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そして私は今日もドラゴンの心臓を齧る  作者: ヨハン@小熊
ep2:第二章(タイトル未定)
36/50

ドラゴンハンターは齧らない

ドラゴンハンター。

馬鹿男と飴男が口にしていた単語。

一体何なのか聞いたことがなかったのだが…まさか実在するものとは思わなかった。それもこんな小さな子が。

というか、なんだか勘違いしているな。

「落ち着いて下さい。ケテルが…彼がドラゴンであることは彼本人から既に聞いています。それを知った上で私は彼と共に過ごしています。」

誤解を解くべく少女に語りかける。

恐らく私が馬鹿男をドラゴンと知らずに過ごしていて、馬鹿男が人間の振りをして私に近付いていると思っているのだろう。今の言動と、私ならそう思うから判断した。これで誤解はとけ、

「お姉様、絶対騙されているのですよ!ドラゴンはケモノ、男はケダモノ、そんなTHE☆獣な存在がお姉様と共に過ごすなんてそんな裏山…げふん、破廉恥なことはお天道様が許してもワタクシが絶対に許さないのですよ!」

何故だ。

馬鹿男は確かに男だが、私より弱いしポエマーだし守られてばっかだし…どちかと言うと乙女じゃないか?ヒロインというか。そして私の認識ではペットだ。

というか先刻から寒気が止まらない。

「誓って俺はサヨに害をもたらす気はない。」

馬鹿男が少女に宣言する。

しかしそれに対しての少女の返答は、黙りやがれですこのケダモノとの事。さすがの馬鹿男もこの態度にはイラッときたらしく、しかめっ面になる。

このままでは戦闘が始まっても可笑しくない。なんとか二人を、というか少女を説得したいのだが何と言えばいいのやら。

馬鹿男の危険性が低いことを言えばいいのか?

「もし仮にケテルが私に襲いかかってきたとしても私は彼より遥かに強いので心配はいりません。返り討ちに出来ます。」

事実をきっぱりと言う。

筋力ではあちらが上でも防御はこちらもそれなりに高い。持てる術全て使えば如何なる状況でもまず負けることはないだろう。

「…むむ、そうは言ってもですね…。」

少女は悩み出す。いい傾向だ。

あ、俺サヨより弱いって信じられてるんだ、事実だけど…事実だけど…と何故だか暗い顔で呟く馬鹿男はそっとしてあげることにした。

すまん、馬鹿男。必要な犠牲だったんだよ、多分。

あと事実だから仕方ないよね。

「なら、ワタクシもここに住むのであります!」

「「は?」」


三時間に渡る面接せっとくの結果、少女は家に住むことになった。言い訳するならば、少女は少々思い込みは激しいが真っ直ぐでいい子だ。

ロリコン疑惑の馬鹿男は私が気にかけておけばいいし、部屋は隣同士にしておいたから夜這いなどあっても阻止可能だ。

やたらと馬鹿男を敵視しているのも、一緒に過ごしている間に打ち解けてなんとかなるだろう。性質の合う合わないは仕方ないとして、攻撃を仕掛けるほどの敵意は薄れるはずだ。多分。

「改めまして、ラティーシャなのです。フリーランスのドラゴンハンターで、基本的にソロで活動しているのですよ。どうぞよろしくお願いしますです。」

ぺこりと頭を下げるラティ。馬鹿男をガン無視してこちらをキラキラした目で見てくる。悪い子ではないはず、なんだけどどうしてだろう、この関係が改善する見込みがない気がしてきた。あと寒気が酷い。

「サヨです。こちらこそよろしくお願いしますね。」

無難に挨拶する。

いや、拍手しなくていいから、学校かお遊戯会の自己紹介とかじゃないから、あと質問とかも受け付けてないから、落ち着こうよラティ!

なんとかラティを落ち着かせて今度は馬鹿男の番…と馬鹿男の方を見たらすごい顰めっ面になっていた。眉間にしわが寄りまくっている。そんな顔していたら将来顔が皺だらけになるよ!

「…ケテルだ。よろしく。」

馬鹿男が無愛想男に進化(退化?)した!

