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お釜大戦  作者: @FRON
第八章 ゼロの決死圏!!
359/370

∥008-A 閑話休題・その後の昭和基地

#前回のあらすじ:こんな結末ってあるぅ?



[久我島(くがしま)視点]



「―――()()()?」



()()()()、と分厚いレンズの奥で瞳が瞬く。


ふと気付いた時、彼女の目の前には自分を見つめる8()()()()が並んでいた。

見知った顔が目の前に並ぶその状況に、女性は思わず首を傾げる。


垂れ気味の黒い瞳、焦げ茶色のちぢれ毛を後ろで束ねたロングヘア、包容力を感じさせる柔和な顔立ち。

女性的な肢体を()()()とした白衣で包んだ彼女は、いささか戸惑いながら声を上げた。



「皆して・・・どうかしたの?何か、あったのかしら?」


「―――雛罌粟(ひなげし)君。身体に、どこか()()()は無いか?()調()があったりは・・・」


「まあ、久我島主任。・・・ええと、()()()?おかしな所はありませんですけれど―――」


「「「・・・()()」」」



奇妙な状況に疑問を覚えながら、雛罌粟はそう答える。

固唾を飲んで見守っていた彼等は、いたって健康そうな彼女の反応に安堵の息をつくのだった。




  ・  ◆  ■  ◇  ・




―――【彼方より(シング フロム )のもの】(ザ ビヨンド)、そしてショゴス達の襲撃が終息した後。


前代未聞の事態から辛くも脱した昭和基地は、ようやく平穏な時間を取り戻しつつあった。

【影の国】(アルバ)の影響下に置かれていた者達もまた、停止した時空間より解放され、普段通り活動できるようになっている。


異次元よりの侵略者である―――【彼方よりのもの】。

それが作り出す、()()()()()()()()()


通常、そこではあらゆる生物が活動を停め、次元を越えて現れる侵略者たちの餌食となるのだ。

唯一の対抗策は、久我島のような『()()()』―――()()()()()()()()()()()()()


抗う意思を胸に宿し、激闘を繰り広げた職員の奮闘によって、襲撃者どもの撃退は既に完了している。

残るは、騒動が残した()()の後片付けのみであった。


久我島は無線機を通じ、復旧しつつある基地各部からの報告へ耳を傾けていた。



『―――他の区画でも、続々と職員達が活動を再開しているようです!』


「防壁は?」


『可動式防壁の約30%が全損、残るは50%が無傷、20%が中破・・・と、いった状況です』


「・・・そうか。後始末を考えると頭が痛いが、ひとまず一安心、といった所か。だが、まだまだ気は抜けん。今後も何かあれば、すぐに報せろ」


()()()!』



窓の外へ視線を向けると、職員達が台車を使って瓦礫を運び出している所であった。


巨大ショゴスの砲撃を中心に、基地設備へ残された傷跡は深い。

『狂気(マウント・オブ)山脈』(・マッドネス)よりの来訪者を迎え撃つ防波堤として、十全な機能を発揮するには未だ時間が必要であろう。


それまでに、()()()()が起こるだろうか?

総ては()次第。


基地は今、非常に()()()()()に置かれていると言える。

だが―――()()()()()()()()


