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Found Number  作者: 寝火
新参
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第八話 王城バラン



これくらいあれば足りるだろう。


そう思っていた量をはるかに超えるほどの薬草が、俺たちの前には積み上がっていた。


「いやぁ、採った採った。」


カイが大きく伸びをする。


「これだけあれば、結構な報酬になるんじゃねぇか?」


「そうだな。」


俺も額の汗を拭いながら答える。


王都へ戻ろうとした、その時だった。


「あ。」


カナリが何かを思い出したように立ち止まる。


「そういえば、俺、脳Knightを倒しに行く途中だった。」


「すまん。」


「バラン王城に戻らなきゃ。」


そのまま歩き出そうとするカナリを、カイが慌てて呼び止めた。


「おい待て!」


「この薬草どうすんだよ!」


「俺らじゃ全部持って帰れねぇぞ!」


「あー……。」


カナリは少し考えると、甚平の懐をごそごそ探り、小さな麻袋を取り出した。


「これ使え。」


「薬草は俺にはいらねぇ。」


「今回の詫びと礼だ。」


そう言って袋を俺へ投げ渡す。


「じゃ。」


その一言だけ残し、次の瞬間には姿が消えていた。


「……相変わらず速ぇな。」


カイが呆れたようにつぶやく。


俺は渡された袋を開き、中を覗く。


「なんだこれ。」


「普通の袋じゃねぇか。」


「底が浅すぎるだろ。」


半ば呆れながら薬草を入れていく。


一束。


二束。


十束。


二十束。


「……あれ?」


俺は手を止めた。


「どうした?」


「袋が……膨らまない。」


「は?」


カイも覗き込む。


どれだけ薬草を詰めても、袋の大きさはまるで変わらない。


「嘘だろ……。」


「まだ入るぞ。」


俺たちは夢中になって薬草を詰め込んだ。


採取した薬草は、ついに一つ残らず袋の中へ吸い込まれる。


それでも袋は手のひらほどの大きさのままだった。


「すげぇ……。」


「なんなんだ、この袋。」


驚きを隠せないまま、俺たちは王都への帰路についた。


◇ ◇ ◇


ギルドへ戻ると、受付嬢がすぐに俺たちへ気付いた。


「セプト様、カイ様ですね。」


「薬草の提出をお願いいたします。」


俺は袋を逆さにする。


次の瞬間、大量の薬草が机いっぱいに雪崩れ落ちた。


「……!」


受付嬢は目を丸くした。


「その袋……どうなっているのですか?」


「いや、俺たちも分からない。」


「カナリって人からもらったんだけど。」


「カナリ様……ですか?」


受付嬢は少し首を傾げる。


「申し訳ありません。そのようなお名前の方は、私は存じ上げません。」


「え?」


俺とカイは思わず顔を見合わせた。


「あれだけ強そうな人なのにな。」


受付嬢は薬草を抱え、一礼する。


「換金して参りますので、少々お待ちください。」


数分後、受付嬢は革袋を持って戻ってきた。


「換金が完了いたしました。」


「今回の報酬は、銅貨二十枚、銀貨三十五枚になります。」


「おぉ!」


思っていた以上の金額に、俺もカイも思わず笑みを浮かべる。


「初仕事にしては上出来だな。」


「ああ。」


こうして俺たちの冒険者としての最初の一日は幕を閉じた。


その夜、俺たちは宿へ戻り、疲れた体を休めるのだった。


---


――少し時間はさかのぼる。


カナリがセプトたちと別れた直後。


彼が向かった先は、かつて王族が住んでいた廃城――**王城バラン**。


その庭園では、一体の魔物が暴れ回っていた。


**脳Knight。**


推奨冒険者レベル五十。


その巨体が歩くたびに、石畳が震え、重々しい音が庭園へ響く。


その怪物を相手に戦っていたのは、二人の少女だった。


巨大な盾と短剣を武器とする少女――**ミルト**。


そして、その後方から弓で援護を行う少女――**ルシル**。


二人とも今日ギルドへ加入したばかりの新米冒険者である。


「ルシル!」


「右だ!」


「分かってる!」


放たれた矢が脳Knightの鎧へ突き刺さる。


だが、傷一つ付かない。


「くっ……!」


ミルトは巨大な盾で大剣を受け止める。


凄まじい衝撃が腕を痺れさせた。


「まだ……!」


踏ん張ろうとした、その瞬間。


足元の瓦礫に足を取られる。


「しまっ……!」


体勢が崩れた。


脳Knightはその隙を見逃さない。


巨大な剣を真っ直ぐ振り下ろした。


「ミルトーー!!」


ルシルの悲鳴が庭園に響く。


その瞬間だった。


**――バチィィィン!!**


雷鳴のような轟音が鳴り響き、土煙が庭園を覆う。


煙が晴れた時、一人の男がそこに立っていた。


紫色の髪。


気だるそうな表情。


上半身には甚平を羽織り、膝丈までの半ズボン。


男は片手で脳Knightの大剣を受け止めていた。


「こんなところで何してんだ、嬢ちゃんたち。」


男はため息混じりにそう言うと、脳Knightへ視線を向けた。


「邪魔。」


その一言だけだった。


次の瞬間。


男の姿が消える。


**ドンッ!!**


鈍い衝撃音が響く。


気付けば男は脳Knightの背後に立っていた。


脳Knightは二、三歩前へよろめく。


そして――


**ガシャァァァン!!**


全身の鎧が砕け散り、その巨体は音を立てて崩れ落ちた。


一撃。


たった一撃だった。


ミルトは息を呑む。


(……強い。)


(こんな人、見たことがない。)


男は倒れた脳Knightには目もくれず、肩を軽く回す。


「クエストか?」


「は、はい……。」


「早朝から挑戦していたのですが……。」


「なるほど。」


男は気だるそうに頭をかく。


「連絡来てねぇのか。」


「このクエスト、推奨レベルが引き上げられた。」


「だから帰れ。」


追い払うように手を振る。


ミルトは慌てて頭を下げた。


「助けていただき、ありがとうございました!」


「お礼だけでもしたいので……お名前を聞いてもよろしいですか?」


男は少しだけ笑う。


「俺?」


ほんの一瞬だけ空を見上げ、


「……タタリ。」


それだけを告げる。


そして再び雷鳴のような音を残し、その場から姿を消した。


庭園には、砕け散った脳Knightの残骸だけが残されていた。


これが、出てるころには少しくらい見てる人がいいなと思って書いています。

まだまだ、面白くするつもりなので、応援よろしくお願いいします。

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