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異世界召喚の代償は三歳の身体と五千万円のローンでした! ~目指せ完済!スキル『我が家』で借金返済しながら成り上がります~  作者: ゆずこしょう
ダンジョンでお金稼ぎ始めます!

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桜が譲歩してくれたけど返済システムは変わりません。

《……》


「……」


返事がこない。


風が吹いて、桜の花びらがひらりと舞った。


それでも、桜は黙ったままだ。


(……気まずい……)


いつもうるさい白夜を見れば、時間が止まっているのかトットールたちと同じように静止していた。


「ほんとうに、やくにたちゃない、きちゅねだ。」


《その言葉には同感です。あの狐は、まりか様の傍にいながら役に立っていませんからね》


「……へ?」


いつものシステムらしい声はどこへやら……桜は軽快な調子で言葉を発した。


《……ふふふ……ばれてしまいましたね。》


(バレたって……勝手に話してきたのはそっちだけどね!?)


桜の言葉遣いに目を見開いて驚いていると、桜はそのまま話を続けた。


《本来はこちらが私の話し方なのですが、ゲームらしさを追求した方が面白いかと思いまして……》


「げーむ……りゃしさ……」


(いや、そんなのいらないわ!!)


でもわざとゲームらしさを出しているということは、もしかして……


「ろーんへんしゃいも……?」


《いえ、それは本当です。》


間髪入れずに返ってきた言葉に、私はがっくりと肩を落とした。


「じゃ、じゃぁ……しょざいあちゅめは……?」


《それも本当です。》


どうやら初めに説明してくれた内容に嘘偽りはないらしい。


《ですが、一つだけお伝えが漏れていたことがありました。》


伝え忘れ……?


(……全部、本当なんだ……)


説明は多すぎて覚えてないけど――


ローンやら素材集めやら、ろくなものがなかったのは確かだ。


(変なことじゃなきゃいいんだけど……)


《……》


桜は木をさわさわと揺らすだけで、なかなか話そうとしない。


そのせいか、背中に嫌な汗が一筋流れた。


「しゃくりゃ……?」


名前を呼ぶと、少しだけ木の揺れが速くなる。


《……はい、まりか様。なんでしょうか。》


「はやく、はなちて……?」


《……あぁ~!すみません。話してよかったんですね。てっきり返事がなかったので、聞きたくないのかと思っていました。》


(いや、この流れで話さないとかないでしょ!?)


私は、目を少し細めて桜を見上げた。


《ハハハ……危ない、危ない!!このままではあの狐と同じことになってしまうところでした。》


桜は、白夜のことがあまり好きではないらしい。


会話のたびに滲み出る「あの狐」という言葉に、思わず笑いそうになった。


《ローン返済のお話ですが、三歳のまりか様には難しいということ、十分理解しております。それにこのままではローン返済が出来なさそう……》


(いや、見ればわかるでしょ!ってか、気づくの遅いな!?)


《ですので……百歩譲って、仲間を五人まで集めることを許可いたします。あの狐は仲間には含まれません。あれは……あくまでもまりか様の付属品として扱ってください。》


「……ぷぷぷ……ふじょくひん……」


《はい、あの狐は付属品です。それ以上でもそれ以下でもありません。そして、もらうという行為は禁止。ここも変わりません。一緒に集める、もしくはまりか様のお金で買うということをしてくださいね。》


桜なりの譲歩、らしい。


私は桜の言葉を聞いて、ほっと息を吐いた。


「じゃ、じゃあ……さいこりょも……」


《それは無理です。》


「……でしゅよねぇ~~~……ハハハ……」


仲間よりもローン返済を何とかしてほしかったが、これ以上何も言うことはできなかった。


《はい。本日のローンは金貨十二枚、日本円で百二十万円分が加算されます。》


「……」


百二十万……?


いや、昨日言われた四百八十万円に比べたらマシかもしれない。


《それでは、明日の返済額をどうぞ。》


どこから出てきたのか、手の上にはサイコロが二つ置かれていた。


(来た……これ……)


私は小さな両手を重ねると、その中にサイコロをそっと包み込んだ。


(今日こそは……小さい目が出ますように……)


カラカラ……と、手の中で音が響いた。


「えいっ!!」


小さい手からサイコロを落とすと、コロコロと転がっていく。


しばらくして、止まったサイコロを覗き込むと、


そこには――


六の目が二つ並んでいた……


「にゃんでぇぇ!?」


《おめでとうございます。また十二ですね。》


「こりぇ!ろくしか、にゃいんじゃにゃいにょ!?」


《いえ、そんなことはございません。》


「でみょ、まいかい、ろくにょ!?」


《それは……まりか様の運の問題かと》


ぐっ……


痛いところを突いてくる桜に、思わず言葉を飲み込んだ。


《もし、そんなに気になるというのでしたら、拾ってみていただいても構いません。》


私は目の前に転がっているサイコロを手に取ると、その目を確認した。


「いち、に、さん……あってりゅ……」


《ふふ……私がまりか様に嘘を言うわけないではありませんか。あの狐ではないのですから。》


《それでは……名残惜しいですが、まりか様から何もなければ終了とさせていただきますが、よろしいでしょうか。》


あの狐といい、名残惜しいといい……


(もしかして、寂しいのかな。)


桜の木を見上げれば、ゆっくりと揺れている。


私は桜の木にそっと手を置くと、手のひらで撫でた。


「しゃくりゃ……また、あちたも、くりゅからりゃね」


その言葉が嬉しいのか、揺れが少しだけ早くなった。


《ありがとうございます。明日こそ、返済されることを楽しみにお待ちしていますね。》


その言葉を最後に――


ふっと、意識が現実へと引き戻される。


止まっていた時間が動き出し、風に揺れる桜の音が耳に戻ってきた。


「……びゃく?」


隣にいたはずの白夜が、いつものように不機嫌そうな顔でこちらを見ていた。


「おい、何をぼーっとしている」


トットールとマチルダは白夜の言葉に反応するように、私を覗き込んだ。


「あら、大丈夫?」


「あぁ~、ちょっと顔が青いな。心配だ。」


「とと、まちりゅだ……」


できれば二人には仲間になってほしい。


(家族だからって……言われているけど……)


私は手をギュッと強く握ると、桜と話した内容を三人に話した。

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