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Found Number  作者: 寝火
新参
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15/17

第十四話 狐たちの遊び



パーティー『伸残』が修行期間に入った翌日。


ミルトは一人、王都の大通りを歩いていた。


「昨日はあの後、みんな別々に行動して、私だけ薬草採取をしたけど。魔法の情報は何も得れず...どうしよっかな~......。」


目的はない。


強くなりたい。


ただそれだけだった。


フェンサーとの戦闘。


もしフェンサーがもう少し強ければ。


自分たちは死んでいたかもしれない。


「もっと強くならないと……。」


そう呟きながら歩いていると。


後ろから何かがぶつかった。


「うわっ!」


「っと。」


小さな衝撃。


振り返ると、そこには二人の少女がいた。


年齢は十歳くらいだろうか。


狐耳。


狐尻尾。


獣人だった。


しかもそっくりだ。


双子らしい。


「ごめんなさい!」


「急いどったんよ!」


二人は同時に頭を下げる。


「いや、大丈夫だ。」


ミルトがそう答えると。


二人は顔を見合わせた。


そして。


何か面白いものを見つけたように笑う。


「なあなあ。」


「お姉さん暇?」


「え?」


突然の質問だった。


「暇なら遊ぼうや。」


「遊び?」


ミルトは首を傾げる。


「鬼ごっこや!」


「鬼ごっこ?」


「せや!」


狐耳の少女が満面の笑みで答えた。


ミルトは困惑した。


強くなる方法を探していたはずなのに。


なぜ鬼ごっこなのだろう。


だが。


断る理由もなかった。


「少しだけなら。」


そう答えた瞬間。


二人の顔が輝いた。


「決まりや!」


「ほな行くで!」


次の瞬間だった。


二人が消えた。


「え?」


思わず声が漏れる。


違う。


消えたように見えただけだ。


速い。


異常なほど速い。


建物の屋根。


塀の上。


木の枝。


次々と飛び移っていく。


「待って!鬼私なのか?」


ミルトも慌てて追いかけた。


しかし。


追いつけない。


全く。


二人は笑いながら逃げ続ける。


「お姉さんおそーい!」


「ほんまに冒険者なん?」


挑発までしてくる。


ミルトは歯を食いしばる。


負けず嫌いな性格だった。


だからこそ。


子供相手に逃げられ続けるのが悔しかった。


「くっ……!」


速度を上げる。


屋根を蹴る。


壁を飛び越える。


それでも。


距離は縮まらない。


むしろ広がっていく。


十分後。


二十分後。


三十分後。


「はぁ……。」


「はぁ……。」


ミルトはついに膝へ手をついた。


息が切れる。


汗が止まらない。


それに対して。


双子は涼しい顔だった。


「もう終わり?」


「体力ないんやね。」


ミルトの額に青筋が浮かぶ。


だが。


言い返せない。


事実だからだ。


フェンサー戦でも思った。


自分には足りないものがある。


防御力だけでは限界がある。


もっと速く。


もっと強く。


ならなければいけない。


双子はそんなミルトを見ていた。


そして。


少しだけ表情を変える。


「なあ。」


「なんだ。」


「悔しい?」


ミルトは即答した。


「ああ。」


「悔しい。」


双子は目を丸くした。


そして。


どこか面白そうに笑う。


「普通は言い訳するんやけどな。」


「そうやね。」


「でも負けた。」


ミルトは立ち上がる。


息を整えながら。


真っ直ぐ二人を見る。


「頼む。」


「私を鍛えてくれ。」


沈黙。


双子は顔を見合わせた。


そして。


数秒後。


吹き出した。


「ぷっ。」


「ははは!」


「お姉さんおもろいな!」


「普通もっと意地張るやろ!」


ミルトは恥ずかしかった。


だが。


それ以上に強くなりたかった。


双子は笑い終えると。


ようやく真面目な顔になる。


「なるほどな。」


「そういうことか。」


狐耳が揺れた。


そして。


姉らしき少女が前へ出る。


「うちはコハク。」


続いて。


もう一人が笑う。


「うちはコユキ。」


二人は同時に言った。


「よろしくな。」


ミルトは頭を下げる。


「よろしく頼む。」


その瞬間。


コハクとコユキの顔にいたずらっぽい笑みが浮かんだ。


「ほなまずは。」


「追いついてみ。」


「え?」


「修行や。」


二人は同時に走り出す。


また消えた。


いや。


見えないほど速いだけだ。


「待て!」


ミルトも走り出す。


追いつけない。


だが。


今度は諦めなかった。


こうして。


ミルトの修行が始まる。

このあとがきに書くことがないです。

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