ルームメイト
ガレス
国境都市出身
魔獣や隣国との小競り合いを見て育った
兄に憧れているだけでなく、「守る側」になりたい
エリオット
男爵家三男で家督は継げない
剣は苦手だが、魔法理論と戦術に才能
前線ではなく、部隊を支える騎士を目指す
ロイ
「なら、まずは改めて自己紹介か。これから二年は同じ学び舎の下で暮らすんだしな」
短髪の少年がそう言って立ち上がった。
「ガレス・ハイン。北部の国境都市グランツ出身だ」
国境都市。
その言葉に、ロイが少しだけ反応する。
「北部国境ってことは、魔獣とか他国との小競り合い多いのか?」「ああ。多いな」
ガレスは頷いた。
「街の外に出れば魔獣も出るし、冬場は特に警備が厳しくなる。小さい頃から兵士や騎士を見る機会は多かった」
そこで少し照れくさそうに鼻を掻く。
「兄が第八騎士団にいる。俺にとっては昔から一番分かりやすい目標だった。だから、俺も騎士になる」
真っ直ぐな言葉だった。本気でそう思っているのが伝わってくる。
「いいな、分かりやすくて」
ロイが笑う。
「俺なんか、親父より偉くなりたいって理由だぞ」
「それはそれも分かりやすいですね」
眼鏡の少年が控えめに言った。
次はその少年の番だった。
「エリオット・フェルナーです。王都の男爵家の三男になります。よろしくお願いします」
丁寧な口調だが、嫌味はない。
「三男なので、家を継ぐ予定はありません。兄たちは文官と騎士団に入ってます私も自分は道を探す必要がありました」
「それで騎士学校か?」
ガレスが尋ねる。
「はい。ただ、剣術は得意ではありません」
エリオットは苦笑した。
「ですが、魔法理論と学科には自信があります。戦術や地理も好きです。前に出て剣を振るうより、部隊を支える側の騎士になりたいんです。騎士団には補給、伝令、記録、地図作成、魔法解析などの仕事もあります」
エリオットは少し早口になった。好きな分野なのだろう。
言い終えてから、エリオットは少し恥ずかしそうに眼鏡を直した。
「……すみません。こういう話になると長くなります」
「いや、面白い」
ガレスが素直に言う。「俺はそういうのが苦手だからな」
「俺もだ」ロイが即答した。
部屋に小さな笑いが起きた。
続いてロイが自分の胸を叩く。
「ロイ・バートン。南部の交易都市ベルン出身だ」
声が明るい。それだけで部屋の空気が少し軽くなる。
「親父は商会の護衛隊長をやってる。俺も子供の頃から荷馬車の周りで遊んでたから、剣とか弓とか、そういうのは見慣れてる」
「商会の護衛か、危険な仕事だな」
ガレスが興味を示す
「危ない時は危ないらしいぞ。盗賊も出るし、魔獣も出る。親父はあんまり話したがらないけどな」
ロイは肩を竦めた。
「親父より強くないからアルディア騎士学校へ入った」
「大事だろ。親父越え」
「分からなくはないです」
エリオットが真面目に頷くので、今度はロイが驚いた顔をした。
最後に三人の視線がレインへ向く。
「レイン・クロードです」
レインは少し間を置いてから名乗った。
「南部の村の出身です。剣と魔法は、近くの駐屯地にいた騎士の方に少し教わりました」
嘘である。本当のことを全て話しているわけではない。
「村出身でBクラスか」
ガレスが感心したように言う。
「かなり努力したんだな」
「努力と剣や魔法に少し才能がある言われました」
レインは曖昧に答えた。
この学校では、強さを見せすぎない方がいい。
「少し教わっただけでBクラスなら、かなり才能あるんじゃないか?」
ロイが何気なく言う。
「どうかな?」
「いや、その返しがもう怪しいぞ、普通はもっと喜ぶだろ。村出身でBクラスだぞ?」
ロイはじっとレインを見るだがすぐに笑って、ベッドへ腰を下ろした。
「まあいいか。これから二年あるし、そのうち分かるだろ」
その言葉に、レインは内心で小さく息を吐いた。
鋭いのか、ただ勘が良いだけなのか。
ガレスが改めて四人を見回した。
「国境育ち、王都の貴族、交易都市の商人護衛の息子、南部の村出身」
「共通点がありませんね」
エリオットが言う。
「あるだろ」
ロイが笑った。
「全員Bクラスだ」それを言われて皆少し微笑んだ。