そして思いっきりそんな馬鹿男を無視するラティ。

前途多難である。まぁ、馬鹿男がラティに襲い掛かる心配はなさそうで何よりだ。襲い掛かる(暴力)の可能性が大きくなったが。

無視したままラティはお姉様~♡と言いながら腕に抱きついてきた。そして頬ずりすらしてくる。猫か何かのように甘えてくるラティとそんな彼女を無表情で凍てつくような目で見る馬鹿男。そして苦笑いするしかない私。

ちょっとこれからのことを思うと憂鬱である。

「いつまでサヨにくっついているんだ?迷惑だろう。」

「ふふん、男の嫉妬は見苦しいのですよ。それにほら見てこの通り、お姉様はちっとも嫌がっていないのです。ケダモノは一人寂しくあっちいけなのですよ!」

「よく鳴く雀だな。そう煩く囀られると舌を切ってしまいたくなるな。…サヨは優しいからな、嫌でも我慢しているんだろう。嫌われる前に離れる方が身のためだぞ?」

「頭の悪いケダモノですね、そこらの虫の方が賢いのでありませんか?そもそもお姉様は嫌がっていないと言っていますですよ。僻んでんじゃねぇぞ、なのです。」

「……………。」

黒だよ…真っ黒!

二人が黒過ぎて怖い私はひっそりと気配を消して般若心経を唱えることしかできない。ゴゴゴゴゴという擬音語が似合いそうな雰囲気を醸し出しながら二人は睨み合って罵り合う。なんとも関わりたくない。震源地が私だから逃げられないのだが。どうしてこうなった。

無表情で言う馬鹿男と笑顔で応じるラティ。

二人の会話の矢先が私に向かわないよう気配を消しながら私は現世の家族を思う。

お父さん、お母さん、そして弟よ。

私は現在修羅場ってます。

どうすれば良いのでしょうか。


身の危険を感じたので夜這い防止の機能をいくつか部屋に設けておく。本能が危険だ、と言っていたからな…。

しかしラティというドラゴンハンターが仲間になったのは頭痛の種になりそうだが、同時に選択肢を増やすことにもなる。中二男について何かわかるかもしれないし、ドラゴンハンターなどこの世界の情報について聞ける人が増えた。悪いことばかりじゃない、きっとこの出会いもこれから先何か役に立つ為だと思おう。

「ひゃわーん!?な、何なのですかこれ!?」

「……何やってるんだ?」

「恥知らずな罠使いがいた!汚いなさすがドラゴンきたない!ワタクシはこれでドラゴンがきらいになったなあまりにもひきょう過ぎるでしょう?あまりの卑劣さにワタクシの怒りが有頂天になった!この怒りはしばらくおさまる事を知らない。」

「せめて共用語を話してくれないか?」

何やら仕掛けていた罠に誰かかかったようだが…面倒だし解除は明日でいいか。

しかし明日からどうしようか。いい子だとは思うけどまだ実力は知らないし。

「許さない、絶対にだ!!」

「いや、罠系は全部サヨのだと思うが…。」

ここのエネミーだと判断に困るし、最悪私に殴りかかってもらおうかな。ここのエネミーにも負けるようだったら…いや、最初の馬鹿男もそんな感じだったし案外この世界の人間は強くないかも?しかし中二男…ううぬ、この世界の基準がわからないからなんとも判別しずらい。

「お、お姉様の罠!?ならばじっくり堪能しなくては!…はぁ、はぁ、ハァハァハァ。」

「駄目だこいつ早くなんとかしないと…いや、手遅れか。」

む!なんだか寒気が…。今日はもう寝るか。

念のために部屋の中にもいくつか仕掛けておいた方が良さそうだ。こーしてあーしてっと…。

うん、これでいいかな。ボッシュートも作りたいしそろそろトラップハウスも改築しようかな~♪

わふ、今日も布団が柔らかくて最高だー。異世界サイコー♪

「'`ァ,、ァ(*´ω`*)'`ァ,、ァ」

「>そっとしておこう」

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