話休題・某喫茶軽食チェーンにて

#前回のあらすじ:その後の昭和基地!



[マル視点]



「ご注文はお決まりですか()ー?」


()()()()、くださいな」



間延びした喋り方の店員さんにメニュー表を示すと、ぼくは()()()()のシートに体重を預ける。

視線をゆっくりと上げると、対面側のシートには()()()()、と小柄な老人が収まっていた。


外見年齢は60~70くらいか。


()()()と禿げ上がった額の上には、申し訳程度に灰色の髪が一房残されている。

先程の店員と言葉を交わした男は、こちらへ振り返ると皺だらけの顔をいっそう()()()()()()にさせるのだった。



「食べ盛りなのに、そぉんなちょっぴりで良いんですかぁ~??今日は、()()()()の驕りですからぁ・・・。()()とか、()()とかどうです?・・・()()()()()()!」


「・・・お昼は、()()()()()予定ですんで!」



メニューに印刷されたビーフシチューを()()()()叩きながら、奇怪な笑い声を上げる老人。


対するこちらは掌を突き出すと、きっぱりと甘い誘惑を断るのだった。

そんなちょっぴり()()()()したやりとりにも、何が面白いのか老人は()()()()している。


黄色い歯をむき出しにしたその姿は、見れば見るほど()()()()()()そっくりだ。


つれない態度に見えるかも知れないが、ぼくはあまり、こいつに()()を作りたくは無いのだ。

過去、たっぷり遭わされた()()()()のお陰か、眼前の老人に対する警戒心は常にマックスである。


まあ、もしかすると()()()()()からの言葉なのかも知れないが・・・。

なにはともあれ、ぼくらは某喫茶店チェーンにてお茶を()()()()いた。


時系列は()()()()()()が落ち着いた、その次の休日。

穏やかな日差しが差し込む、昼前の出来事である。


事の発端は今朝のこと、目の前の怪老人が突然、家に訪ねてきた時にまで遡る。

唐突な()()()()()()()()に、ぼくは咄嗟に場所を移すことを提案したのだ。


あまり、この男を()()()()()()()()というのが、行動の主な動機となる。

そんな怪しいジジイとの語らいの合間、店内へ()()と視線を走らせる。


ランチタイム間近という事もあってか、店内はやや混雑し始めているようだ。

丁度、2人対面掛けの席が見つかったのはタイミングが良かったのだろう。


これで、相手がしなびた老人でなければ、もうちょっと()()()()するシチュエーションなのだが・・・。



「お待たせしゃーっしたー。クリームソーダとデザート、ごゆっくりどぞー」


「あ、()()



密かに溜息を付いていると、ぼくが注文した分の皿が運ばれてくる。


相変わらず間延びした喋りのウェイトレスさんがテーブルの上に置いたのは、長靴の形にカットされたグラス。

室内灯を反射する透明の円筒は、ライトグリーンの液体を湛えて()()()()()()と気泡を上げていた。


その隣には、黒々と艶を放つデニッシュ生地。

そして、()()()()と聳え立った純白の塔が()()、と鎮座していた。


今や、全国展開されるようになった()()()()()が誇る定番メニューである。

その光景にちょっぴり心躍らせていると、ふいにテーブルの向こうで()()()()(わら)うジジイが視界に飛び込んで来るではないか。


なんだか弱みを握られたような気分になって、ぼくは小さく呻きを上げる。

そんなぼくを満足げに眺めると、老人は湯気を上げるコーヒーカップをゆっくりと傾けるのだった。



()()()?態々顔なんか見せて、一体何が()()なんです・・・?」


「おやぁ?こりゃまた刺々しいですねぇ・・・。()()()()は、こ~んなに友好ムードなのに!()()()()!―――()()()()()。話は変わりますが・・・友達の話によると、彼の職場に()()()()()()()が訪れたそうなんですよねぇ」


「また、藪から棒に・・・。で?そのお客さんが、一体どうかしたの?」


「えぇ、えぇ、それがですねぇ。つい最近()()()()()()()()()()()()と、()()()だというんです!ビックリでしょぉ?玄華(ゲンゲ)さん、という方なんですけどぉ・・・。ひょっとすると、()()()()()()ぁ?」


