第六話 測定と結成
「では、どちらから測定をなさいますか?」
受付嬢の問いかけに、カイは一歩前へ出た。
「俺からだ。」
そう言うと、カイは少し緊張した様子で水晶へ右手を伸ばす。
「よし……。」
手が水晶へ触れた瞬間、透明だった水晶が淡い青色の光を放ち始めた。
『──解析を開始します。』
機械のような声が受付全体へ響く。
「おお……。」
俺は思わず息をのんだ。
『魔力量──N』
『運動神経──S』
『加護──有』
『得意属性──氷』
『スキルツリーの記述……成功。』
『ギルドNumb──20007909』
『総合評価──P』
測定が終わると同時に光が消えた。
受付嬢は結果を書き込みながら微笑む。
「カイ様、ギルドへの加入おめでとうございます。」
「総合評価Pは平均を大きく上回る優秀な成績です。」
「現在の実力であれば、ソロ活動も不可能ではありません。」
「ただし、ギルドではパーティーでの活動を推奨しております。」
「よっしゃ!」
カイは拳を握り締めた。
「思ったより悪くねぇ!」
「悪くねぇどころか十分すごいだろ。」
俺がそう言うと、カイは照れくさそうに笑った。
「次はお前だ。」
「変な結果出すなよ?」
「プレッシャーかけるな。」
苦笑しながら俺は水晶の前へ立つ。
ゆっくりと右手を伸ばし、水晶へ触れた。
再び淡い光が部屋を包み込む。
『──解析を開始します。』
『魔力量──X』
その瞬間。
受付嬢の表情が一瞬だけ固まった。
(魔力量……X?)
(初期測定で、この数値……。)
しかし、水晶はそのまま解析を続ける。
『運動神経──S』
『加護──有』
『得意属性──風』
『スキルツリーの記述……成功。』
『ギルドNumb──20007910』
『総合評価──V』
光が消える。
「終わった……のか?」
正直、Vという評価が高いのか低いのか分からない。
隣ではカイが腕を組みながら苦笑していた。
「おいおい。」
「俺より上じゃねぇか。」
受付嬢は静かに深呼吸すると、いつもの笑顔へ戻った。
「セプト様、ギルドへの加入おめでとうございます。」
「総合評価Vは非常に優秀な評価となっております。」
「また、魔力量Xという数値は、私が受付を担当して以来、初めて拝見しました。」
「ですが、総合評価は現在の能力を表すものです。」
「経験や戦闘技術によって、今後も大きく変動いたします。」
「ありがとうございます。」
俺は軽く頭を下げた。
するとカイが思い出したように口を開く。
「あ、それと。」
「俺とセプトを同じパーティーとして登録してくれ。」
受付嬢は少し申し訳なさそうな顔をする。
「申し訳ございません。」
「当ギルドでは新人の正式なパーティー登録は最低四名からとなっております。」
「えぇーーーーー!!」
カイの叫び声がギルド中へ響いた。
周囲の冒険者が一斉にこちらを見る。
「し、新人同士の事故防止のためです。」
受付嬢は苦笑しながら説明する。
「四名未満での活動は認められていますが、正式なパーティー登録はできません。」
「まじかよ……。」
カイは肩を落とした。
俺も思わずため息をつく。
「カイ、つてはあるのか?」
「いや、全く。」
「どうしよ、セプト……。」
少し考えた俺は提案する。
「初心者の誰かを誘うとかは?」
「……それだ!」
カイは顔を上げた。
「そのようにするのでしたら。」
受付嬢が口を開く。
「先ほど、お二人組の冒険者が同じ理由で困っておられました。」
「本当か?」
「紹介してくれ!」
「かしこまりました。」
「次に来館された際、こちらからお声がけいたします。」
「助かる!」
カイは満面の笑みを浮かべる。
「あ、それと。」
受付嬢はもう一枚の書類を取り出した。
「正式登録の際には、パーティー名も必要となります。」
「パーティー名?」
「そんなの全然考えてなかったな。」
カイは腕を組みながら唸る。
「ちなみに、有名なパーティーってどんな名前なんだ?」
「参考までに聞きたい。」
受付嬢は軽く頷いた。
「かしこまりました。」
「現ギルドで特に有名なのは三つございます。」
「『八景』。」
「『Slow Dawn』。」
「そして『キャロル』です。」
「八景は八名。」
「Slow Dawnも八名。」
「キャロルは四名で活動されています。」
「八人か……。」
思わず声が漏れた。
そんな大人数で連携が取れるものなのだろうか。
「ありがとう。」
「なんとなくイメージは湧いた。」
カイは満足そうに頷く。
「ちなみに、この後のご予定はございますか?」
受付嬢が尋ねる。
「いや、特には。」
「でしたら、正式登録前でもクエストの受注は可能です。」
「他のお二人と合流されるまでの間、経験を積まれてはいかがでしょうか。」
「そうするか。」
カイもすぐに賛成した。
「武器もまだ揃ってないし、採取系がいいな。」
「かしこまりました。」
受付嬢は分厚い依頼書をめくり、一枚の紙を取り出す。
「こちらはいかがでしょう。」
『薬草採取依頼』
『場所──ヤタの迷い森』
『難易度──Lv.1』
「歩合制ですので、採取した分だけ報酬が増えます。」
「初心者の方にもおすすめの依頼です。」
「じゃあ、それにする。」
カイは迷わず依頼書を受け取った。
「受注を承りました。」
「採取が終わりましたら、こちらへ納品をお願いいたします。」
「分かりました。」
俺たちは受付嬢へ礼を言い、ギルドを後にする。
初めての依頼。
初めての冒険。
胸の高鳴りを抑えきれないまま、俺とカイは王都を抜け、ヤタの迷い森へ向かった。
パーティー結成おめでとう。ここからが本番ですね。世界の真実やら主人公の実力やらまだまだ書きたいことが大量にあって、正直時間がいくらあっても足りないくらいです。もしもあれだったら、作品を書いた時点で予約ではなく即投稿も可能です(一応、第11話までなら公開できます。2026/7/31現在)。コメントお待ちしております。また、キャラクターのいい案とかもどんどんほしいです。意外と採用するかもしれません。




