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第五章 襲撃
数日後。
浜崎組の若衆が襲われた。
夜道で待ち伏せされ、一人が重傷。
兄貴は怒鳴る。
「黒崎組じゃ!」
組内は一気に戦闘態勢になる。
俺も拳銃を渡された。
「いよいよ始まる。」
その帰り道だった。
橋の上でサチ子と会う。
彼女は俺を見るなり頭を下げた。
「お願いがあります。」
「何だ?」
「先生を……殺さないでください。」
俺は返事ができなかった。
「先生は悪い人です。」
「でも、私を育ててくれた人なんです。」
「私には……家族なんです。」
涙を堪えながら言う。
俺は静かに答えた。
「約束はできない。」
「でも、お前だけは守る。」
サチ子は泣きながら微笑んだ。
「ありがとうございます。」
その笑顔を見た瞬間。
俺は気付いてしまった。
この子を失いたくない、と。
その夜。
黒崎組では幹部会が開かれていた。
若頭が組長へ報告する。
「サチ子が浜崎組の若い衆と話していました。」
部屋の空気が凍る。
組長は静かに目を閉じた。
「そうか。」
怒鳴りもしない。
机を叩きもしない。
ただ一言。
「次に会ったら連れてこい。」
「先生……。」
誰にも聞こえないほど小さな声で、組長は呟いた。
「お前だけは、裏の世界に染めたくなかった。」




