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Found Number  作者: 寝火
新参
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11/17

第十話 魔法という力



伸残での会話もひと段落し、俺たちは朝にカイと話していたことを思い出し、受付へと向かった。


「すみません。」


「魔法ってどうやったら使えるようになるんですか?」


受付嬢は少し意外そうな顔をした。


「魔法について学んだことがないのですか?」


「村じゃそんな機会なかったからな。」


カイが肩をすくめながら答える。


「なるほど。」


受付嬢は納得したようにうなずいた。


「では逆に質問です。」


「皆さんは、魔法というものがどういった存在かご存じですか?」


俺たちは顔を見合わせる。


そして四人とも首を横に振った。


「知らないな。」


「全然。」


「私も詳しくは知らない。」


「絵本で見たくらいかなー。」


受付嬢は小さく笑った。


「それでは、簡単にご説明しましょう。」


そう言うと、受付嬢は紙を取り出し、一つの円を描いた。


「まず、生物の体内には魔力と呼ばれるエネルギーが存在しています。」


「そして、その魔力を体外へ放出し、現象として発現させたもの。」


「それが魔法です。」


「現象?」


俺が聞き返す。


受付嬢は指先へ意識を集中させる。


次の瞬間、小さな火が灯った。


「例えばこれです。」


「火属性の魔力を変換し、火という現象を発生させています。」


「おお……。」


ルシルが目を輝かせる。


ミルトも興味深そうに眺めていた。


「ですが、勘違いしてはいけません。」


受付嬢は指を一本立てる。


「魔力量が多いから強い。」


「それは半分だけ正解です。」


「半分?」


カイが聞き返した。


「魔法の強さを決めるのは、魔力量だけではありません。」


「最も重要なのは操作技術です。」


「大量の水があっても、それを運ぶ器がなければ意味がありません。」


「魔力も同じです。」


「扱えなければ意味がないのです。」


その言葉を聞き、俺は昨日の出来事を思い出した。


カナリは言っていた。


『反射的に魔力で防いだのか?』


もしかすると、俺は知らないうちに魔力を使っていたのかもしれない。


「じゃあ、魔法ってどうやって覚えるんだ?」


カイが身を乗り出す。


受付嬢は答えた。


「一般的には魔法書です。」


「次に師匠から学ぶ方法。」


「そして最後に、自力で感覚を掴む方法ですね。」


「最後のやつ難しそうだな。」


「非常に難しいです。」


受付嬢は即答した。


「ですが稀に、自力で習得してしまう方もいます。」


「へぇ……。」


その時だった。


ルシルが勢いよく手を挙げる。


「ねぇねぇ!」


「詠唱って必要なの!?」


その質問に受付嬢は少し驚いた。


「よくご存じですね。」


「絵本で見たことある!」


『炎よ集え!』


『大地よ応えよ!』


みたいなやつ!」


ルシルは楽しそうに両手を振る。


だが受付嬢は首を横に振った。


「それはおとぎ話の影響ですね。」


「現代の魔法は基本的に無詠唱です。」


「え?」


今度は全員が驚いた。


「魔法は技術です。」


「剣士が剣を振るう時に毎回長い説明をしないのと同じで、魔法使いもいちいち詠唱しません。」


「むしろ詠唱を行う魔法の方が珍しいのです。」


受付嬢の表情が少し真面目になる。


「そして――危険です。」


「危険?」


ミルトが問い返す。


「詠唱魔法は威力や効果が規格外である場合が多いのです。」


「長い準備を必要とする代わりに、通常の魔法では再現できない現象を引き起こします。」


「現在確認されている使い手も極めて少数です。」


俺は少し背筋が寒くなった。


つまり。


詠唱している奴を見かけたら警戒しろということか。


「次に属性について説明しましょう。」


受付嬢は紙へ八つの円を書く。


「火。」


「風。」


「土。」


「雷。」


「水。」


「氷。」


「光。」


「闇。」


「これが現在確認されている八属性です。」


「人によって得意な属性は異なります。」


「皆さんの測定結果にも表示されていましたね。」


俺は風。


カイは氷。


確かに昨日そう言われていた。


「そして多くの人は、自身の得意属性を中心に鍛えていきます。」


「全部覚えるとかは?」


カイが聞く。


「不可能ではありません。」


「ですが、現実的ではありませんね。」


「一つを極めるだけでも何十年とかかりますので。」


俺は少し納得した。


剣も魔法も同じということだろう。


「最後に。」


受付嬢は少しだけ声を落とした。


「これは昔話です。」


「魔法が人類へ伝わった起源についてですね。」


ルシルがさらに身を乗り出す。


こういう話が好きなのだろう。


「遥か昔。」


「属性ごとに伝説の竜が存在したと言い伝えられています。」


「火の竜。」


「風の竜。」


「土の竜。」


「雷の竜。」


「それぞれが人間を育て、自分たちの娯楽として競わせていたそうです。」


「娯楽?」


俺が思わず聞き返す。


「ええ。」


「どの竜が育てた人間が最も優秀か。」


「それを競っていたと言われています。」


「その竜たちのもとで学んだ人間たちが、世界へ魔法を広めた。」


「それが魔法誕生の伝説です。」


受付嬢は最後に肩をすくめた。


「もっとも、本当にあったかは分かりません。」


「二千年以上前の話ですから。」


「現在では昔話の一つとして扱われています。」


話が終わる。


しばらく誰も口を開かなかった。


魔法。


属性。


伝説の竜。


今まで知らなかった世界が、一気に目の前へ広がった気がした。


そしてカイが立ち上がる。


「よし。」


「話は分かった。」


「つまり強くなるには練習するしかないんだな。」


「その通りです。」


受付嬢がうなずく。


「だったら決まりだ。」


カイは笑う。


「今日のクエスト終わったら魔法の練習しようぜ。」


俺も自然と笑っていた。


冒険者になったばかりの俺たち。


まだ何も知らない。


だが、それが少しだけ楽しかった。


個人的に今回の話は、結構よくできてるんじゃないかと思っています。

それといっつもカイとかセプトのあっている受付嬢は同一人物です。一応名前もあります。アリナというエルフの女性です。物語では容姿とかは特に紹介せていないんですけど、暇だったんンであとがきに残しときますね。ちなみにアリナさんはかなり面倒見のいい人です。面倒見のいいというとミルトもかなり面倒見のいいひとですね。


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