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そして私は今日もドラゴンの心臓を齧る  作者: ヨハン@小熊
ep2:第二章(タイトル未定)
43/50

ドラゴンを齧る処か外にも出られない

当身という言葉を知っているだろうか。

本来は突く、殴るなどの武道の技術の総称であったがヲタク特に格闘ゲーマーの中ではカウンター技として定着している。詳しい内容が知りたい方は検索先生などで調べて貰うとして、私がいう当身はカウンター技のことを指していると認識した上で話を聞いてほしい。

当身はカウンター技であるので当然基本的に相手の攻撃を受けて(攻撃の隙を縫って)発動するものなので必然的にタイミングはシビアなものとなる。

例えばカウンターと聞いて思い浮かべ易いボクシングでのクロスカウンターは

相手のストレートに合わせてフックを出した上で相手の打撃は避けなければただの相打ちになる。

まぁゲームなどでは相手の技を見切ることはそう難しいことではないのでタイミングがシビアであろうと受付時間が鬼畜であろうと慣れればなんとかなるものなのだが…。

私がかつてリアースドラゴンに使った矛盾も実はかなり受付時間の短いカウンタースキルだが対開幕即死のあの攻撃に対してなら余裕で発動成功させる自信がある。

さて、長い前振りはここまでにしておくとして。

聖騎士のレベル上げでもしようと一人瞑想(効果:魔法威力上昇)しつついつの間にか喧嘩して怪我をするケテルとラティの治療をしていたらレベルアップ!そして新たに入手したスキルに…

『当て身投げ』

…あれか?羅生門!とかすればいいのか?

私は餓えた狼よりどちらかというと侍魂とかのが好きなのだが…いやそういう話ではないけども。

確実にこの技を作ったスタッフは格闘ゲーマーであるということだけわかった。

というかこれエネミーに対して使えるの?「当身」投げってあるしなんというか対人間用じゃ?

…説明にも対人間(人型)って書いてあるよ!どういうことだってばよ…。

いつから聖騎士は格闘家に転向したんだ…。

もっと格好いいスキルが欲しかったな、こうジャッジメントクロス的ななにかが。

あとは対霊エネミーに対するスキルとか。

紙防御の二人の壁としてのヘイトを集めるようなスキルやダメージを肩代わりするようなのもいいな。

あとは属性攻撃があるとはいえ魔法戦力がないから攻撃スキルも欲しい…なんだか話がズレてきたな。

新しいスキルについて話を戻そう。

「あ゛?何抜かしてやがるんですかねえ、このド低能が!」

「脳味噌まで黴ていそうな奴に言われたくない。」

…喧嘩勃発寸前の二人がちと煩い。

つい20分ほど前にも喧嘩していたのに仲の良いことだ。

しかし正直回復役とか柄でもないことやりすぎて飽きてきているので今日は勘弁してほしい。

さすがに一日10回も喧嘩するのはどうかと私は思うよ。

「はいはい、二人ともそこまで。怖い話されたいの?」

「「え゛!?」」

二人ともびくりと体を震わせて、ギギギと音がしそうなぎこちない動きでこちらを見る。

「「…ヤメテクダサイ。」」

顔色悪く同時に言われたが、なんというかそこまで怯えられると逆にやりたくなる。

この虫蔵に飛ばされた初日に行った怖い話大会。私の怖い話ストックは256通りあるぜ!

特に二人は持ちネタがないらしいので私が延々と語ることになったのだが…。

二人は怖い話は苦手だったようだ。

ガタガタ震えながら今夜は眠れないとか寝言ほざいたので仕方なく徹夜トランプする羽目になった。

なんで怖い話で怖がった人って一人で寝れないんだろうね?

まぁそんなこんなで私は伝家の宝刀「怖い話」を手に入れたのだった。

「まぁまぁそう言わず…。」

「「ヤメテクダサイ!!」」

ちっ。

さて、周りが静かになったことだし考察再開しよう。

とはいってもさすがに二人に技をかける訳にはいかないし外にも出られないからそう考えることもない。

当て身は相手の行動、技のタイミングを熟知して初めて発揮出来るものだから体で覚えるのが一番だ。

今の状況では練習は愚か考えても意味がない死にスキルでしかない…ここから脱出する頃には忘れていそうだ。

ここまで考えたことが無駄になってしまうが、この技はひとまず置いておいてサクッと次のスキル覚えるまでまた回復要員になるしかないだろう。

ザインが来るまで。

…そうだ、ザインに使えばいいんじゃね?

あれも一応人型だろう、なんか陽炎っぽくなっているけれども。多分いける気がする。

「仕方ないとはいえ、こうして家に閉じこもっていると気が滅入ってしまうのです…。なんとかならないでしょうか?」

溜め息を尽きながらラティが漏らす。

口には出さないがケテルも同意見のようで浮かない顔で部屋の隅あたりを見ている。そんなに凝視しなくても姑にも文句が付けられないほど家は綺麗だよ。

元々インドアで引き籠もり予備軍の私は兎も角二人はこの引き籠もり生活に相当参ってしまっているようだ。

ラティは兎も角ケテルも結構引き籠もりみたいな生活してそうだから意外といえば意外だ。

なんとか二人の気を紛らわせるものはないかな。

二人の喧嘩の原因の一つがこの引き籠もり生活になってきているのは確かなんだし。

「怖い話でもしようか?」

「「結構デス。」」

…全力で拒否られた。

そう大変な喧嘩をしている訳でもないししょうがないから放っておくしかないのかもしれない。

正直面倒だと思ったのは秘密である。

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