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Found Number  作者: 寝火
新参
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13/17

第十二話 約束



フェンサー討伐の報告を終えた俺たちは、ギルド二階の休憩スペースに集まっていた。


テーブルの上には今回の報酬として受け取った硬貨が並んでいる。


スライム討伐。


そしてフェンサー討伐。


冒険者として二回目のクエストは成功だった。


最初の依頼に比べれば、報酬も悪くない。


それでも。


どこか物足りなさがあった。


最初に口を開いたのはカイだった。


「なあ。」


銀貨を指で弾きながら続ける。


「思ったんだけどよ。」


「俺たち、このまま四人だと稼ぐって面では効率悪いよな。」


カイはテーブルに並ぶ硬貨を指差す。


「四人で分ければ報酬は減る。」


「駆け出しの冒険者にとっては、資金はかなり大事になってくると考えられるんだ。」


ルシルが首を傾げた。


「どういうこと?」


カイはその考えの見解を述べて見せた。


「理由としては、武器、防具、魔法習得のための本、その他もろもろ。」


「今後、遠出とかすることを考慮に入れたうえで行動するとすると、かなり資金面が心配なんだ。」\


「今回に関しては、本来のスライムだけの討伐の報酬だけで考えると、銀貨40枚弱.....。まだ薬草採取を各々やっていた方が効率がいい。」


その言葉に俺は少し考える。


確かに。


「カイの言うとおりだな、その上フェンサーほどの強敵を倒してもレベル2となってくると、冒険者レベルって点でも効率は悪いのかもな。」


ミルトも静かに頷いた。


「確かに。」


「危険度の割に成長が遅い。」


ルシルも腕を組む。


「そうだね。」


「じゃあどうするの。結成早々の解散...とか言わないよね。」


カイが続ける。


「四人で戦えば安全だ。」


「でも経験値も分散される。ものによっては偏りが生まれるかもしれない。」


「受けられる依頼の難易度も限られている。」


言われてみればその通りだった。


レベル2の四人組。


受けられる依頼はまだ初心者向けばかりだ。


それでは成長にも時間がかかる。


カイは椅子から立ち上がった。


「だから提案だ。」


「一旦ソロで活動しよう。」


ルシルが目を丸くする。


「ソロ?」


「ああ。」


「聞いた話だと、クエストレベル1~5の間はソロが基本とされてるらしいんだ。」


「だから、それぞれが自分に合った依頼を受ける。」


「経験値も報酬も独り占めだ。」


「そして――」


カイは拳を握った。


「レベル10になったら再集合。もちろん、みんな魔法を使えるようになっての再結成だ。」


一瞬静かになる。


だが。


反対する者はいなかった。


ミルトが最初に口を開く。


「賛成だ。」


「今の私たちには経験が足りない。」


ルシルも笑う。


「私もやる!」


「強くなりたいし、魔法覚えたいし!」


俺も頷いた。


フェンサー戦で嫌というほど思い知らされた。


今の俺たちは弱い。


何かが足りない。


その何かを見つけなければならない。


「じゃあ決まりだな。」


カイが拳を差し出す。


俺たちは順番に拳を重ねた。


「レベル10。」


「絶対だからな。」


「もちろんだ。」


「負けないわよ!」


「私もだ。」


こうして。


パーティー『伸残』は一時的に別行動を取ることになった。


解散ではない。


より強くなるための準備期間だ。


-------------------------------------


ギルドを出たカイは一人で王都を歩いていた。


ソロ活動初日。


だが。


何をすれば強くなれるのか分からない。


クエストを受け続ければレベルは上がるだろう。


しかし。


それだけでカナリのようになれる気がしなかった。


「あいつら絶対レベルだけじゃねぇよな。」


フェンサー戦を思い出す。


自分は殴ることしかできない。


