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そして私は今日もドラゴンの心臓を齧る  作者: ヨハン@小熊
ep2:第二章(タイトル未定)
45/50

虫系女子(?)は齧れますか?

「なんやけったいな場所やなぁ。」

招かざる客がやってきたのはやることがなさすぎてダレてきたある日の午後の事だった。

ガコンと音がしたと思えば食堂に侵入していた。な、なにを(ry)

子供ぐらいの大きさの黒い蜘蛛のような胴体にやはり蜘蛛のような足。

蜘蛛の胴体から色白の人間の上半身が違和感なく(それが逆に違和感なのだが)生えており

薄い布を纏ってはいるが表れている体のラインから少女のものだとわかる。

しかしその少女のような体の肩の上には大鎌のような草緑色のカマキリのカマが生えている。

ここまででも十分化け物扱いするに値するが、インパクトがあるのはなにより頭だ。

人間の上半身の上には首を介して人間の頭が繋がっている。

そう、ベースは人間の物と大差ないだろう。

たっぷりと背中にかかる長さの黄金の髪に青い目。整った顔つきはまさしく美少女。

……目が複眼で、額から触覚が生えて、口が蟻のようなものになっていなければ。

グロテスク過ぎて言葉も出ない。なまじ造形が整っているから更に手におえない。

「何よりも住処が地下や言うのが一番気に食わへん。こんなトコおったら息苦しうてかなわんわ!大まけにまけて三十点。センスないにも程があるやろ。」

ギチギチと口から奇怪な音を出しながら失礼な事を言ってくる目の前の客を観察する。

敵ではないだろうが…無性に助走をつけて殴りたい。割と本気で。

「人の建てた建物にケチをつけるとはいい度胸をしていますね、貴女。客を招いた記憶はこちらには一切ありませんが、一体何の御用ですか?不審者様。」

努めてにっこりと愛想笑いを浮かべてふしんしゃに言う。

その言葉で彼女(でいいのだろうか?)はこちらを向く。…複眼で見られると凄く気持ち悪いな。

ギチギチギチ!と話す時に勝る奇怪な音が彼女の口から発せられる。顔の歪み具合から威嚇ではなく笑い声に相当するものなのだろうか?なんとも不安にさせる音だが。

「これは失礼、堪忍な。自分が此処建てた人で管理人って事でええか?」

悪びれもなくそう尋ねてきた。自分?……文脈からお前ってことなのだろうか。

いかにも!いかにも!いかにも!……と言う訳にもいかない。

そもそも彼女は誰で一体何しに来たんだ?

「名乗らない不審者に答える義理はありません。」

ニコニコ笑いながら応える。

1000円スマイルだ、金払え。とか言いませんよ?清く正しい大和撫子ですから私。

そう言うとギチギチという音が激しくなる。肩から生えたカマが擦り合わさり包丁を研ぐような音を立てる。雰囲気も若干おどろおどろしくなり、こちらを威嚇しているのだと理解する。

「うちらの領域しま侵しておいて大層な口聞きはるなぁ?大人しゅうしとるし、害はなさそうやから友好的に出てやっとるんやで?……嘗めくさった態度しとったらいてこましたるぞ、ゴルァ?」

青い目は黄色に点滅し、蜘蛛の足からも赤紫の棘が飛び出ている。

しかしそんなことより気になるのがその発言だ。

うちらの領域?それはつまりこの虫蔵のことで間違いないだろう。

友好的?それはつまり…自分達をこの場所に受け入れるということだろうか?

「…もしかして、私たちを認めてくれるのですか?ここにいていい、と。」

茫然と聞けば、彼女は首をかしげた。…160度ほど。

ちょっと待って人間の頭でその角度はやばいよただでさえ数少ない人間要素がブレイクするから!

私達三人を複眼が交互に見渡し、彼女は160度傾けた頭を元の角度に戻した…と思えば反対側にまた160度傾けた。

何か考えているのだろうか、複眼の半分程が目蓋に隠され、人間の手が彼女の顎にかかっている。

暫くすると彼女の目が潤みだし(複眼が潤む貴重なシーン)、間もなくだばだーっと滝のような涙を流し始めた。本当にどうした!?

