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第二章 先生
数日後。
黒崎組と浜崎組の話し合いが開かれた。
互いに十人ほど。
俺は若衆として兄貴の後ろへ立つ。
襖が開く。
黒崎源蔵。
そして、その後ろにサチ子。
目が合う。
彼女はすぐ逸らした。
話し合いは決裂した。
縄張りを巡る争い。
互いに譲る気はない。
帰り際。
サチ子が小さな子どもへ転びそうになった。
咄嗟に俺は子どもを抱き寄せる。
サチ子も支える。
「ありがとうございます。」
彼女は微笑んだ。
その笑顔だけは、裏社会とは無縁だった。
しかし。
「サチ子。」
組長の一言で笑顔は消える。
「はい、先生。」
その返事は、まるで父親へ返事をする娘だった。
俺はその背中を見送りながら思った。
(この子は、本当に敵なのか。)




