表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
4/6

四:距離 ちょうどいいが、一番むずかしい


彼女と付き合い始めて、少し経った頃。

何かあるたびに、送っていた。


これ見て。

今ここ。

昼ごはん、こんなの食べた。

さっきの店、よかった。


写真もつける。

既読はつく。

でも、返事は短い。


――へえ。

――いいね。


それでも、続けた。

一緒にいない時間も、共有したかった。

繋がっていたかった。




ある日、言われた。


――……連絡、多くない?


軽く笑いながら、でも少し疲れた声で。


――嬉しいのは嬉しいよ。

  でもさ、全部返さなきゃって思うし。

  同じように返さなきゃってなるの、ちょっとしんどい。


言葉が、引っかかる。

それから、減らした。

写真も送らない。

返事が来ないなら、無理に続けなくていいと思った。

会ったときに、まとめて話せばいい。

彼女も忙しい。

頑張ってる。

だから、自分も頑張ろう。そう思った。




朝も送らない。

昼も送らない。

夜も、送らない日が増えた。




ある日。


――ねえ。


久しぶりに来たメッセージ。


――最近、なんで連絡くれないの?


戸惑う。


――いや、忙しいかなって……


少し間があって、


――なんか、冷たくない?


続けて、


――嫌いになった?

  他に好きな人できた?


言葉が、刺さる。


――ちゃんとご飯食べてるのかも分かんないし。何し  てるかも分かんないし。


少しだけ震えた声で、


――……寂しいんだけど。




何も言えなくなる。




どうすればいいのか、分からなくなった。


でも、分からないままにするのは嫌だった。

前よりは、分かってきたはずだった。

だから、考える。




決めた。


自分の中で、ルールを作る。



朝。

おはよう。今日は〇時から仕事。帰りは少し遅くなりそう。


昼は送らない。

仕事中は、触らない。


夜。

ただいま。今日はこれ食べた。

写真を一枚。


寝る前。

おやすみ。


これだけは、やると決めた。

それ以外は、送らない。


それでも、送りたくなるときがある。

そのときは、


今、大丈夫?


確認してからにした。



数日後。

彼女から電話。

ぽつりと言う。


――……なんかさ。


少し、言いにくそうに。


――ちゃんとしてるのは分かるんだけど。


続けて、


――ちょっと、機械みたいじゃない?


言葉が、止まる。


――毎日同じだし。


――“今大丈夫?”もさ。

  大丈夫なら返すし、無理なら返せないし。


少し間があって、


――いちいち聞かれるの、逆に気を遣う。


――なんか、他人行儀っていうか。


――極端っていうか。


何も言えない。


多すぎても、だめ。

少なすぎても、だめ。

気を遣っても、だめ。


考えて、選んで、気を遣って。

それでも、うまくいかない。



ちょうどいい、を探しているつもりだった。

でも、それが一番、遠かった。


……正直、しんどい。


次話は明日朝7時に投稿します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