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英雄なのか?  作者: よろず
アルディア騎士学校
7/34

解禁


入学から三ヶ月。

王立騎士学校の生活にも、生徒たちはすっかり慣れていた。

最初こそ緊張や遠慮があったが、今では教室の空気も大きく変わっている。

誰が優秀なのか、誰が剣に秀でているのか、誰が魔法を得意としているのか。

三ヶ月も共に学べば嫌でも分かる。それと同時に自分がどの位置にいるのかも知ることになる。

その日のホームルーム教室には普段よりも張り詰めた空気が漂っていた。

理由は明白だった。

第一回査定。

三ヶ月間の成績と実技評価をまとめた最初の査定結果が発表される日である。

教壇の前には担任のバルドが立っていた。

大柄な体を組みながら、生徒たちを見渡す。

「静かにしろ」

その一言だけで教室が静まり返った。

「今日、お前たちの第一回査定結果を発表する」

教室の空気がさらに重くなる。

誰もが結果を気にしていた特にBクラスは実力者が多く一つ順位が違うだけで評価も変わる。

「まず言っておく」

バルドが続けた。

「この順位は絶対ではない。なぜなら今日からランキング戦を解禁になる」

その瞬間、教室がざわついた。

ついに来た、そんな空気だった。

ランキング戦。

同じクラス内で順位を争う制度。

勝者は敗者の順位を奪うというアルディア騎士学校の特徴とも言える制度だった。

「挑戦できるのは自分より上位五名まで」

「拒否権は原則なし怪我は自己責任だ、回復魔法があるからと言った無知はするな。審判が強制終了させる事もある」

生徒たちの目が変わる。

これまでは査定を待つしかなかったが今日からは違う自分の力で順位を上げられる。

「ではBクラスの順位を発表する」

バルドが紙に目を通し上位から順に名前が呼ばれていく。

一位。二位。三位。

名前が呼ばれるたびに教室がざわめく。

レインは特に興味もなく聞いていた、なぜなら順位に執着はない高くても低くても構わない。ただ問題なく学校生活を送れれば十分だった。

やがて。

「十一位。レイン・クロード」

レインは軽く手を上げた。

周囲から小さな声が上がる。

予想より高かった者もいれば、低いと思った者もいる。

そんな反応だった。

続いて。

「十二位。ワル・フォン・ベルグ」

ワルの眉が僅かに動く。

子爵家次男。

剣術と魔法だけならBクラス上位。

Aクラス下位とも互角に渡り合う実力者だが学科が足を引っ張っていた。本人は当然納得していない。

最近敵意のある視線がワルから感じる。今も視線が自然とレインへ向いている。

発表は続く。

「十八位。ガレン・ハワード」

ガレンが静かに返事をする。

「二十二位。エリオット・フェルナー」

エリオットはいつも通り無表情だった。

「三十位。ロイ・ハワード」

「三十位かぁ……」

ロイが頭を掻く。

周囲から笑い声が漏れた。

発表が終わる頃には、教室中が順位の話で持ちきりになっていた。

バルドはそんな様子を見ながら口を開く。「以上だ」

そして少しだけ笑った。

「今日からが本番だぞ」

その言葉に何人もの生徒が闘志を燃やす。

ランキング戦。

ここから順位は大きく変わるだろう教室のあちこちで視線が交差していた。

挑戦者を探す者、挑まれることを警戒する者。

様々だ。レインはそんな空気の中でも変わらず静かに荷物をまとめていた。

そんな彼を見つめ続ける男がいた。

ワル・フォン・ベルグ。

その目には明確な対抗心や嫉妬心が宿っていた。たった一つの差だった、それはワルにとっては許し難い問題だった。

(何故だ)

剣なら負けないし魔法でも負ける気はしない。

それなのに結果はレインが上など納得できるはずがなかった。

ランキング戦を申し込む。

ワルは静かに拳を握った。

三ヶ月間溜め込んできた鬱憤を晴らす機会が、ようやく訪れたのだから。


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