「・・・()()()()()()!?」



()()()()と変わる話の内容。


猿顔の怪老人と対面でクリームソーダを飲むという、実に心()()()()()シチュエーションにげんなりしていると、唐突に()()がぶっ込まれる。


()()()()()()と弾けるのど越しを楽しんでたぼくは、唐突な展開に思わず咳き込んでしまった。

慌てて視線を上げると、怪しげなジジイは細めた瞼の間から()()()()と、こちらを見つめているではないか。



()()・・・()()()じゃないですか()()!?ぼくとその方は、あくまで無関係なんですけれど・・・!」


()()()()()()!・・・そうでしたかぁ?」



()()()


この口ぶりだと、目の前の老人は玄華さん達『深泥(ミドロ)族』の生存に気付いている。

それどころか、下手すれば【()()】に()()()()()()()()すらバレているかも知れない。


思いも寄らぬ展開に、ぼくは脂汗を流しつつ必死に言葉を探すのだった。



「・・・・・・()!こちらこそ、話は変わりますけれど?最近、新しく知り合った()()が居まして。何でもその、玄華さんのそっくりさんで・・・()()()だか、()()()()()に当たるんだとか!」


()()()?」


「その名もずばり幻花(ゲンカ)さん!・・・その方と、()()()()()んじゃ無いんですか?」


「おやおやぁ、そうでしたかぁ」



いささか()()()とは自覚しつつ、ぼくは必死に話題逸らしを続ける。


―――つい先日、南極の地にて繰り広げられた()()

その中で()()()()()から、玄華さんの素性を現地の人に知られてしまうハプニングが起きたのだ。


人類発祥の遥かな昔より、深海底を住処としていたと言われる種族―――『深きもの(ディープワン)』。

玄華さんとお子さんの野呂(ノロ)さんは、その一士族である『()()()』の出身である。


そもそも、あの時の南極は【彼方より(シング フロム )のもの】(ザ ビヨンド)の狩場である【影の国】(アルバ)()()()にあった。

時間の流れが停止した()()に於いて、ぼくら【神候補】を除く人間が居る事自体が()()()()()()なのだ。


仮に、無関係の()()()が紛れ込んだとしても、凍り付いた時の中では意識を保つことすら不可能な筈。


しかし、何事にも()()というのは居るもので。

生命体としての枠を超越し、『()()』を果たした者が運悪く、()()()に集っていたのであった。


酷寒の地にて出会った彼等の顔が、()()脳裏に浮かぶ。

・・・結局、彼等にはお別れが言えずじまいだった。


心の中にわだかまる後悔の念を押し殺し、ぼくは今、直面している問題へ再び思考を巡らせる。


真調(ジジイ)が言及したのは、ほぼ間違いなく南極での一幕についてであろう。

であれば、その場合秘匿すべきは『深泥族』に関する諸々が()()()だ。


それを念頭に、何とかしてこの場をごまかしきらねば・・・!

密かに決意を固めるぼくを前に、怪老人は再び奇怪な笑い声を上げる。



()()()()()()というなら、一安心ですねぇ・・・()()()()()!!」


「あ、()()()()()・・・!」


「・・・()()()()。その『()()』の連絡先についても、お教えしなくて大丈夫そうですねぇ~?我猛(ガモウ)さんという、元気の良い若者なんですが―――」


()()()()!!!」



ほとんど反射的に、その一言は口をついて飛び出した。

その直後、()()()()、と口をつぐむが―――時すでに遅し。


()()()()()()視線を上げると、()()()()と嗤う老人の顔がまっすぐこちらを見つめている。

ヘビに睨まれるカエルの如く、()()()()と脂汗を流すぼく。


スマホに映し出されたメッセージアプリを()()つかせ、老人は嘯く。



「詳しくお話、聞きましょうかねぇ・・・?()()()()()!」


()()!」



目の前に差し出されたエサに、()()()と喰いつく形となったぼく。

そのまま凍り付く様子に目を細め、軋り上げるような笑い声を放つジジイ。


またしても()()()()()()現状を前に、ぼくは歯噛みしながら女騎士のように呻くのだった―――



今週はここまで。

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