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異世界召喚の代償は三歳の身体と五千万円のローンでした! ~目指せ完済!スキル『我が家』で借金返済しながら成り上がります~  作者: ゆずこしょう
どうやら嫌な予感が的中したようです。

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やっぱりそうなるよね!?

「ジオルド、久しぶりね!」


「なんだ、お前らか。」


お店の中に入れば、薄暗い室内に武器や防具がずらりと並んでいた。


剣、槍、盾……どれも磨き上げられていて、鈍い光を放っている。


棚や床を見ても、塵一つ落ちていない。


(すごい……本物だ。)


思わず手を伸ばしかけて、思いとどまった。


(触ったら怒られそうね……)


初めて見る武器に目を向けていると、ふとあることに気が付いた。


店内はとても清潔だというのに、お客さんが一人もいないのだ。


「お前らとは何よ!それより、今日も閑古鳥が鳴いてるじゃないの。」


マチルダと軽口を言い合うあたり、知り合いのようだけど……


(なんだろう……隣に住んでいた頑固親父を思い出すわ……)


頑固親父……


早くに奥さんを亡くして、母が心配だからとよく料理をおすそ分けしていた。


その度に、

「俺は世話されるほど腐っちゃいねぇ」

「俺のことは放っておいてくれ!」


と、よく帰されたものだ。


その話を母にすれば、「本当は寂しいのよ~。」と笑っていた。


昔のことを思い出していると、店主の声でふっと現実に引き戻される。


「……うるさい。お前に心配される筋合いはないぞ。それだけを言いに来たのであればすぐに帰れ!」


「まぁまぁつれないじゃないの~!私たちとジオルドちゃんの仲でしょぉ~!」


ジオルドちゃん……!?


不思議そうにマチルダを見上げれば、それに気づいたマチルダが私に声をかける。


「ふふっ。ごめんなさいね。ちょっと怖かったわよね~。まりか、この不愛想な男に自分でご挨拶できるかしら?」


挨拶……


ちらりとジオルドの方を見れば、ジオルドは私のことを不思議そうに見つめていた。


恐らく人種である私がここにいるのが珍しいのだろう。


トットールの肩を軽く叩くと、そっと床に降ろしてくれた。


トテトテ


転ばないように気を付けながらジオルドの元へと向かう。


「じ、じおりゅどちゃん。わたち、まりかってゆうにょよ。よろちくにぇ。」


頭を下げて挨拶をすると、後ろから「くくっ」と笑い声が聞こえてくる。


「じ、ジオルドちゃん……ですって……」


「あぁ~。ジオルドちゃんもまりかの言葉に固まっているぞ。」


(マチルダがジオルドちゃんと言っていたから真似したんだけど……ダメだったかしら。)


ジオルドの顔がみるみる赤くなっていく。


(やばい……あれは頑固親父の必殺技……)


「ちゅんかん、ゆわかちき……」


私は慌てて口を押さえた。


しかし、ジオルドだけでなくマチルダたちにも私の声が届いていたようだ……


店内に二人の笑い声が弾けた。


そして、次の瞬間――


「い、いい加減にせんかぁぁ~!お、おまえらぁぁぁ~!!人をおちょくるのも大概にしろよ~!」


ジオルドの怒鳴り声がそれをかき消した。


混沌とした店内で思わず耳を塞ぐ。


「ひぃぃぃ~だってぇぇ~ジオルドちゃん……瞬間湯沸かし器って……そのままじゃな~い。もういっそのこと瞬間湯沸かしジオルドにしたらどぉ~?」


マチルダは火に油を注ぐのが得意なのか、笑いながらジオルドの肩をバシバシと叩く。


「そうだな。それはいい。似合っているぞ。瞬間湯沸かしジオルド。くくくっ……」


トットールとマチルダを見ていて、てっきり正反対な二人だと思っていたが、どうやら違ったようだ。


(二人ともそっくりね……)


私は小さくため息を吐くと、ジオルドに声をかける。


「じおりゅどちゃん。」


「あ?なんだ。娘が俺に何の用だ。」


「むしゅめじゃにゃい、まりか。」


ジオルドをじろりと睨むと、自分の髪をガシガシと掻いてから恥ずかしそうに言い直した。


「あぁ~、まりかだな。で、何の用だ。」


何の用……


そういえば何の用でここに来たのか。


トットールをちらりと見る。


「そうだったな。ジオルド、まりかでも使える武器はないか?できれば軽くて、切れ味のいいナイフとかだと助かるんだが……」


「剣はまだ持てないだろうしな……」


ボソッとこぼしたトットールの声が私の耳に届く。


(失礼ね……いつか使えるようになるわよ!)