「辛かったんやなぁ、本来相容れない存在で一緒におるゆうんわホンマ大変やったやろ?安心しぃ、これからはうちらが守ったる。いや、アーデルハイト家長女リグレッサの名の元に保護する!」

何故だろう、見当違いの同情を寄せられている気がする。

確かにケテルの所為でやってきた災難もあったにはあったが一回だけであったし問題もなかった。

しかし今水差すのも何だか悪いし、曖昧に笑って流そう。

しかし妄想でここまで感情的になれるとは結構人情家なのかも…しれないと思ったがそんなことはない。

「よしきた!ちゃあんとおとんにも伝えるさかい、なんも心配せんでええで!魔王も聖女もどんと来いや!かかる火の粉全部払ったるわ!」

やめて、フラグ建てるのはやめて!本当に来るから、冗談抜きで!

すごくいい笑顔でサムズアップしてるけどそれすらも死亡フラグになるから!

……しかし一体どれ程の力の持ち主なのだろうか?まず間違いなくこの場所のヒエラルキーの上部に存在していることは話していてわかったがなんというか…強そうにはあまり見えない。

関西弁(のようなもの?)で親しみやすく、人間部分が少女とあって侮りやすいというのもあるが、恐らく強者特有の雰囲気がないというか…ぶっちゃけ威厳がない。先ほどの恫喝のような発言も見た目こそ悍ましいものではあったが恐れるということはなかった。

「んんっと、まだ名乗っとらんかったな。うちはリグレッサ。リグレッサ・フォイア・アーデルハイト。よろしゅう。」

ニコニコ微笑みながら手を差し出してくる。

しかし何故あえて人間ではなくカマの方の腕を差し伸べるのかね?

それ掴んだら私の手が切れたりしないかね?それは故意でやっているのかね?

私の凝視に気づいたのか、リグレッサは差し出したカマを一端手元に戻し自分でじっくりと眺める。

「…ん?うちの手なんか可笑しいか?」

何が可笑しいかと聞かれたら全部としか言えないが、その明らかに切れそうな手で握手しようとした神経の方が可笑しいと思う。もしかして切れ味悪いのか?

いや、そもそも握手するなら人間の手の方でお願いしたいというか。

「…もしかして自分等とうちらの挨拶の仕方違っとるんか?」

首を傾げながらそう言うともう一度リグレッサはカマを差し出してくる。

「うちらの挨拶はお互いに自分の手を交差させて打ち鳴らすんや。せやけど自分等の腕やとうちの腕で斬ってまうな。やからなんか刃物とかでええよ。」

ほむ。

久しく使っていなかった大太刀を取り出すことにした。

確かに人種どころか種族、生まれた世界すら違うから挨拶の仕方すら一緒な訳がなかったな。

ちなみに地球でもピースサイン、サムズアップはNG行為になる国があるよ!ゲーム内で一回外国の人にやってPK騒ぎになりかけたことあるよ!コワイ!

「……なんやその剣。」

私が取り出した大太刀を凝視するリグレッサ。

そういえばすっかり馴染んで失念していたが私の大太刀はグロテスクだった。

失敗したな、とは思うがどう取り繕えばいいかわからない。

今更隠すのも怪しすぎるし…。

「……。」

しばらく考え込んで、またリグレッサの複眼からぶわっと涙があふれ出した。

よくわからないがまたよくわからない同情をしているらしい。

好都合だから正さないでおくが…中々に妄想豊かである。

「ぐすっ…よろしゅうな!」

「…よろしくお願いします。」

恐る恐るカマに刀をぶつければキンっと思ったより澄んだ音が鳴り響いた。

金属が擦れるような耳障りな音でなくてよかったと思いながら大太刀を戻す。

リグレッサは…まだ泣いていた。

感情豊かだな。

「ぐすっ…ほな、今日はここら辺でお暇させてもらうわ。元気にするんよ!」

ぶんぶんカマを振ってリグレッサは来た時と同様、さっさと帰っていった…。

「所で罠はええ感じやけどちょいと甘いんとちゃう?うちやったら…。」

「塩蒔きますよ?」

さっさと帰れ!

リグレッサは大阪弁、京都弁…などがまじった関西弁ということで一つ。池田市あたりの人ならこんな口調でしょう。

嘘です、すみません。

標準語ルビ必要でしょうか(・ω・;)

裏設定を回収するの忘れたり、裏設定自体を忘れたりしていますがそんなドラかじですがここまで読んでくださってありがとうございますそしてこれからもよろしくお願いします!

あと誤字脱字があれば報告お願いします。

*こっそりケテルの年齢設定変更。女二人の所にいい歳した雄が混じるのは犯罪臭がするんじゃね?と判断したため。

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