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異世界召喚の代償は三歳の身体と五千万円のローンでした! ~目指せ完済!スキル『我が家』で借金返済しながら成り上がります~  作者: ゆずこしょう
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見回りしてたら、とんでもないものを拾いました。

「……じゅうじんぞく?」


(そういえば――)


この世界には、人族の他にもいろんな種族がいるって言ってたっけ。


(あの話……本当だったのね)


トットール達がエルフで、ジオルドがドワーフだって聞いていたから、いつか会うかもとは思っていたけど……


まさかこんなに早く会うとは思っても見なかった。


「こにょ、みみとしっぽ……ほんもの?」


目の前の男には、猫のような短い耳があり、

その後ろには、細く長いしっぽが力なく垂れていた。


(これって……本物?)


(……さわってみたい)


私はそっと周囲を見回してから、倒れている男の耳に指先を伸ばす。


(……やわらかい)


指先に、ふわりとした感触が伝わった。


「……っ」


「ふぁぁぁぁ~もふ、もひゅだぁぁぁ~!!」


動物のような毛並みに、思わず頬が緩む。


(癒される……)


目の前のもふもふに夢中になっていると――


ぴくり、と耳が動いた。


「おい、そろそろやめてやれ……」


「う、うごいちゃ……!?」


「当たり前だ。まだ生きている。」


白夜はフンッと鼻を鳴らした。


「それに我の方が毛並みは綺麗だぞ……」


「嫉妬してりゅの?」


白夜を覗き込むと、ふい、と視線を逸らした。


「そ、それよりも……だ。」


どうやら図星だったらしい。


「そのままだと危険だぞ!?」


(……危険)


「そうだっちゃ!」


(この人怪我してたんだ。)


つい、もふもふに夢中になっていた。


もう一度、目の前の男に目を向けると――


ぴくり、と指先が動く。


眉間に皺を寄せながら、ゆっくりと目を開けた。


「うっ……」


「だ、だいじょーぶ!?」


「き、きみは……?天使か……?どうやら俺にも迎えが来たようだ。」


「……ただのにん……って……」


言い終わる前に――


ぐったりと力が抜けた。


「きぜちゅ、してりゅ……」


「びゃく、どうちよ……」


体を何度か揺すってみたが起きる気配は無い。


「どうするかは、お前が決めることだ。」


幸い、ここには魔物が来ない。


(このままでも大丈夫だとは思うけど……)


「にゃんだか……かわいしょ……」


そんな時、トットールがいつか試さなければならないと言っていたことを思い出した。


『客を呼ぶなら、この場所に誰でも入れるようにしなければならないだろ。それはできるのか?』


トットールと、マチルダがスキルの中に入れるようになったのは――


(桜が私の仲間と認めたからだと思うんだよね……)


その前は入ることができなかったし……


「ためちてみりゅ……しかにゃい……」


私は目の前で気絶している人の肩を持ち上げると、ズリズリと身体を引きずった。


「……お、おもい……」


「まりか……もしかしてお前……そいつを……」


「うにゅ……ためちてみりゅ。はじめてにょ、おきゃくしゃ!」


見てみれば冒険者としてそれなりに強いのか……キラキラした高価そうな装備をつけている。


「きっと、ちゅよい……おきゃくしゃ、だいじ!」


「う、うーむ……そうか?強そうには見えんが……」


ズリズリと地面を進むこと数十分――


ただ歩くだけなら数分の距離なのに、やたらと長く感じる。


「はぁ、はぁ、ちゅ、ちゅいたぁぁぁ~……」


前もって目印をつけてある場所に辿り着くと、ポシェットのがま口に手をかけた。


(ここなら――)


「……あれ?」


何度やっても、スキルは発動しない。


「びゃく……これ……」


「あと数歩、前に出ないと使えないぞ。」


「うっ……ほんちょだ……」


足元の目印を見れば、あと数歩届いていなかった。


「中にまだ奴らがいる以上、拠点は動かせん」


「うぅ……おもたいにょに……」


「そんなやつその辺に置いておいても死にはしないだろ?」


「そんにゃことできにゃ!!」


目の前には、あと少しで届きそうな距離。


けれど――


届かない。


(あと、ほんの少しなのに……)


「……まりか」


「どうする?」


私はもう一度、気絶している男の肩を持ち上げると引っ張った。


「が、がんばりゅ……」


手が千切れそうな重さに、思わず歯を食いしばる。


(あと、ちょっと……)


――それでも、手は止めなかった。


そして、ようやく目印に到達すると――


私はポシェットのがま口を開いた。


周りがキラキラと輝くと同時に、浮遊感に襲われる。


次の瞬間――


ダンジョンの景色が変わり、ヒラヒラと桜が舞うスキルの中へと移動していた。


「まりか、おかえりなさい。早かったわねぇぇ~」


桜のすぐ近くでは、マチルダが地面を深く掘っている。


少し離れた場所では、トットールが私と同じような服装に麦わら帽子を被り、桑を持っていた。


「ふ、ふたりとも、にゃにしてりゅの?」


「ん?これは……実験だ!」


ザクッ、ザクッ……


実験……?


(イケメンエルフが畑を耕してるだけにしか見えないけど……!?)


二人の行動に首を傾げる。


すると、マチルダがトットールの代わりに口を開いた。


「そりゃ、びっくりするわよねぇ~……」


「でも、本当に実験なのよぉ~……」


「じっ……けん……」


(って、あの実験だよね……?)


小さく呟くと、マチルダがその声に反応した。


「そうそう。ここで井戸や畑を作ることができるのか。生活していけるのかってことねぇ。」


ザクッ、ザクッ


二人の間に、土を耕す音が響き渡る。


「な、なりゅほど……」


確かに生活するのに畑や水があると便利だ。


それはすごくよくわかる……


けど……


(今やること!?)


心の中で突っ込んでいると、マチルダはそのまま話を続けた。


「でぇ、まりかはどうしたのよぉ?って……」


マチルダはこちらに顔を向けると、私の足元に転がっている獣人を見て、目を見開いた。


「あら、獣人族?しかも――白虎の獣人族なんて、珍しいもの拾ってきたじゃないのぉぉ!」


「えっ!?びゃっこ?」


「ねこちゃんじゃ、にゃい……?」


「あら、猫の方がよかった?でも、残念……白虎族よ。」


床に転がっている男の人にもう一度視線を向けると――


「うっ……」


苦しそうにうめき声をあげた。

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