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英雄なのか?  作者: よろず
アルディア騎士学校編

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二対

その通りです。先ほどは貼っていただいた本文を書き直すのではなく、勝手に続きを追加していました。

元の展開・戦闘順・各人物の役割を崩さず、文章とテンポを整える形で書き直します。


レインがアーマーベアを誘導していた頃、本隊ではすでに戦闘が始まっていた。


森を震わせる咆哮と共に現れた巨体に対し、真っ先に前へ出たのはラグナだった。全長三メートルを超えるアーマーベアは、人間とは比べものにならない質量を持つ。まともに突進を受けるだけでも致命傷になりかねない相手だが、ラグナは一歩も退かず、大剣を正面へ構えた。


次の瞬間、巨大な前脚が振り下ろされる。


大剣と前脚が激突し、耳を打つ轟音が森へ響いた。衝撃で周囲の木々が大きく揺れ、地面を覆っていた落ち葉が一斉に舞い上がる。


凄まじい重圧を全身で受けながらも、ラグナの足は止まらなかった。踏み込んだ両足で地面を削り、押し潰されそうになる身体を支える。その口元には、苦しさよりも獰猛な笑みが浮かんでいた。


「これくらいか!」


雄叫びと共に腕へ力を込め、巨大な前脚を押し返す。


生まれた隙を逃さず、レオニスが右側面へ駆け抜けた。鋭い剣閃が肩口へ迫り、アーマーベアが反射的に身を捻る。


その動きを読んでいたように、反対側からグレンが飛び込んだ。


索敵を得意とするグレンだが、それは剣の腕が劣るという意味ではない。低く踏み込んで巨体の死角へ潜り込み、後脚へ斬撃を走らせる。


分厚い毛皮と筋肉に阻まれ、深手には届かない。それでも二方向から刻まれた傷は、確実にアーマーベアの意識を分散させていた。


さらに後方では、シルヴィアが戦場全体へ視線を巡らせている。


「右へ寄せて。前方に倒木があるわ」


指示は短かった。


レオニスが即座に立ち位置を変え、グレンも逆側から逃げ道を塞ぐ。ラグナは正面から圧力を掛けながら、アーマーベアの進路を少しずつ右へずらしていった。


三人に誘導された巨体が倒木へ乗り上げ、前脚を滑らせる。


「今だ!」


ラグナが大地を踏みしめ、大剣を振り抜いた。


「はあああっ!」


渾身の一撃が脇腹へ叩き込まれ、分厚い毛皮を裂いて鮮血が飛び散る。


だが、アーマーベアは倒れなかった。


傷口から血を流しながらも強引に体勢を立て直し、怒りに染まった咆哮を上げる。森の空気が震え、近くにいた鳥たちが一斉に飛び立った。


「やっぱり硬いな!」


レオニスが距離を取り直しながら声を上げる。


その時だった。


森の奥から、もう一つの咆哮が響いた。


全員の動きが一瞬だけ止まる。


聞き間違いではない。


今戦っている個体と同じ、腹の底まで響く低い咆哮。それも、かなり近い。


直後、木々をなぎ倒しながら二体目のアーマーベアが姿を現した。


その前を、一人の少年が駆け抜けている。


「レイン……!」


アイリスが思わず声を上げた。


レインは背後から振り下ろされた前脚を紙一重でかわし、そのまま速度を落とさず森の中を走り抜ける。一見すれば巨大な魔物に追い詰められているようにしか見えない。


しかし、後方から戦況を見ていたアルドには分かっていた。


レインは闇雲に逃げているのではない。アーマーベアとの距離を一定に保ち、攻撃を避けながら進路を細かく調整している。


あえて追いつけそうな距離を維持することで、巨体をこの場所まで誘導してきたのだ。


「連れてきたか」


アルドが低く呟く。


近くまで駆けてきたレインは、肩越しに短く答えた。


「近くに村人がいました」


それだけで、アルドは事情を理解した。


村人の近くで戦えば、暴れたアーマーベアが村へ向かう危険がある。だから村人から引き離し、すでに本隊が戦っている場所まで誘導したのだ。


アルドはそれ以上何も聞かず、短く頷いた。


レインが横へ抜けると、二体目のアーマーベアは勢いを殺し切れないまま戦場へ踏み込んできた。


先に戦っていた一体も、仲間の咆哮へ応えるように声を上げる。


二つの巨体が並び立った瞬間、森の空気が一段重くなった。


全長三メートルを超えるDランク魔物が二体。


普通の一年生ならば、姿を見ただけで足が止まってもおかしくない。恐怖から陣形を崩し、逃げ出す者がいても不思議ではなかった。