それだけは、皆に誇れる確かな()()であった。


口元を僅かに歪め、久我島は()()()ときびすを返す。

背後では、雛罌粟女史に抱きつく子供たちが上げる歓声が響いていた。


()()を後に残し、男は人気のない区画へ向けて歩みを進める。



『―――もしもぉし、真調(ましら)でぇす』


「お久しぶりです、()()()()。久我島です」



周囲に誰も居ないことを確かめた後、久我島は国際通話を発信する。

相手はあの怪老人―――()調()であった。



「只今、お時間宜しいでしょうか?」


『おや~~~?珍しい方から電話が来ましたねぇ。こりゃ、明日はきっと()()ですねぇ・・・()()()()()!』



既知概念凌駕実体究明・対策室。

通称―――『()()()』。


日本において、異能者・覚醒者、及びそれに()()()()()を取り扱う、唯一の政府機関である。


過去に戦闘中の負傷がもとで、生命体として『()()』を果たした久我島。

彼にとって、真調はよく見知った相手であった。


自らの身に生じた変化に戸惑い、明日を見失っていた自分。

それを導き、社会に再適合する手助けしてくれた恩人でもある。


久方ぶりに聞いた声は相変わらず、猿のような奇怪な笑い声を上げている。

老人の奇行にも動じず、久我島は()()を切り出すのだった。



「先日、通達のあった()()()()()()()()()。―――『()()()』ですが、此方(こちら)にも現れました」


『ふぅむ?それでこうして、ボクチンに電話してるというコトはぁ・・・。無事、()()()()()ようですねぇ~?久我島クンの事だから、心配はしてませんが・・・。()()()()()でしょぉ?』


()()()()。それで、宜しければ互いの認識を擦り合わせたいのですが・・・」



久我島はそのまま、これまでに見聞きした出来事について報告を始める。


実のところ、彼は【彼方よりのもの】の存在を()()()()()()()()()()

一定以上の階級を持つ『覚醒者』に向けて、先日、政府より密かに()()()()()があったのだ。


―——先日、北陸で起きた『深泥(ミドロ)族』と政府機関の衝突。


その折に観測され、政府の知る所となった正体不明の組織、【()()()()()】。

彼等の情報と共に、敵対者である【彼方よりのもの】についても、政府はその存在を認識していたのだ。


以降、政府は極秘裏に日本各地を調査し、その存在についての情報を蓄積していた。


日本政府の影響下にある、()()()()()()()()()()()()()()()()()()

特に、陥落した場合の影響が甚大と予想される所には重点的に、その()()()()()が共有されていた。


久我島含め、一部の基地職員にはあらかじめ、最低限の知識はインプットされていた事になる。

その動きを主導し、関係各所との調整を行っていたのが、ほかならぬ真調であった。



『なぁるほど、ねぇ~。今回も我猛(ガモウ)クンが大活躍だった訳だ、()()()()()()!』


「はい。・・・()()()()()です」


『そ・れ・で。―――()()の所に姿を現した少年。マルくぅんの事は()()()()()()()()()()()()()()んですよねぇ~』


()()()―――!」



ようやく話が主題に入り、久我島は思わず身を乗り出す。


あの時、基地へと訪れた()()()()()()

丸海人(マルカイト)の存在が、彼の頭にずっとこびり付いていたのだ。


【彼方よりのもの】、そしてショゴス最後の一体が撃破された後、彼等は忽然と姿を消していた。

その後の足取りについては一向に掴めず、職員の中にはその実在すら疑う者も居た。


だが、あの襲撃の中、彼らは()()()()()()()のだ。

その手がかりとなるのが、少年が口にした()調()()()()である。


自分に掛けられた疑惑から逃れる為、口から吹いた出まかせか?

それとも事実―――この怪老人と、面識があったのか。


疑問が氷解すると共に、()()()()が浮かび上がってくる。



「彼らは・・・我々の、()なのでしょうか?()()()()―――」


()()()()()()!それについては・・・()()自身の()()で、判断して貰いたいですねぇ~』



久我島の呟きに、歴史の闇を知る老人は奇怪な笑い声を上げる。


()()()()()()()()()()()()、果ては―――【深きもの(ディープワン)】まで。

我猛青年が見たという構成員には、遠く、ヨーロッパの同盟国(第三帝国)の出身者まで含まれていたという。


彼等を擁する【イデア学園】とは、()()()()()()()()()()()()


国籍、年齢、性別すら一致せぬ、種々雑多な構成員たち。

それらが()()()()参加したのでなければ、その版図は()()()()()()()()()()()()可能性すらある。


その在り方如何によっては、今後の基地にとって重大な懸念点にもなりかねないだろう。



(俺個人としては、()()()()()()()が・・・)



久我島の脳裏に、朗らかな少年の笑顔が浮かぶ。


対価を求めず、窮地に駆けつけてくれた彼等には()がある。

だが、基地の護りを担う身としては、まず『()()』ことから出発するのが鉄則であった。


心の中で懺悔を済ませると、男は通話中の内容に意識を向ける。


()()()()と、【()()】。

極寒の地にて、二者の行く末に大きく影響する()()が、密かに投じられるのであった―――



今週はここまで。

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