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異世界召喚の代償は三歳の身体と五千万円のローンでした! ~目指せ完済!スキル『我が家』で借金返済しながら成り上がります~  作者: ゆずこしょう
どうやら嫌な予感が的中したようです。

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お願いなので、素材集めの準備くらいは簡単に進めさせてください!

「わかったわ!そしたら……まずは準備しないとね。魔物退治もしないといけないし。」


マチルダが私をちらりと見る。


持っているのは白夜のポシェットのみ。


「この服装は……って思ったけど、着替えができないのよね。」


そうなのだ……


青いオーバーオールに赤いトレーナーにハンチング帽。


唯一着脱可能なのはハンチング帽のみで、それ以外はなぜか脱ぐことができない。


お風呂に入るときは一時的に脱ぐことが可能だけど、それ以外の服を着ようとすると、洋服が私の身体をすり抜けてしまう始末。


(いったいどうなっているのか……不思議なのよね。)


「とりあえず、魔物と戦うための武器を用意しましょう。魔法も使えるみたいだけど、すぐに魔力がなくなってしまったら……元も子もないしね。」


魔力の調整がまだできないというのもあるのかもしれないが、先日の二の舞は困る。


「たちかに、そりぇは、こまりゅ」


いくら素材集めを地道にしていきたいといっても、借金がどんどん増えていくのは避けたい。


(宿屋だって、成功するかわからないし……)


そのためにはサイコロを毎日引いて、金額を下げておかないといけない。


(魔力枯渇で倒れるのは絶対に避けたいわね。)


「でしょ~……まりかが魔力を供給できるのが白夜以外にも可能で、私たちも使えるなら私たちが戦う未来もあるのだろうけど……」


「それがいいのかもわからないしね。」


さすが元冒険者。この短時間でここまで考えてくれているとは。


「そうだな……俺たちがどれだけ手助けしてもいいのかもわからん。とどめを刺すのがまりかであればいいのか……とかな。そのあたりは色々試していくしかないか。」


マチルダの言葉に続くように、トットールが話す。


「とと、まちりゅだ……ありがちょ。」


改めてぺこりと頭を下げると、二人は微笑んだ。


「いいのよ~!さっ、行きましょうか。このお店は今日で一旦廃業ね~!」


「えっ?」


軽く言うマチルダに思わず目を見開く。


「いいのいいの~!まりかの方が大切だもの。それに~このお店は道楽でやってただけだから~。」


道楽で……宿屋?ですか……


「あっ、宿屋って勘違いしているようだけど、ここはただの食堂よ? 二階は私の居住スペースで、三階はアパートとして貸し出してただけ~!」


……


てっきり宿屋かと思っていたけど違ったらしい。


「アパートはそのまま貸し出しておけばいいし、食堂だけ閉じれば大丈夫でしょ~。」


「そうだな。たまに見に来ることもできるし、話しておけば住人の誰かしらが手入れしてくれるだろう。」


軽く話す二人に、私はそれ以上何も言い返すことができなかった。


***


「待たせたな。」


「じゃ、行きましょうか~!」


それから数分後――


トットールは準備を終えて一階へと降りてくると、私を抱きかかえた。


荷物はもちろん……


「にゃにももってにゃい……?」


マチルダを見ても、持っているのは細い剣を一本腰に差しているだけ。


「ふふ。驚いた? 私たちは魔法で収納ができるのよ~。エルフはこういうのができるから助かるわ~!」


何もないところに手をかざすと、空間が歪む。


(空間魔法……ってやつかな)


「わたちも……ちゅかえりゅ?」


「いや、お前は使えなくてもいいだろ。」


二人に聞いてみれば、代わりに白夜が答えた。


「我の中に入れればいいのだからな。」


……


いや、絶対空間魔法使えた方がかっこいいでしょ!?


思わず白夜を睨みつければ、白夜はふいっと顔を背けながら口笛を吹き始めた。


ぴゅ~ぴゅ~


気の抜けるような音が耳に届く。


「ぷぷ……だしゃ……っ!」


私はそんな白夜につられて笑いながら言い返した。


「なっ!だ、ださ、いだと!?」


「うにゅ……びゃく、だしゃ……ぷぷ……」


私たちのやり取りを見ていたトットールとマチルダも、笑いをこらえているのが見える。


それに気づいた白夜は、


「わ、わ、笑いたきゃ笑うがよい!下手にこらえられる方が辛いわ!」


顔を真っ赤にしながら叫んだ白夜の言葉に、堪えきれなくなったみんなが一斉に笑い出した。


それからしばらくして――


「はぁ~笑った笑った。じゃあ気を取り直していくか。」


ある程度笑いが収まるのを待つと、トットールが扉を開けた。


外から陽の光が差し込んでくる。


「まぶちぃ~……」


魔法陣とは違う自然光に思わず目を瞑った。


「はは、すぐ慣れるさ。それより、ゆっくり目を開けてみろ。」


異世界にきて初めての町。


ゆっくりと目を開ければ、石畳の道が遠くまで続いていた。


木組みの建物が立ち並び、色とりどりの布が窓から干されている。


「いらっしゃい!新鮮な野菜はいかがですか~!」


「武具の修理承ります~!」


「今日は魚が安いよ~!」


あちこちから飛び交う威勢のいい声。


行き交う人たちの中には、獣の耳や尻尾を持つ人、頭に鬼のような角が生えた人……


日本では絶対に見ることのできない光景が広がっていた。


(本当に異世界なのね……)


「わぁ~……しゅごい……」


今まで見たことのない世界に思わず目を見開いた。


(って、見とれてる場合じゃない!)


私は首を横に振った。


「ふふ。そんなに喜んでもらえるとなんだか私たちも嬉しいわね。ここは色々な種族が共存している町なのよ。といっても、フランシア国以外は似たような感じなんだけどねぇ~。」


「さっ、まずは素材集めのための準備を整えないとね~。」


マチルダの言葉にうなずく。


(そうだ。目的を失わないようにしないと……)


鼻をふんふんと鳴らしながら息巻いていると、そんな私の気持ちとは裏腹に、色々な人たちが声をかけてくる。


「よっ!マチルダちゃん~今日も美しいね~!」


「あら、ありがと。そんなこと言っても安くはしないんだからね~!」


「トットールも一緒なんて珍しいじゃないか。冒険者に戻るのか~?」


どうやらこの町で、二人を知らない人の方が少ないようだ。


二人は手短に挨拶を済ませると、一軒の店の前で止まった。


カラン、カラン


「いらっしゃい。」


ベルの音とともに出てきたのは、人よりも小さく、がっしりとした身体。


そして少し気難しそうな雰囲気をまとった、ドワーフだった。


(……一筋縄ではいかなさそうだけど、大丈夫かな)

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