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英雄なのか?  作者: よろず
アルディア騎士学校
3/39

Bクラス


教室へ入ると、生徒たちは思い思いの席に座っていた。

緊張した表情の者。周囲を観察している者。既に話し相手を見つけている者。

様々だった。

レインとロイも後方の席へ腰を下ろす。

しばらくすると教室の扉が開いた。入ってきたのは大柄な男だった。

短く刈り込まれた髪に日に焼けた肌、鍛え上げられた体。

教官というより歴戦の兵士に見える。

男は教卓の前へ立った。

「Bクラス担任のバルトだ」

それだけで教室がざわつく。

その反応を見ても男は気にしない。

「元第4騎士団第10席」

誰かが小さく呟いた。

その言葉に教室のあちこちで緊張が走る。

アルディア王国十三騎士団の席持ち。

騎士を目指す者なら誰でも知る存在だった。

バルトは腕を組む。

「まずは学校の説明から始める」

教室が静かになった。

「王立騎士学校は2年制だ」

「卒業後は騎士団、軍、行政機関、研究機関などへ進む」

黒板へ文字を書く。

Sクラス

Aクラス

Bクラス

Cクラス

Dクラス

「本校は5クラスAからDまでは各40名」

「Sクラスのみ13席」

教室がざわつく。

王立騎士学校の頂点。

Sクラス。

全ての生徒が一度は目指す場所だ。

「クラスは固定ではないぞ3か月ごとに総合査定を行う、また個人戦もあるぞ、言わるランキング戦だその結果によってクラス移動が発生する」

ロイが手を挙げた。

「総合査定って何を見るんですか?」

「学科」

「実技」

「戦術」

「野外演習」

「その他教官評価」

バルトは即答する。

「騎士に必要な能力を総合的に評価する剣や魔法が強いだけでは上へは行けん」

今度は前列の女子生徒が手を挙げた。

「では個人ランキングは何のためにあるんですか?」

バルトが頷く。

「良い質問だ」

黒板へ新たな文字を書く。

個人ランキング

教室の空気が少し変わった。

こちらの方が皆の興味を引くらしい。

「全生徒には個人順位が与えられるBクラスなら1位から40位までだ」

「個人ランキングは強さを示す」

「剣術、槍術、体術、魔法など実戦能力によって決定される」

騎士学校らしい評価だった。

「順位は順位戦によって変動する」

バルトは続ける。

「順位戦は1か月に1回申請可能、挑戦できるのは自分より上の順位5つまでだ」

黒板へ例を書く。

例えば10位 〜5位までなら誰とでも戦える

「勝てば順位を入れ替える」

「10位が5位に勝てば?」

ロイが聞く。

「5位になる負けた側が10位だ」

教室のあちこちで小さな声が上がる。

分かりやすい制度だった。

「ただし無条件ではないぞ順位戦には教師の承認が必要だ」

何人かが首を傾げた。

「実力差が大きすぎる場合、教育上問題がある場合その他不適切と判断した場合は却下する」

バルトは生徒たちを見渡した。

「例えば魔法道具開発を専門にする生徒もいる軍略研究に優れた生徒もいる、そいつらは総合査定で高評価を取ることはあっても、必ずしも個人戦が強いとは限らん」

なるほど、と教室から納得の声が漏れる。

「学校は決闘をさせたいわけじゃない強い兵士も必要だが、それだけでは軍は成り立たん」

その言葉には重みがあった。

実際に戦場を知る人間の言葉だからだろう。

「だが勘違いするな」

バルトの視線が教室全体へ向けられる。

「この国では強さに価値がある」

空気が引き締まった。

「戦場では1人の強者が戦局を変えることもある」

「現にアルディア騎士団には、1人で数百、数千の兵士に匹敵すると言われる化け物も何人も居る」

誰も口を開かない。

騎士を目指す者なら誰もが憧れる存在だった。

「だから個人ランキングも重要だ順位戦の結果は査定評価にも反映される」

「高順位を維持している者は査定でも有利になる」

教室内の生徒たちの目が変わる。

競争を意識した目だった。

「そして同じ相手への再挑戦は3ヶ月禁止だ負けた腹いせに毎週挑まれたら授業にならんからな」

小さな笑いが起きる。

だがバルトはすぐ真顔に戻った。

「本校が育てるのは戦闘が強い者ではなく王国を支える人材だ」

レインは黙って話を聞いていた。

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