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20話 橋頭堡確保

8月19日0400 宇多津港


我々は遮蔽物に隠れながら

中国軍と戦っていた。


敵の迫撃砲が

次々と飛んできて

前進を阻んでいた。


爆音が鳴り響き

地面が揺れる。


耳を塞がないと

平衡感覚が狂いかねない

程のものだ。


迫撃だけではない

前方からは

風切り音が聞こえた。


「ドローンか!!」


ニュースで見た、

あのFPVドローンだ


——隠れても追ってくる。


遮蔽物に隠れていようとも

容赦なく小型の爆弾を

落としてくる。


「あれは、有線のドローンです!!

有線を狙って撃って下さい!!」


紀伊3尉の指示に従い

ドローンの有線を狙い撃つ。


ドローンが墜落した。

電子戦を警戒して

有線のドローンを

使っているので対処策はある。


それでもこのまま

迫撃砲が止まないのは

マズかった。


突然前方の敵方が

爆発した。


それと同時に迫撃砲の

雨が止んだ。


港外れの空き地に、


オレンジの花が次々咲いた。


AH-64Dが旋回しながら、

迫撃陣地と思しき地点にロケットをばら蒔いている。



「前進だ!!

今のうちに前へ!!!」


紀伊3尉が叫んだ。


援護射撃を交互にしながら

前進した。


ヘリの音が聞こえた。

思わず顔を見上げる。


AH-64D

アパッチ

日本に12機しかない

ヘリである。



迫撃砲などの部隊は

移動や配置場所に制約がある為

旋回と機動力に優れる

ヘリが弱点である。


迫撃砲が止んだことにより

味方部隊も次々と到着し


第1波は概ね

展開を終えたといえる。


味方部隊が次々と

戦闘に加わるなかで

徐々に抑え込めなくなった

敵兵が後退していくのが

分かった。


我々は港に向け

近くにある住宅街にまで

差しかかった際に


紀伊3尉から停止命令がかかった。


無線で何やらやり取りをしている。


「どうやら敵は撤退したようですね」


「じゃあ!!」

我々は安堵の声を上げた。


正直、生き延びるので

精一杯で戦っているという

感覚ではなかった。


「第1波の作戦目標、

橋頭堡の確保は成功した

ようですね」


紀伊3尉はニコリと微笑んだ。


——宇多津港、橋頭堡確保。

無線越しにそう聞いた瞬間、胸のどこかが熱くなった。


やっと、家族を助けに

向かうスタートラインに立てたのだ。

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