それでは限界がある。


「師匠でも探すか。」


半分冗談で呟いた。


その時だった。


酒臭い。


異常なほど酒臭い。


カイは顔をしかめる。


臭いのする方へ目を向けると、細い路地が見えた。


昼間だというのに酔っ払いが何人も座り込んでいる。


「なんだここ。」


そう言いながら中へ進む。


そして。


路地の奥。


木箱の上で寝転びながら酒を飲んでいる男がいた。


ぼさぼさの赤髪。


無精ひげ。


着崩した服。


どう見ても駄目人間だった。


男は酒瓶を傾けながらカイを見る。


「なんだ。」


「ガキ。」


カイの眉がぴくりと動く。


「誰がガキだ。」


男は答えない。


代わりにじっとカイを見た。


頭から足先まで。


まるで値踏みするように。


そして。


「弱ぇな。」


そう言った。


「あぁ?」


「お前。」


男は酒を一口飲む。


「魔力まともに使えねぇだろ。」


カイの動きが止まる。


魔力。


その言葉が出るとは思わなかった。


「なんで分かる。」


男は鼻で笑った。


「見りゃ分かる。」


「魔力だだ漏れだ。」


「だせぇ。」


青筋が浮かぶ。


「てめぇ……。」


男はさらに続けた。


「殴るしか能がないタイプだな。」


「そのくせ魔力も扱えない。」


「弱い。」


「遅い。」


「ださい。」


完全に喧嘩を売られていた。


カイは拳を握る。


「一発殴っていいか?」


「当たればな。」


次の瞬間。


カイは地面を蹴り、男に向かって右ストレートを放つ。


新人の中では十分速い拳。


だが。


ドゴッ!


確かに当たった。


そう思った。


「...は?なんでピンピンしてんだ?」


男が笑う。


「魔力強化。いや属性強化....でもないな、魔力による身体強化ってところかな。」


「知らねぇのか?」


次の瞬間。


ドンッ!!


男の拳がカイの腹に突き刺さった。


「がっ……!」


体が吹き飛ぶ。


地面を転がりながら数メートル先で止まった。


「いてぇ……。」


立ち上がる。


だが。


男はまだ酒を飲んでいた。


本気ですらない。


圧倒的だった。


男は酒瓶を振る。


「魔力は魔法だけじゃねぇ。」


「体に流せば身体能力も上がる。」


「そんなことも知らねぇのか。」


カイは悔しそうに歯を食いしばる。


そして再び突っ込んだ。


右。


左。


膝。


回し蹴り。


だが。


全て見切られ、いなされる。


「遅ぇ。」


「雑。」


「弱ぇ。」


一つ一つ評価されるたびに怒りが増していく。


「ふざけんな!」


その瞬間。


拳にを中心に魔力が流れ始めたのを男は見逃さなかった。


無意識だった。


男の目が少しだけ変わる。


「お。」


初めて興味を示した声だった。


カイは気付かない。


全力で殴る。


今までで最速の拳。


しかし。


男は酒瓶を地面へ置いた。


「そこだ。」


ドンッ!!


一歩踏み込む。


その瞬間。


男が消えた。


「なっ――」


衝撃。


気付いた時には地面へ叩き伏せられていた。


肺の空気が全部抜ける。


立てない。


勝てない。


圧倒的だった。


同じ近接戦闘型。


それなのに次元が違う。


男はしばらく黙っていた。


そして酒瓶を拾い上げる。


「気に入った。」


「は?」


「弟子にしてやる。」


カイは目を丸くした。


男は豪快に笑う。


「俺の名前はイグニス。」


「イグニス・バルバートだ。」


カイはまだ知らない。


これから始まる修行が地獄そのものだということを。


正直、物語を書くのが難しく感じてきましたね。「なんか違うんだよなー」とか「今後につながらなくね?」とか「これで本当にいいのか?」とかその他もろもろ。もしかしたら、納得がいかずに編集を勝手に入れているかもしれません。もし投稿されているものが、変更することがあれば変更した日の話の前書きに変更点を軽く書いときます。

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