といっても、どうやったら元の身体に戻るのか全然わからないのだが……


「軽くて、切れ味のいいナイフか……」


ジオルドはトットールの話を聞いてからジーッと私を見つめる。


先ほどまでの目つきとは明らかに変わっていた。


「まりかのサイズだったら持てるナイフはあるが……重たいだろうな。もし、軽いナイフがいいというのであれば……ミスリルか、オリハルコン辺りだが……」


ミスリルにオリハルコン……


(ゲームしていたときに聞いた名前だわ!)


オリハルコンは伝説級、ミスリルはその一段下――


そんなイメージだ。


「ミスリルか、オリハルコンか……ちなみに在庫は……?」


「えっ!?ありゅにょ!?こんなとこりょに!?」


まさか店先でお目にかかれるとは思っていなかったので、自分が失礼なことを言っているとは気が付いていなかった。


「いや、ないぞ。っていうかお前、さっきから聞いてればいい口してるな!」


ジオルドは私の頬をグイッとつぶす。


ぷにっ。


口が尖ってタコみたいな顔になったのがわかる。


「お前のせいで、こいつらに笑われるは最悪だ。」


タコの顔のまま、トットールたちを見れば、二人は笑いを堪えていた。


(これはジオルドに対してっていうより、私に対してだと思うけど……)


でも、失礼なことを言ったのはわかっている。


瞬間湯沸かし器とか、

あと、瞬間湯沸かし器とか……


(あれ、瞬間湯沸かし器くらいしか言ってなくない!?)


そう思ったものの……


(気づいていないだけで、嫌な思いをさせたかもしれないし。)


ここは三十三歳。大人な私が折れるべきだ。


(見た目は三歳だけど……)


私は必死に「ご、ごめ、ちゃい……」と伝えれば、思いが伝わったのか、


「ふんっ。」


と言って頬を離すと、ジオルドはそのまま店の奥へと入っていった。


それからしばらくして――


「まりか。お前が使えそうなナイフをいくつか用意した。一度持ってみろ。」


そう言って持ってきてくれた三本のナイフ……


「ガキ用に作ったもんじゃねぇが……まぁ、使えなくもねぇだろ」


確かに、子供でも扱いやすそうなナイフではある。


一本一本落とさないように気を付けながら持ってみると、


「お、重たい……」


「そうだろうな……」


全てのナイフが思っていた以上に重たかった。


「獣人族であれば、子供でもこのくらいの重さは普通に使うことができる。だが、人族となるとこれでは重たいんだ。そうすると、ミスリルなら軽くて持ちやすいだろうが……」


ジオルドは少し言葉を濁した。


なんだか嫌な予感がする。


「最近、鉱石の納品があまりなくてな。もし作るとなると、時間がかかる」


(やっぱりね!?)


他の素材も採取に行かなければならないから、あまりこっちに時間は割きたくないところなんだけど……


「ちにゃみに……つくりゅとしたりゃ、どにょくらいかかりゅの……」


ジオルドは少し考えてから、少し視線を逸らした。


「わからん。」


「わからにゃいって……」


「ダンジョンに行った冒険者が何人も帰ってきていないらしいんだ。」


(わぁ……不穏な空気がぷんぷんする)


私と同じことを思ったのか、トットールとマチルダも顔を顰めた。


「もし、みちゅりりゅ、がほちいにゃら……」


「あぁ~俺たちで採りに行くしかないだろうな……」


返ってきたのは無情な一言だった。


(やっぱり……そうなるのね。)


どんどん増えていく素材採取に、私は膝から崩れ落ちた。


(お願いだから、もう少しだけ簡単にしてほしいんだけど……!)

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