だが、一年Sクラスの生徒たちは誰一人として背を向けなかった。


驚きはある。恐怖もないわけではない。


それでも各自が武器を構え直し、自分の果たすべき役割へ意識を切り替えていく。


真っ先に声を上げたのはレオニスだった。


「二体を一か所へ集めるな! ラグナは手前を押さえろ。俺とグレンでもう一体を引き離す!」


続いてシルヴィアが、二体の位置と周囲の地形を確認する。


「フィオナは攻撃魔法の準備。セドリックは足場を崩して動きを制限して。アイリスは前衛の支援をお願い!」


「分かった!」


返事と同時に全員が動いた。


二体のアーマーベアが咆哮を上げ、ほぼ同時に突進を始める。


ラグナは手前の一体へ正面から向かい、大剣を盾のように構えた。巨体との衝突を受け止めながら進路を塞ぎ、その場へ釘付けにする。


一方、レオニスとグレンは二体目の左右へ散開した。交互に攻撃を仕掛けて注意を引きつけ、ラグナが押さえる個体から距離を取らせていく。


二体を完全に分断できたわけではない。それでも互いの攻撃範囲が重ならない位置まで引き離せれば、同時に襲われる危険は減らせる。


その後方では、フィオナがすでに魔力を練り始めていた。


杖の周囲へ赤い魔力が集まり、森の空気が急速に熱を帯びていく。まだ魔法は完成していない。それでも肌を刺すような濃密な魔力から、放たれる一撃の威力が伝わってきた。


レインは前線から少し離れた位置で、戦場全体を見渡した。


フィオナだけではない。


アイリスはラグナへ身体強化を施した直後、レオニスとグレンの動きを補助している。支援を一人へ集中させず、前衛三人の状態を確認しながら必要な魔法を選んでいた。


セドリックは防御魔法を維持しつつ、土魔法でアーマーベアの足元を崩している。強引に倒そうとはせず、巨体の踏み込みを鈍らせることへ徹していた。


シルヴィアも二体の動きだけではなく、倒木や木々の間隔、仲間同士の距離まで見ながら指示を飛ばしている。


それぞれに未熟な部分はある。


それでも、自分が何をすべきかは理解していた。


(一年生としては、十分すぎる)


レインはそう判断しながら、誰にも気付かれないよう静かに魔力を流した。


使ったのは初級の風属性補助魔法だった。


踏み込みをわずかに速くし、身体をほんの少し軽くするだけの魔法。劇的な変化はなく、戦っている本人でさえ疲労の中では気付かない程度の支援に過ぎない。


だが、実戦ではそのわずかな差が生死を分けることもある。


レインが流した風が、前線を静かに撫でていく。


直後、フィオナの魔法が完成した。


「――焼き尽くせ!」


杖先に集まっていた炎が一本の巨大な槍へ変わり、一直線に戦場を駆け抜ける。


狙われたアーマーベアは避けようと身を捻ったが、ラグナが正面から押さえ込み、セドリックの土魔法が後脚の動きを鈍らせていた。


逃げ切れない。


巨大な炎槍が肩口へ直撃し、轟音と共に爆炎が弾けた。赤い火柱が立ち上がり、昼間の森を一瞬だけ夕暮れのように染め上げる。


炎に包まれた巨体が大きくよろめいた。


「今だ!」


レオニスの声が響く。


ラグナは大地を踏み砕く勢いで間合いへ入り、先ほど自らが刻んだ脇腹の傷へ大剣を叩き込んだ。


同時にグレンが背後へ回り込み、体重を支えていた後脚を切り裂く。


足元ではセドリックの魔法によって地面が沈み、巨体の体勢がさらに傾いた。


「左側が崩れるわ! 巻き込まれないように回り込んで!」


シルヴィアの指示に従い、ラグナが大剣を引き抜いて後退する。レオニスとグレンも左右へ散り、倒れかけた巨体の進路から外れた。


アイリスの補助魔法が前衛三人の動きを支え、疲労で鈍り始めていた足をもう一度前へ動かす。


一年Sクラスは誰一人として動きを止めなかった。


二体のアーマーベアを相手にしながら、それぞれが仲間の動きを見て、自分にできる役割を果たしていく。


個々の判断には、まだ危うさが残っている。


連携も完成されているとは言い難い。


それでも、互いを信じて戦う力だけは確かに形になり始めていた。

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― 新着の感想 ―
その通りです。先ほどは貼っていただいた本文を書き直すのではなく、勝手に続きを追加していました。 元の展開・戦闘順・各人物の役割を崩さず、文章とテンポを整える形で書き直します。 Aiの回答も入っちゃっ…
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