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転生したら奴隷にされたのでリーマンショック起こして異世界経済崩壊させます  作者:


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第27話 朝、白鷲銀行に並ぶ者たち

王都広場では、朝から王国支援証書が売られていた。


赤い布をかけた販売台には、王家の紋と財務卿の署名、赤い蝋の印が見えるように置かれていた。


グラント商会の店員が、声を整えて説明している。


「一口10万ルク。王国が出す紙です。半年後、10万8000ルクになって戻ります」


客は証書の下を見た。


赤い印。


それだけで、表情が少し緩む。


銀貨が箱へ入る。

証書が手へ渡る。


安心そうな朝だった。


その広場から二本通りを外れたところに、白鷲銀行がある。


白い石造りの建物だった。

入口の上には、翼を広げた白鷲の紋。

厚い扉。

鉄格子のついた窓口。

中には、磨かれた木の台と分厚い帳簿。


レイジが着いた時、銀行前には五人が並んでいた。


多くはない。


列には、小商人、下級貴族の使用人、年配の女、荷運び組合の記録帳係が少しずつ増えていた。

もう一人は、ただ様子を見に来たらしい男だった。


大騒ぎではない。


扉は開いている。

銀行員も落ち着いている。

窓口では、銀貨の入った箱が普通に出されていた。


「お預かり証を」


銀行員が言う。


小商人は折りたたんだ紙を出した。


「仕入れ代だ。全部じゃない。半分だけでいい」


「はい。3万ルクですね」


銀貨が数えられる。


じゃらり。


音は軽くなかった。


小商人はそれを袋に入れ、ほっとした顔で帰っていった。


その顔を、並んでいた者たちが見た。


返ってきた。


それだけで、列の中のざわめきが少し小さくなった。


下級貴族の使用人も窓口へ進んだ。


「奥様より、確認だけでもと」


「ご引き出しですか」


「いえ。残高を。娘様の持参金ですので」


銀行員は帳簿を開いた。


紙をめくる音がする。


「確かにお預かりしております。ご希望でしたら、一部をお出しできます」


「いえ、今日は確認だけで」


使用人は丁寧に頭を下げた。


安心した顔で戻る。


その使用人もまた、帰り道で別の馬車の従者に話した。


「白鷲銀行は、ちゃんと返してくれましたよ」


ちゃんと返してくれた。


その言葉は、本来なら安心を広げるはずだった。


だが、聞いた相手は眉を寄せた。


「今なら?」


「え?」


「今なら返してくれる、ということですか」


使用人は答えに詰まった。


言った本人に、そんなつもりはなかった。


それでも、言葉はもう歩き始めていた。


レイジは、銀行前の向かいにある干物屋の軒下から列を見ていた。


リーゼも隣にいた。


家紋入りの服ではない。

市場裏の配給所へ行く時と同じ、動きやすい外套だった。


「まだ、騒ぎには見えません」


リーゼが言った。


「そうだな」


「でも、皆、窓口ではなく、出てくる人の顔を見ています」


「銀行員より、客の顔の方が分かりやすい」


小商人は銀貨を持って帰った。

使用人は残高を確認して帰った。

年配の女は、2万ルクを受け取って胸に抱いた。


銀行は応じている。


だから、まだ強い。


レイジは列を見た。


「列が短いうちは、銀行は強い」


リーゼが横顔を見る。


「長くなると?」


「窓口が、銀行より小さくなる」


リーゼは少しだけ眉を寄せた。


レイジはそれ以上説明しなかった。


白鷲銀行が潰れているわけではない。建物は立ち、帳簿も貸付先もあり、王国支援証書やグラント商会への貸付も持っている。


金はある。


ただし、全部が窓口の箱に入っているわけではない。


それを口で言っても、列には届かない。


列は、紙ではなく銀貨を見たい。


銀行前に、また一人増えた。


パン屋の若い店主だった。

腰には粉袋の白い跡がついている。


「仕入れ代を少し戻したい」


声は低い。

恥ずかしそうでもあった。


銀行員は笑顔を崩さず対応した。


その後ろに、さらに二人が並ぶ。


「白鷲銀行が、グラント商会に貸しすぎているらしい」


誰かが小さく言った。


「グラント商会?」


「王国支援証書を売っているところだろう」


「なら、大丈夫ではないのか」


「大丈夫なら、なぜ朝から並ぶ」


会話は小さい。


だが、小さい声ほど、人は耳を寄せる。


広場ではまだ証書が売れている。

赤い印を見て、客は安心している。


その銀貨の一部は、どこかの銀行から引き出されたものだった。


白鷲銀行前の列は、五人から十人になった。


まだ騒ぎではない。


だが、白い石造りの入口の前に、人の影が二列に重なり始めていた。


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