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異世界召喚の代償は三歳の身体と五千万円のローンでした! ~目指せ完済!スキル『我が家』で借金返済しながら成り上がります~  作者: ゆずこしょう
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このままだと毎日取り立て地獄です。

「へぇ~、白夜ってうるさいポシェットだと思ってたけど、本当に狐だったのねぇ~。」


一通り落ち着いたところで、私は白夜についてトットールたちに話した。


「不思議なものだな。でも、何で話すか納得した。普通ならポシェットが話すなんてことないもんな。」


確かに……


ポシェットが話すことは、この異世界でもないらしい。


「びゃく、そとでてもだまっちぇてね!」


「だ、だま、黙ってろって!?もっと言い方があるだろうが……!」


「……」


「おい!なにか言い返せ!まるで我がバカみたいだろうが!!」


「びゃく、もともちょ、あたまわりゅい……」


私が目じりを下げて首を横に振っていると、


ブォンッ


システムが起動する音が頭の中に響いた。


その瞬間――


先ほどまで動いていたはずのマチルダやトットールの動きが、静止画のように止まる。


(えっ……前はこんなことなかったと思うんだけど……)


《おかえりなさいませ。まりか様。》


どうやら、桜と話すときは動きが止まるようだ。


「たぢゃいま、さくりゃ……」


《桜とは……私のことですか。私にも名前を付けてくださるなど、まりか様はお優しいのですね。》


「ふふ……じゃあ、しゃっきん、まけちぇ……」


《それはできません。ルールですので。》


「……ですよにぇ~……」


桜の声にがっくりと肩を落とす。


《本日のローン返済の時間となりました。》


「……」


淡々と事実だけを告げていくシステムに、なぜか泣きたくなってくる。


《まりか様。返済をお願いいたします。》


(いや、返済なんてできるわけないじゃん)


《まりか様。返済をお願いいたします。》


機械のように同じ言葉を繰り返す。


そもそも、ここに来るまでに色々あったのだ。


まずは無事にスキルを使えたことを褒めてほしい。


(……って、言ってもこのシステムには伝わらないか……)


私は小さくため息を吐くと、桜に聞こえるくらいの声で呟いた。


「……へんしゃい……できましぇん……」


《……はぁ……そうですか……》


桜の呆れた声が、頭の中に木霊する。


返済できない申し訳なさも相まって、次に出てきた言葉は――


「……しゅみまちぇん……」


たった一言だった。


***


「シャンティア団長は見つかったか!?」


ドドドドッ――


「いや、見つからん。あの人すぐにいなくなるんだよな……」


聖女と勇者が現れてから一週間――


フランシア国にある魔法師団では、いなくなった団長を探すため、団員たちが走り回っていた。


「はぁ~……またですかぁ……」


私は団長室に入ると、いつもシャンティア団長が座っていた場所に目を向けた。


いつもだったら書類や本が散乱している机の上も、妙に整いすぎている。


(これは……もう戻って来ないということでしょうかねぇ~……)


ガタンと椅子に座ると、机の引き出しを順番に開けた。


すると――


「セナへ」と書かれた封筒が、一通だけ入っていた。


(全く……律儀なのは変わらないですねぇ……)


裏を見れば「トットール・シャンティア」の名前が入っている。


異世界召喚の後も、団長が聖女や勇者に興味を示していないのはわかっていた。


いつも外を眺めては心配そうにため息を吐く。


その様子を見ていて、いつかはこんな日が来るのではないかと思っていた。


私は封を開けると手紙を取り出した。


―――――


セナ・ニャードラ。


お前に、魔法師団団長を命ずる。


お前は俺の弟子だ。だから大丈夫だろう。


俺のことは、適当に誤魔化しておけ。


あとは頼んだ。


トットール・シャンティア


―――――


「本当、師匠らしいですねぇ……」


私は手紙を封筒に戻した。


そして、指先に火を灯し――封筒へと移す。


パチパチ


燃えていく文字を、ただ静かに見つめる。


「……魔法師団は私が預かります。」


ぽつりと、そう口にする。


もともと、師匠には無理を言って押し付けていた役目だ。


この国が人以外を受け入れないと知りながら――


それでも、ここに残っていた。


「仕方ないですねぇ……ここからは、私が頑張りますかぁ~……」


黒くなった手紙を手に取ると、窓の外へ放る。


ひらひらと舞っていた残骸が、風にさらわれて消えていく。


その瞬間――


コンコン


扉を叩く音が響いた。


(名残惜しむ時間は終わりですねぇ……)


止まっていた時間が、再び動き出す。


「はぁーい。いますよぉ~!!」


外にいる団員に声をかければ、ガチャリと扉が開いた。


「……あれ?セナ副団長?」


廊下の向こうから、団員の一人が不安そうに声をかけてくる。


私は軽く息を吐いてから、いつもの調子で振り返ると、にこりと微笑んだ。


「団長は……長い休暇に出てしまったようですぅ~」


「えっ!?きゅ、休暇ですか……?この大変な時に……?」


(大変……ですかねぇ~?)


廊下の奥からは、聖女と勇者の怒鳴り声が聞こえてくる。


「イケメンを連れてきなさいよぉ!!」


「エルフの美女を連れてこい!!」


(まぁ、あの二人相手だと厄介ではありますけどねぇ~……)


私は目を細めると、目の前にいる団員に一言告げた。


「その間は――私が預かります」


「えっ!?セナ副団長が!?!?大丈夫ですか?」


「まぁ~何とかなりますってぇ~……」


目の前にいる団員の肩をくるりと扉の方へ向けると、そのまま背中を押す。


「さっ、仕事、溜まってるんでしょう?さっさと終わらせますよぉ~」


そう言って歩き出すと、近くで聞き耳を立てていた団員たちが後に続いた。

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